「小室事件」が皇室制度に与えた最大の影響とは?
皇室の将来に残した禍根を憂う- 眞子様、小室氏の結婚報道:当初から苦言を呈し続けてきた八幡氏が緊急寄稿
- 一時金の辞退などは筆者のほぼ提案通り。小室氏と母親は皇室行事から排除か
- 「小室事件」が与えた最大の影響とは?宮内庁の組織問題が残された禍根に
秋篠宮家の長女眞子様と小室圭氏が年内に結婚されると読売新聞が報じて、ほかのマスメディアが追随している。小室氏がニューヨーク州弁護士試験を合格することを前提に、アメリカで就職する方向で調整が進んでおり、結婚の環境が整いつつあると判断したというのだが、もし不合格ならどうするのか。いったん就職しても安定して雇用され、昇給出来るかも不明だ。
秋篠宮殿下は、小室家の金銭トラブルを念頭に、「多くの人が納得し、喜んでくれる状況にならなければ婚約の儀式は行えない」との考えを示されてきたが、「必ずしも多くの国民が祝福する状況になっていない」状況なので、「コロナ禍の現状も踏まえ、一般の結納にあたる納采の儀や結婚式などの関連儀式は行わない」方向で検討されているそうだ。
また、結婚と皇族からの離脱にあたり与えられる1億数千万円の一時金は、受け取らない意向だというが、出さないということが法的にありうるのかどうか政府部内で検討するらしい。
婚約の初報直後から先行き懸念
眞子さまと小室さんの結婚については2017年5月16日、NHKが夜7時のニュースで「秋篠宮ご夫妻の長女・眞子さま 大学時代の同級生・小室圭さんと婚約へ」と報道し、同年9月に婚約内定した。
その後、小室家の金銭トラブルを指摘する週刊誌報道が相次ぎ、宮内庁は18年2月、関連儀式の延期を発表している。NHKによる最初の報道の直後から、小室氏とその周辺に多くの問題があることは、いろんなソースから聞いていて、これは順調に行かないのでないかと思っていた。
その年の5月23日には、「いずれわかることを秘密にすることになんの意味がある?女性宮家など論じるなら厳正に精査が必要だし、そうでなくとも皇室の親戚として公の場に出られることが多いはずだ」「芸能人の結婚よりはるかに公的な関心の対象だろう。欧州のマスコミなら徹底的に問題がないか洗うだろう。皇室なんてどうでもいいと思うなら別だが」とFacebookで書いた。
皇室行事から排除か。悪影響は限定的
その直後、週刊新潮が父親の自殺を報道。その年の12月には週刊女性が、「秋篠宮家はご存知か! 眞子さまの婚約者・小室圭さん母『400万円』借金トラブル」と報道したので、この結婚を再考するべきでないかということで論陣を張ってきた。ただし、 皇室にとっても眞子様にとってもこの結婚が好ましくない結果となることを危惧し、賛成出来ないとしても、眞子様が「どうしても」とおっしゃるなら、日本国憲法の婚姻の自由の趣旨に鑑み最後は仕方ないともしてきた。その考えはいまも同じだ。
ただ、普通の形で結婚したいなら、アメリカでの弁護士活動が安定するか、日本で堅実な仕事に就き、収入に見合った生活が送れるようになってからだと主張してきた。また、母親の借金だけでなく、父親と祖父母の連続自殺事件、フォーダム大学の奨学金を獲得するについて眞子様の婚約者の立場を利用した疑惑、多くの借金の返済計画、皇室を経済的に利用しない確約なども説明して欲しいと述べてきた。
そのような手順を踏まずに結婚したいなら、「納采の儀」などは行わず、1億数千万円の一時金も受け取らせないようにしたほうがよい。眞子さまも、小室さんも(もちろん母親も)、皇室関係の行事から排除し、両殿下が眞子様と会われるにしても、(少なくとも当面は)御所ではなくホテルやレストランなどだけで会われればいいと思う。今回の報道では、だいたい私の提案に近いことになるようで、皇室として筋は通すことになり、悪影響が膨れあがることは避けられるだろう。
「女性宮家」創設構想が頓挫
「小室事件」が皇室に与えた最大の影響は、女性宮家を創設して女系継承を認めるという皇位継承方式の頓挫である。女帝や女系による皇位継承を認めるといっても、悠仁様を廃嫡して愛子様を女帝にというのは一般世論においても少数意見だろうし、皇室や政府の周辺ではほとんど支持者がいない。
もっとも現実性が高かったのは、悠仁殿下の皇位継承は当然のこととして、そのあとが続かなかった場合に備えて、愛子・眞子・佳子様に女性宮家を創設していただき、その3人やその子供たちに継承権を認めようということだった。その場合、愛子様でなく眞子様が第1順位で、そのお子様が第2順位になる。
つまり、悠仁様が眞子様より先に亡くなられたら小室圭氏が“眞子陛下”の王配殿下となる。年齢通りの寿命で展開すれば、小室氏の子が陛下となり、小室氏がなお在世なら天皇の父になるし、小室氏自身が摂政となる可能性も排除できないのである。
女系継承を認める場合の問題点として、男系派は「内親王が困った男性と結婚したらどうするのか」と懸念していた。それに対して女系派は「滅多にない可能性をいうな」と反論したが、小室氏の出現は、その心配を分かりやすく証明したのである。
宮内庁の組織問題が禍根に
しかし、このことに限らず、現在の皇室は、困りごとの可能性を想定して先回りすることを避けすぎだ。女性皇族の結婚は皇族を離脱するだけだからまだしも議論は単純だ。しかし、男性皇族の結婚は皇室会議の了解が必要だ。
仮に悠仁殿下が困った女性と結婚したいと仰ったらどうするのか。また、皇族が離婚した場合に、子供の親権はどうなるのか。女性皇族が結婚後に離婚されたらどうなるのか、将来の問題としては、同性婚やそれに類するものへの対応はどうするのはだってある。問題が起きてから考えるというのでは、間に合わないことがあると思う。
結婚や皇位継承以外にも皇室をめぐる面倒な問題は多い。両陛下の東京オリンピックに対する対応も、欧州の君主国ではありえないお粗末さだったが、宮内庁の組織改革は愁眉の急だと思う。
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