ツイッター有料化はあるか?マスク氏の評伝日本語訳者に、買収劇を展望してもらった

過去には「個人ジェット追跡ボット」で悩まされたことも...
ライター
  • イーロン・マスク氏の評伝日本語版訳者にツイッター買収劇を聞く
  • マスク氏はツイッター「個人ジェット追跡ボット」に悩まされた過去も
  • 買収後の改革案について本人確認、有料化構想が出てきた背景とは?

米テスラCEOで起業家のイーロン・マスク氏が、約440億ドル(約5兆6000億円)でツイッター社を買収することが決まった。ツイッター社が25日、マスク氏が提示していた買収提案に合意した。マスク氏の半生を詳しく描いた評伝『イーロン・マスク  未来を創る男』(アシュリー・バンス・著 講談社)を翻訳した斎藤栄一郎氏に、マスク氏の人物像や今回の買収劇について聞いた。

「次世代のジョブズ」冷徹な面も…

南アフリカ共和国・プレトリアで生まれたマスク氏は、18歳でカナダに移住。カナダの大学に進学した後、アメリカに移住しペンシルベニア大学やスタンフォード大学院に進んだ。ITビジネスで成功後、2002年にロケットの製造開発を行うスペースX社を起業し、2004年に電気自動車テスラ・モーターズ社に出資した。

執念にも似た信念の強さと、決めたことを成し遂げる行動力や実行力が並外れた人間です。火星移住に興味を持ち、そのとっかかりとしてロケットを打ち上げようと考えたんです。当初はロシアから中古のロケットを買おうと現地に乗り込んだのですが、まったく相手にされず、憤りと失望で帰国。それなら自分でやってみせると考えたのがマスクらしいところです。彼の描いている未来像は何なのか、一般人には計り知れない部分もある。次世代のスティーブ・ジョブズとも呼ばれています

経営者としての手腕も、ジョブズを彷彿させる面がある。

非常に冷徹な面もあり、右腕として重用してきた部下を容赦なくクビにするようなこともありました。

有料化構想…改革案の背景は?

bombuscreative/iStock

これまでマスク氏は、ツイッターによってさまざまな迷惑を被ってきたという。

事実であれフェイクであれ、ツイッター上のネガティブな投稿が自社の株価に影響を与えることもしばしばありました。また、自身のプライベートジェットの居場所を自動的にツイッター上に投稿するボット(人間を介さない自動投稿システム)にも困っていました

今年1月には、ボットを作成した19歳の大学生を相手に「5000ドルを払うからアカウントを削除してくれないか」とマスク氏本人がツイッター上で直接交渉する場面もあった。

マスク氏が発表したプレスリリースでは、「スパムボットの撃退」、「すべての人間の認証」などが改善案として出されています。「すべての人間の認証」とは、アカウントの本人確認を指すと考えられます。こうした改革案には、本人がこれまでツイッターで迷惑してきたという恨みもあるのかもしれません。

過去には、ツイッターアカウントの有料化や、広告排除の可能性も取り沙汰されてきた。ツイッター上にあふれるフェイクニュースやヘイトスピーチなどの問題は、日本でもしばしば議論の的となっており、日本のネット空間も決して他人事ではない。

買収後の半年から1年ぐらいの間に、大きな変更が起きても不思議ではありません

魑魅魍魎が跋扈するツイッター空間に、ついに変革の時が訪れるのかもしれない。

 

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