岸田文雄は家入一真になるのか?総裁選で“ネット目安箱”の成否
その名も「#岸田BOX」江川紹子氏らも投稿- 自民党総裁選で岸田氏がネットで意見を募集する「#岸田BOX」を開始
- 発表した政策構想の足らざるところを「アップデート」できるかどうか
- 家入氏の都知事選では関係者が奮闘して集約編集。岸田氏は本人も参加?
自民党総裁選の政局劇はいまだ予断を許さないところだが、肝心の政策論議を高める契機になるのか、岸田文雄陣営がユニークな取り組みを始めた。岸田氏は2日、国会内で開いた政策発表の記者会見で新型コロナ対策や健康危機管理庁創設などの構想を明らかにしたが、ネットを通じ、岸田氏や政治に関する「忌憚のないご意見」を聞く、その名も「#岸田BOX」を開設した。

関係者によると、夕方の時点でGoogleフォーム経由で投稿された意見の数は100件を超えたという。この日のツイッターでは早速「#岸田BOX」がトレンド入りするなどネット上の注目はまずまずだった。投稿者の中には著名人もいて、ジャーナリストの江川紹子氏は2日深夜、「首相になった場合の記者会見のあり方をどうするかについて」質問を投稿したことをツイートしていた。
横浜市長選の際、立候補した元自民党の福田峰之氏が「政党も政治家もこれまでの選挙のやり方でいいのだろうか」と問題提起し、選挙DXを掲げていたが(関連拙稿はこちら)、自民党総裁選でもネットを使って民意を集約する取り組みを本格的に始める候補者が出てきたことはなかなか面白いと感じさせる。人事を駆使したトップダウン型を売りにしてきた菅首相の政治手法に対するアンチテーゼとして、岸田氏自らは「対話型」を演出するという狙いもあるのだろう。
有権者が岸田氏の政策をアップデート!?
問題はこれが見せかけのパフォーマンス、掛け声だおれに終わっては逆に炎上や信用毀損に繋がりかねないことだ。自民党内には、前述したかつての福田氏のほか、平井卓也デジタル相や平将明氏、山田太郎氏、小林史明・ワクチン担当相補佐官らネットに精通した議員がこれまでも出現してきたが、総裁選に出る派閥の領袖クラスが、大規模に草の根のネット民意を集約するプロジェクトをやったのは記憶にない。それこそ総裁選の告示までに岸田氏が昨日発表した政策構想をより肉付けし、足らざるところの「アップデート」を実際にできれば、実態を伴った“ネット目安箱”になろう。
岸田氏の今回政策をめぐっては、安倍政権時代、岸田氏を「ポスト安倍」として一定の評価をしてきた八幡和郎さんが物足りないらしく、きのうフェイスブックを見ていてたまたま上がってきた投稿で、「こんな程度の事しか言えないんでは期待できません」と酷評していた。具体的にどこが足りないのかよくわからないのだが、前回の総裁選で石破茂氏が「防災省」設置構想を述べたときには「危機対応などせずに机上の空論ばかりでいじくっている組織が肝心のとき動くはずがない」「どうせ日常業務がない役所になる。やるとしても日々、組織を動かしたり訓練したりするものにするべきだが、まず無理」などとの理由で反対していた。
他の官僚OBのSNSの発信を見ていても、健康危機管理庁を作るにしても、既存の役所の仕事を整理してやめるべきはやめないと、この20年の行革で「人は減れど仕事は増える」という悪循環がまた繰り返される懸念を指摘していた。岸田氏の昨日の会見を見る限りはそのあたりを配慮しているのか微妙なのは確かだ。そうした課題を岸田BOXで指摘することはできる。
また、筆者自身は規制改革に強い関心がある。規制の多いこの国で新規参入や民間企業が活動しやくすることで成長を促す、根幹で重要だからだ。そしてこの点では、菅首相のほうが岸田氏より遥かに実績と経験がある。もちろん岸田氏も政調会長を経験しており、初入閣は内閣府特命担当相として規制改革も領域にしていたから「素人」ではないが、これまで規制改革に熱心に取り組んだり、発言したりしている印象が正直ない。
しかし、今回、岸田氏が「#岸田BOX」を開設し、党員ではない国民にも広く目安箱を設置したことで、気になる疑問や政策提言をすることが可能にはなった。採用されたら岸田氏の政策をアップデートできるかもしれない。筆者なら、アメリカのトランプ政権が実施していた、1つ新しい規制を設けるなら代わりに2つの規制を廃止するという「2対1ルール」の導入を提言するであろう(せっかくなので実際に投稿してみようかな)。

関係者「岸田氏も目を通している」
ネットの目安箱といえば、以前も書いたように、2014年都知事選で、起業家の家入一真さんの選挙プロジェクトに参加した時のことを思い出す。ツイッターでハッシュタグ「#ぼくらの政策」で政策アイデアを募集。選挙開始後に3万超のツイートが集まった。
大変だったのは、家入さんを慕う政策スタッフ(某議員の秘書などプロも)が仕分けし、マニフェストを編纂する作業だったが、選挙に入ってから政策を完成させるという前代未聞の取り組みは、120の政策を掲げるマニフェストとして結実し発表した。記者会見も行ったが、マスコミからすると選挙中に特定陣営の政策だけを取り上げられないということもあって、ほとんど報じられなかったことも今となっては懐かしい思い出だ。
気になる集約・編纂作業はどうなのか。岸田陣営の関係者によると、スタッフや宏池会の議員たちだけではなく、なんと岸田氏本人も目を通しているのだという。「二階外し」の仕掛けといい、ネットでの思い切った双方向の取り組みといい、これまでにない新機軸に意欲を燃やしていることだけは伝わる岸田陣営。今後のアウトプットに注目している。
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