横浜市長選「20時当確」説の中で、読売の「再選挙」記事のナゾ
都議選に続く「まさか」はあるか過去最多の8人が立候補した横浜市長選は21日深夜に入り、まもなく選挙活動期間が終了し、残すは22日の投開票日を待つだけとなった。菅首相にとってはお膝元の大型選挙とあって結果次第では、自民党総裁選や秋の衆院選を見据えた政局につながることから全国的な注目を集めているが、地元紙の神奈川新聞が先週土曜の時点で、立憲民主党が推薦する元横浜市立大教授の山中竹春氏が先行し、菅首相の盟友で、前国家公安委員長の小此木八郎氏、現職の林文子氏らが追いかける展開と報道していた。

「与党や官邸に衝撃が広がっている」(神奈川新聞)と言われた中盤までの情勢だが、今週に入っても自民党内の空気は一層重くなりつつある。永田町では連日、公共放送や地元メディアの出口調査の速報値と称するデータが水面下で出回っているが、20日時点のある社の出口調査では、山中氏が独走ペースを上げて、2番手の小此木氏にダブルスコアに近い差を叩き出したものもあった。こうした状況から気の早い週刊誌や夕刊紙などでは終盤になって「横浜市長選『20時当確』めぐる最終攻防」(日刊ゲンダイ)などと容赦ない報道もしている。
そうした中で「独自色」を見せたのが読売新聞だ。中盤戦の時点で地元紙をはじめ複数のメディアが「山中氏優勢」と報じている中で、選挙終盤の20日朝、読売新聞オンラインで「横浜市長選、再選挙なら最長10月末までトップ不在…支持分散で誰も法定得票に届かぬ可能性」と題した、「再選挙」の可能性を論じる記事をアップした。

仮に山中氏の得票がトップだったとしても、有効投票総数の4分の1以上の法定得票に届かない場合は「再選挙」になる。読売が指摘するように「高い知名度や実績がある候補者が多いことから支持が分散し、誰も法定得票に届かない可能性が指摘されている」(記事より)のは確かで、事実、選挙戦前は再選挙シナリオを指摘する人も少なくなかった。しかし、選挙戦に入る頃から、山中氏、小此木氏、林氏を中心とした情勢が見え始めると、再選挙を予測する人の声は減った。
読売の“独自路線”の背景は?
実際、今週に入ってから、再選挙を見出しに入れ主題に論じた記事は、東スポのネットニュースくらい。記者クラブメディアでは、産経新聞の電子版や日経電子版が20日夜に配信した記事の中で言及はしているものの、一つの可能性として触れているくらいだ。その意味で、読売新聞が選挙終盤になって「再選挙」をメインテーマに掲げた記事を掲載した背景に、ツイッターの選挙ウォッチャーたちの間では「8時に当確が出るって噂だったけど、そうでもない?」などと興味津々の様子だ。
ここにきて読売新聞だけが“独自路線”を見せるのは、独自に行った情勢調査のデータが、神奈川新聞などの地元メディアや公共放送などの情勢調査のそれと異なり、山中氏や小此木氏らが終盤戦になっても伯仲している可能性もある。なお読売の横浜市長選情勢報道は15日付の朝刊で「山中氏・小此木氏・林氏が横一線、松沢氏が追う」との見出しで報じたのが最初で最後だった。
コロナ禍の影響で政治への不満が鬱積し、有権者の投票動向が流動化する傾向は強まっており、各政党もメディアも以前よりは民意を読みづらくなったとみる向きがある。7月の東京都議選では当初、苦戦が必至とされていた都民ファーストの会が、特別顧問の小池百合子都知事のパフォーマンスもあって最終日に盛り返し、マスコミ各社の予測を覆す健闘を見せたことは記憶に新しい。秋の衆院選を占う意味でも、横浜市長選のマスコミ各社の情勢報道がどこまで当たるのか注目される。
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