韓国で河野談話「死文化」報道。一方、河野太郎氏は総裁選出馬会見で…

「女系天皇」懸念の保守層への配慮を意識

出馬会見する河野氏(公式YouTubeより)

河野太郎行政改革担当相は10日、自民党総裁選への出馬を正式に表明した。河野氏は会見の冒頭で、

私は初当選以来、一貫して自由民主党で政治活動を行ってまいりました。自由民主党は保守政党であります。私は保守主義とは度量の広い、中庸なあたたかいものだと思っております。そしてこの日本を、日本たらしめている、日本の一番の礎となっているものは、この長い伝統と歴史と文化に裏付けられた、皇室と日本語。日本が他の国と何が違うの、と聞かれた時に『日本語と皇室です』、そしてその上に我々の先祖が築いてきた、さまざまな歴史や文化や伝統がそれぞれの地域地域で根付いています

などと語り、自らが保守政治家であることを強調した。河野氏が過去に女系天皇容認や移民政策に前向きな姿勢を見せたことから、党内の保守系議員や保守層には河野氏が「リベラルすぎる」との懸念がくすぶっており、払拭する狙いがあったとみられる。

折しもこの日の朝は、韓国・朝鮮日報が「日本、歴史問題反省の「河野談話」を28年目にして無力化」と題した東京特派員の記事を掲載したばかり。日本の文科省が8日、歴史教科書を発行する出版社が、今年4月の政府見解に従って「従軍慰安婦」の表現を、「慰安婦」とする訂正を行なったことを発表したことを受けての報道で、1993年、河野氏の父、洋平氏が官房長官だった時代に日本政府が慰安婦問題を謝罪した「河野談話」が、安倍政権時代以降、死文化を進めているとの見方を示していた。

河野氏自身は外相時代に韓国大使を外務省に呼びつけて強硬な発言をすることもあったが、保守層でもネット右派の一部が河野談話と河野氏を結びつけて非難する人がこれまでいた。2018年12月、立憲民主党の櫻井周衆議院議員が「河野談話に対する河野太郎外務大臣の認識」をただす質問主意書を提出したのに対し、当時の安倍政権が閣議決定した答弁書では

政府の基本的立場は、平成五年八月四日の内閣官房長官談話を継承しているというものであり、この立場は、河野外務大臣においても同様である。

との見解を示している。

この日の出馬会見の質疑応答で、ジャーナリストの安積明子氏から河野談話への認識や、河野政権が発足した場合に「河野談話を上書きするような談話を作るのか」と尋ねられると、河野氏は

「これまで自由民主党政権が継承してきた歴史認識についてはそれを受継いでいきたい」

と述べ、政府見解と同じ意向を示していた。

 

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