多い子は7~8校、20万円超も…小学校受験の出願費用のリアル

合格発表後の入学金納入も想定を
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、健康経営エキスパートアドバイザー
  • 小学校受験とお金の連載佳境へ。出願料は私立で約3万円、国立で約3千円
  • 出願は3~4校、受験料合計は10万円前後が平均的。筆者のときの反省は?
  • 合格発表直後の入学金納入も視野に受験スケジュールの想定を

(編集部より)300万円や400万円という高額なお金がかかることが珍しくない、小学校受験のお金。中でも勝負に直結するのが、出願校への受験料(出願料)です。どの学校を受けるかが、わが子の合否と小学校生活につながっていきます。実際に子どもの小学校受験を経験したファイナンシャル・プランナーの加藤梨里さんが、出願にかかるお金や注意点を解説します。

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受験料1校 私立3万円前後、国立3千円程度

小学校受験の出願シーズンを迎えました。首都圏の私立小学校の大半が、9月~10月にかけて願書の受付を始めます。お受験をすると決めてから今まで長い時間をかけて対策してきた親子が、いよいよ勝負のステージに足を踏み入れる時期でもあります。

すでに幼児教室の授業料や講習の受講料などで、高額なお金を使ってきたご家庭が多いはず。しかし最も重要なのが、受験校への出願料です。本番に挑むためのお金を準備し、決められた期間に納入して初めて、小学校の門を叩く第一歩になります。

出願料は、ほとんどの私立小学校が2万円から3万円です。一部の学校ではA日程、B日程のように試験日程が複数あり、同じ学校を2回以上チャレンジできることがあります。この場合、1回分の受験料で何度でも受けられる学校と、1回受験は2万円、2回受験は3万円のように受験料が異なる学校があります。

国立小学校の出願料は3,300円が基本です。1次選考と2次選考に分かれている学校では、1次選考が1,100円で、2次選考に進む場合のみ追加で2,200円というところもあります。

納入は、各校が定めた期間中にします。願書の受付日が1日しかなく、出願料の納入期間が短い学校もありますので、払い損ねないように確認しておくことが大切です。

受験校は3~4校が標準的

受験料は、小学校受験全体でかかるお金でみればそれほど大きな金額ではありません。しかし出願する学校が複数あれば、特に私立は受験料の出費が膨らみます。

お受験をする子どもが出願する学校の数は、おおむね3~4校が標準的です。かりに私立を4校受験すれば、出願料はおそらく10万円を超えることになります。「とにかくどこかに入学させたい」という場合には7~8校、20万円超になるケースもあります。都内の私立小学校は11月1日~5日に試験日が集中していますが、神奈川、千葉、埼玉は9月、10月が中心です。また、2次募集、3次募集をする学校もありますので、スケジュール面では10校近く受けるのも不可能ではありません。

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ご家庭によっては「絶対に●●小学校に入れたい」、「国立の小学校しか想定しない」という方針もあるでしょう。それでも第2、第3志望校を併願するのは一般的なセオリーのようです。わが家も当初は第1志望校のみ受験するつもりでしたが、「試験慣れのために他の学校も受けておいた方がよい」という幼児教室の先生のアドバイスにより併願することにしました。

また、1次選考が抽選方式の国立校はできるだけ出願しておくことにもしたため、出願校は結局6校に上りました。抽選の結果、実際に受験したのはそれよりも少なくなりましたが、いま振り替えると個人的には多かったようにも思います。子どもへの負担も重かったようで、最後の試験前日には体調不良でダウンしてしまいました。出願校を決めるときには子どもの実力や適性、受験戦略も大事とはいえ、子どもの健康がなによりも重要だったと反省しています。

入学金納入のタイミングと金額も把握を

お金の面で出願料のほかに注意したいのが、入学金の納入です。ほとんどの小学校では、合格発表後すぐに入学金を納入することになります。合格発表当日から入学手続きを開始し、入学金は数日内に振り込まないと入学が取り消されるところが珍しくありません。

入学金は25万円~30万円程度かかります。併願受験をしている場合、第2志望校に合格したけれど、まだ第1志望は結果待ちや試験がこれからというケースもあります。そんなときには第2志望校の入学金を納めるかどうかに迷うはずです。せっかく学校からいただいた合格は、できれば大切にしたいものです。入学を確保する「保険」として払っておく手もあります。しかし、一度納入した入学金は後で入学を辞退しても戻ってきません。決して小さな金額ではありませんから、出願する学校の入学金の金額と納入スケジュールを確認するときに、いざ合格通知を受け取ったときにどう判断するのかも考えておくのがおすすめです。

一部の小学校はこのようなケースに対応するために、入学手続きを済ませておけば入学金の納入期限を延長してくれるところがあります。ただし延納の手続き料として3万円程度かかることがあります。併願校を決めるときには、こうした制度の有無も含めて検討するといいのではないでしょうか。

出願料は、小学校受験最後の出費です。しかしそれで終わりではなく、合格発表後には入学金納入があり、やがて授業料や施設設備費など小学校生活にかかる支出も待っています。結果がわからない段階では難しいものですが、想定されるシナリオを整理してお金の準備もしておくと安心だと思います。

 
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、健康経営エキスパートアドバイザー

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