「NTT法撤廃強く反対」楽天・三木谷氏、国会議員に直訴

ソフトバンク、KDDI社長とXで“共闘”も

楽天の三木谷浩史会長兼社長は15日、東京・永田町の衆院議員会館第1で講演。聴講した与野党47人の国会議員らに対し、苦境が続く携帯電話事業参入の意義や、自民党が進めるNTT法廃止への反対を訴えた。

講演する三木谷氏(15日、東京・永田町で。編集部撮影)

講演は三木谷氏が代表理事を務める新経済連盟が国会議員向けに開催したビジネスセミナーの中で、日本の国際競争力と経済安全保障の強化をテーマに行われた。

三木谷氏は、既存の携帯電話ビジネスとの違いについて「今まで携帯ネットワークは独自の企画、独自のベンダーロッキングで行われていたが、それがオープンになり、イノベーションがどんどん起こっていく」と述べ、多様なベンダー製の機器を生かした通信網「Open RAN(オープンラン)」などの楽天モバイルの取り組みを説明。

さらにオープンランにより、「低価格、高品質、無制限が重要だ」と顧客のメリットを強調した上で、経済安全保障上のリスク排除にもつながるとの持論を展開。

世界の5G基地局の市場占有率で、中国のファーウェイが最多の31.9%を占めるなど特定の国や大手ベンダーによる寡占状態にあることから、通信規格がベンダーの多様化ができるオープンランにシフトすることで色々なベンダーが競争でき、色々な選択肢ができる」と強調した。

NTT法改正反対へライバルと共闘も

NTT法撤廃に「強く反対」を言明する三木谷氏(編集部撮影)

一方、三木谷氏はこの講演に先立つ前日、自民党が検討しているNTT法改正の動きをX(旧ツイッター)で牽制して注目された。「『NTT法を廃止』して、国民の血税で作った唯一無二の光ファイバー網を完全自由な民間企業に任せるなど正気の沙汰とは思えない」と投稿すると、

ソフトバンクの宮川潤一社長も「有事の際、東電のような惨事でも支えるのは当たり前で、国の重要インフラだからてす。一民間企業の持ち物にしては決していけません」と呼応。

さらにKDDIの高橋誠社長も、「NTT法を単純に廃止する事は、公正競争の観点、有事への対応の観点からもあってはならない」と同調し、NTTドコモのライバル3社が揃い踏みする異例の展開があった。

三木谷氏はこの日の講演でもNTT法廃止反対の姿勢を改めて示し、「国のお金で作った光ファイバーは国が管理できる形で安く、競争をキープできる仕組みにしておかないとまずい」と述べ、国会議員らに理解を求めた。

会場には松本剛明前総務相や下村博文元文科相、柴山昌彦元文科相らの姿も見られ、通信ビジネスの世界的な潮流や、楽天モバイルの事業展望などについて質疑応答が交わされた。

【おことわり】三木谷氏の講演全容について当初サブスクでお届けする予定でしたが、編集作業の過程で、講演内容がスライドをご覧にならないと理解が難しいことから今回は断念いたします。

 

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