カブール大規模爆発で、自衛隊法84条の4の「限界」焦点に

細野氏「矛盾を我々政治家が直視する時」
2021年08月27日 12:00

アフガニスタンの首都カブールの空港近くで26日、自爆テロが原因とみられる大規模な爆発が発生した。アメリカ国防総省はアメリカ軍の兵士13人が死亡し、18人が負傷したと発表。現地住民も少なくとも60人が死亡し、負傷者も多数に上ったと見られる。ISは犯行声明を出した。日本政府は27日午前、日本人で巻き込まれた情報はないことを明らかにしたが、カブールに到着した自衛隊機が邦人を無事に退避させられるのかさらに不透明感が漂っている。

カブール出発前の自衛隊員への訓示(25日、防衛省統合幕僚監部ツイッターより)

もともと、このテロの発生前から輸送対象の邦人らが自力で空港にたどり着ける見通しが立っていなかった。その理由の一つとして、注目されているのが自衛隊機派遣の法的根拠となっている「自衛隊法84条の4」だ。外国で災害や騒乱その他の緊急事態に際して、外相が自衛隊に邦人輸送を依頼できると定めており、茂木外相の依頼を受けて岸防衛相が派遣命令を出した。

「84条の4」が実際に発令されて自衛隊が派遣されたケースは、これまで2004年のイラク、13年のアルジェリア、16年のバングラデシュと南スーダンの4例があるが、今回は日本大使館やJICAで働いていた現地スタッフと家族らの待避も行う方針で、外国人を含めて対象にするのは初のケースとなる。

「84条の4」に基づく邦人輸送はかつては航空機だけだったが、2013年にアルジェリアの日系プラントが襲撃され、10人の邦人が殺害されたテロを契機に法改正で、陸上輸送も追加改正された。ただ、陸上での活動は、現地政府の承認を要することから、今回はタリバン側の承認を得られるか見通しがないことから航空輸送のみの判断となった。

現実にはアフガンの政権崩壊直後から治安が悪化。カブールの空港には国外脱出を希望する各国の関係者や現地民で大混乱を極めており、邦人らが自力で空港にたどり着けるか目処は立っていない状況だ。

他方、84条の3で定める「在外邦人保護」は、「邦人の警護、救出その他の当該邦人の生命又は身体の保護のための措置」とより踏み込んだものだが、自衛隊の派遣先で戦闘行為がないことや相手国政府の同意が条件となる。現実に今回のテロのように治安が極度に悪化している情勢からすると、現行法制で保護活動へと政治決断をするにはハードルが高い。

ツイッターでは一般のネット民から

安全が確保できず自力で移動を求められ空港まで辿り着けない輸送対象者、安全が確保されたハズの空港での自爆テロ。 なんというか、既存の自衛隊法84条の4ではカバーしきれない問題が色々と…

現状打破のためには自衛隊法84条の4を拡大解釈するして空港外に自衛隊派遣するしかないよなぁ

といった感想が散見された。

政治家のツイッターでも「84条の4」に言及する投稿が相次いだ。
国民民主党の玉木雄一郎代表は、「極めて深刻な事態だ。自衛隊法84条の4は「当該輸送を安全に実施することができると認めるときは、当該邦人の輸送を行うことができる。」と規定しており、現地の安全が確保されていなければ輸送ができない」と指摘。ただ、「期限が迫っている中、なんとか救出を実現し無事に戻ってきてほしい」と願うのがやっとのようだった。

無所属の細野豪志元環境相も「自衛隊法84条の4(在外邦人等の輸送)は「当該輸送を安全に実施することができると認めるときは、当該邦人の輸送を行うことができる」と定めている」と条文に触れた上で、「アフガンの状況に直面し『国外の国民が危険だから自衛隊を派遣するのに、安全でないと輸送はできない』という矛盾を我々政治家が直視する時だ」と訴えていた。

 

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