河野太郎氏や小泉進次郎氏が、NFTで政治資金を調達する日
アメリカで共和党候補者が史上初の事例- アメリカで知事選候補者がNFTを使った初の政治資金調達を始める
- 2枚のNFTカードを発売。共和党は民主党に資金調達の刷新に遅れ挽回図る
- 売れ行きはカリスマ的人気が不可欠。日本でやるなら河野氏や小泉氏か?
サキシルでは近頃、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)の動向に注目しているが、昨日プロ野球・西武がNPB初のNFT事業に参入したというニュースを聞いて思ったのは、政治資金の調達のためにNFTを売り出す動きがそう遠くないことだ……と、思っていた矢先、調べてみたらアメリカのミネソタ州知事選の候補者で、元同州上院議員のスコット・ジェンセン氏が今月1日、「政治活動で史上初のNFT」をうたって話題になっていることを知った。
We are the FIRST political campaign in history to release our own line of NFTs! Check out the first two in our State Fair series.
PRONTO PUP: https://t.co/1O21HUATCX
LIFE IS A MIRACLE: https://t.co/5HrcZ8SaiZ@BirkMatt will be announcing two new exclusives Thursday! cc @garyvee pic.twitter.com/0OjdAL6nrC— Scott Jensen (@drscottjensen) September 1, 2021
このツイートにあったNFTサイトの記事などによれば、2枚のNFTカードを発売し、購入は寄付扱い。
- 最大寄付額は、1人につき4,000ドル(カップルは8,000ドル)
- 18歳以上
- 寄付者は米国市民であるか、グリーンカード保持者
- 州などの議員や州憲法の担当官とそれらの候補者、議会に接触中のロビイストは除く
などの条件があるが、本人と会うことができる特典などを申し込むことができるようだ。
共和党の新しい政治資金調達の背景
ジェンセン氏は共和党所属。実は同党はここのところデジタルエコノミーにかなり積極的だ。アメリカの新興メディア「AXIOS」が6月に既に報じていた内容によると、全国共和党議会委員会(NRCC)が、暗号資産(仮想通貨)の寄付を受け入れる動きを見せているという。これによると、NRCCは、ビットコイン決済サービスのBitPayを通じ、寄付された仮想通貨をドルに引き換える形で、1人から年間最大1万ドルの寄付を受け入れる。
共和党としては、トランプ氏の動向という不確定要素があるものの、3年後の政権奪還に向けて、まずは来年の中間選挙での勝利が至上命題だが、共和党が政治資金の調達法の刷新をする背景には、民主党に遅れをとっていることがあるのではないか。渡瀬裕哉さんに以前聞いた話によれば、民主党はネット献金プラットフォーム「ActBlue」開設後、個人による「小口献金」が激増したことがサンダースらの躍進を支えたというのだ。
米経済界の「大口献金」が伝統的に多かった共和党が資金力で負け始めていたというから、政治資金のイノベーションには驚かされるばかりだが、仮想通貨の寄付にしろ、NFTの販売にしろ、共和党としてはマネタイズで新しい対抗策を見出そうとしている。
希少価値が肝、やはり人気が不可欠
ジェンセン氏のNFTの話に戻ると、2種類のNFTはともに5ドル(約550円)の発売。25000枚の限定だが、かたや49枚、61枚しか捌けていないようだから(日本時間8日未明)、発売開始から1週間で555ドル(約6万円)というのは、かなり寂しいと言える。NFTのキモは希少価値にある。個数を限定してレア感を出しつつ、それが本物であることの証明をブロックチェーンで担保しているが、希少性を持たせたものがそもそも全く売れないとなると、ブランド毀損につながりかねない。
NFTをいち早く始めるあたりは、先進的で目の付け所はいいが、日本の県議会議員経験者にあたるローカルの政治家では、売れ行きに限界が出てしまうのは仕方ない。しかし、これがトランプ氏やかつてのオバマ氏のように全国的な知名度やカリスマ性のある政治家であれば、全く異なる様相を見せたはずだ。そうなると、今後日本でNFTで政治資金調達に一定の成果をあげるケースがあるとなれば、ツイッターで政界ナンバーワンのフォロワー数(238万)を誇る河野太郎・行革担当相や、(人気が下降気味ではあるものの)地方や女性の注目度は健在な、小泉進次郎環境相クラスの知名度、大衆的な人気のある政治家がトライする場合ではないだろうか。
折しも自民党総裁選、今回はさすがに特異な資金調達の事例がクローズアップされることはあるまいが、もし将来、クラウドファンディングやNFTで総裁選の選挙資金を調達する候補者が出てくると、公選法の対象外で、昔は札束が乱れ飛ぶのも当たり前だったという総裁選のお金集めが、一部「市場化」され、民意の参画含めちょっとした変化が出てくるかもしれない。
なお、日本の政党や政治団体は寄付のほかに、現行制度でもグッズなどの販売といった事業収入を得ることは認められている。石破茂氏や維新の足立康史氏のようにLINEスタンプを販売した事例があることからすれば、NFTを使って政治資金や選挙資金を調達する動きは近い将来、出てくるはずだ。全政党の国会議員で第1号は、この手の新しいことを取り入れるのが早い(笑)、維新の音喜多駿氏のような気もするが、誰がやるにせよ、一定の資金を確保できるのは、自民党なら河野氏や小泉氏、山田太郎氏、野党では音喜多氏らネットでの知名度、求心力があるタイプの政治家であろう。
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