お受験費用もOK!教育資金贈与の非課税特例をFPが解説

非課税のための制約は?子どもが何歳まで適用?
2021年08月22日 06:00
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、健康経営エキスパートアドバイザー
  • 教育資金の一括贈与では、1500万円まで贈与税が非課税になる
  • お受験の幼児教室代なども500万円まで非課税の対象に
  • 利用には専用口座の開設が必要。使うときには領収書も要提出

合格までに300万円や400万円かかることも珍しくない、小学校受験のお金。資金の援助を祖父母が担うケースも少なくありません。高額な教育費を支援するときには、贈与税の非課税の特例を活用する方法があります。実際に子どもの小学校受験を経験したファイナンシャルプランナーの加藤梨里さんが、教育資金の贈与と特例制度について解説します。

AZemdega /iStock

1500万円まで非課税  一括贈与の特例

子どもの教育にはお金がかかります。一般的に、特に教育費がかかるのは大学の4年間など高等教育の時期ですが、小学校受験をすると、幼児の頃から出費の負担が重くなりがちです。子どもが小さいうちは30~40代の父母の収入がまだそれほど高くない、もともとフルタイムで働いていた妻が育児のために専業主婦をしているなどで、家計にゆとりがないこともあります。そんなときに、祖父母から資金を援助してもらうことがあるかもしれません。

お金を援助してもらうと贈与になり、贈与税がかかることがありますが(参考:前回の記事)、使い道を教育費に限定することで利用できる贈与税の非課税制度もあります。「教育資金の一括贈与」の非課税特例といって、1500万円までの贈与には税金がかからない制度です。

非課税になるのは、2023年3月末までに、30歳未満の人の教育費のために、父母や祖父母から贈与したお金です。祖父母が孫の教育費のために贈与するケースが一般的です。使い道は教育資金に限られており、学校の入学金や授業料、習い事や塾の費用などに使った場合にのみ非課税になります。

学校以外への支払いは非課税になる上限が1500万円のうち500万円に制限されていますが、小学校のお受験のための幼児教室代も、基本的に対象になります。家庭教師や体操教室、絵画教室なども対象になるので、小学校受験のためにペーパー対策以外の習い事をしている場合には、それらの月謝も含まれます。

(以下、国税庁サイト参考)

子どもが原則30歳になるまで贈与税が非課税

祖父母から小学校受験のお金を支援してもらうとき、贈与税がかからない方法には年間110万円までの暦年贈与や、必要な都度に負担してもらう都度贈与もあります。これに対して教育資金の一括贈与の特例は、1500万円(お受験など学校以外のお金は500万円)までのお金を、あらかじめ一括で贈与できるのがメリットです。使途は教育費に限定されますが、まとまったお金を先に渡すことができ、受け取った子や孫は必要な時期に引き出して使うことができるのです。

一括贈与したお金は、子ども(孫)が30歳になるまで、非課税で利用できます。小学校受験の後も、小学校の入学金や授業料、その後は大学や大学院への進学、留学など、大きくなるまで使うことができます。2023年3月末までで、子ども(孫)が30歳まで、非課税枠の1500万円(または500万円)までであれば、後から追加でお金を贈与することもできます。

ただしこの特例を利用できるのは原則として30歳までです。30歳になったときに、贈与してもらったお金がまだ残っていると、その時点で大学に在学している場合などを除き、使い残しには贈与税が課税されます。また23歳以降は非課税で引き出せる使い道が学校の入学金や授業料などに限られ、塾や習い事のために引き出すと課税されてしまいます。

参照:国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」

金融機関に専用口座が必要、使うときには領収書提出も

この特例を利用するには、まず金融機関で口座開設が必要です。銀行や信託銀行などで、贈与する祖父母と孫、そして孫が未成年であればその両親(祖父母からみた子世代)が同席して、教育資金の一括贈与専用の口座を開きます。開設には2万円程度の手数料がかかることがあります。祖父母から孫に贈与する場合は、孫名義の口座を開いて、そこに贈与する資金を一括で預け入れます。そこから、孫が教育費を必要とするときに引き出して使うしくみになっています。孫が未成年のときには、その親(法定代理人)が引き出しの手続きをすることができます。引き出すときや、口座を保有している間の手数料はかからない金融機関がほとんどです。

お金を引き出すときには、領収書や請求書などを金融機関に提出します。この点が、一般的な預金とは大きく異なります。幼児教室などに費用を支払った後に、領収書を金融機関に提出して、同額を引き出す方法と、請求書や振込依頼書を先に金融機関に提出して、金融機関から幼児教室などに直接払い込んでもらう方法などがあります。いずれにしても、教育費目的に使うことが明らかにわかる書類を提出しないと引き出せないので、手間がかかります。

Nuthawut Somsuk /iStock

お受験費用の贈与に特例を使うべきか?

このように、教育資金の一括贈与の特例は、最大1500万円まで非課税で贈与してもらうことができる反面、制約もあります。小学校のお受験を目的としたときには、どう考えればよいでしょうか。

前回に解説した暦年贈与は、1年間に110万円以下までは特別な手続きをしなくても贈与税はかかりませんが、非課税で贈与できる上限額は抑えられています。受験対策に高額なお金がかかれば、年間110万円を超えてしまう可能性もあります。また、子どもが小さいうちから小学校入学までの2年、3年にわたって毎年110万円ギリギリを贈与し続けていると、課税を指摘されるリスクもあります。「定期贈与」といって、当初から110万円以上の贈与をする予定だったものを、分割して渡しただけとみなされるおそれがあるためです。はじめから高額なお金を贈与する予定なら、教育資金の一括贈与の方がリスクなくお金を渡せるかもしれません。

もうひとつの方法である「都度贈与」は、生活費や教育費のためであれば金額の上限なく非課税で贈与することができますが、必要なタイミングに贈与し、直接に生活費や教育費に使ったことがわかるようにしておかねばなりません。生活費・教育費のためでない贈与とみなされると、贈与税が課税されるおそれがあります。教育費のために贈与したことがわかる証拠をきちんと残しておくには、税理士などの専門家に指導してもらう必要も出てきそうです。教育資金の一括贈与の特例では、贈与したお金はいったん金融機関の専用口座に入金され、引き出すときには領収書の提出が必要ですから、後になって教育資金目的でないと指摘されるリスクはありません。

しかしながら、教育資金の一括贈与の特例を使うには、専用口座の開設や毎回の引き出し時に煩雑な手続きを要します。また、子ども(孫)が30歳になるまでに使い切らないと贈与税がかかる心配もあります。加えて、贈与する側の祖父母の老後を考えると、長生きしたときの生活費を確保できるか、亡くなって相続が発生したときに相続税がどうなるかなども考慮しておくことが大切です。どの方法を使ってお受験費用を贈与するかを検討するときには、祖父母と孫、そしてお受験をする子どもの親(祖父母からみた子)の将来のお金のことも総合的に考えてみましょう。税理士など、税の専門家に相談してみると、ご家庭の状況に合った方向性が見えてくるのではないでしょうか。

 

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ファイナンシャルプランナー(CFP®)、健康経営エキスパートアドバイザー

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