「大いにウェルカム」SBI北尾氏、村上氏の新生銀株取得に意外な歓迎のワケ

上半期決算発表、通期初の1兆円見通し

SBIホールディングスは10日、上半期(24年3月期)の売上高が過去最高の5748億円に達し、通期で初となる1兆円超えの見通しを示した。好調な業績を背景に、SBI新生銀行や手数料無料化などの注目トピックを巡り、北尾吉孝会長兼社長もいつになく饒舌となった。

SBIホールディングス・北尾会長兼社長

SBI新生銀行を巡っては、上場廃止直前に村上世彰氏が関係する投資ファンドが駆け込みで株式を9.75%取得。非上場化により、公的資金3500億円の返済に向けた経営改革を進めていく中での“横槍り”が注目を集めていた。

北尾会長は村上氏と2、3度会談したことを明らかにし、大いにウェルカム。彼のいろんな知見を生かしてもらったらいい」と歓迎する意向を示し、「銀行にとっていいことは彼にとっていいことにつながっていく」と株主として利害が一致することに前向きな姿勢を示した。

村上氏(村上財団プレスリリースより)

意外にも見える歓迎の理由には村上氏が株式取得に使った560億円の存在だ。この“村上マネー”を活用する形で、7月に参入を発表した半導体事業への出資予定額を500億から1000億に引き上げたことを明らかにし、「村上さんのおかげでそういうこともできました。大いに結構」と述べ、(村上氏が)突然入ってきてお困りなんじゃないかと記者から言われていたが、全く困らない」と強調した。SBIは10月末、台湾の半導体大手、力晶積成電子製造(PSMC)との合弁で、宮城県内に工場を建設することを発表している。

一方、この日は急増する新規口座開設の動きも注目を集めた。傘下のSBI証券など3社の口座数は、3年前に野村を抜いて業界トップに立ち、今年9月時点で1100万に到達した。8月に発表した手数料無料化や、来年1月に始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)を見据え、口座開設の動きが加速した。無料化発表後、楽天証券などからの移管が激増した動きも強調した。

北尾氏は「お客は正直だ。『楽天、大丈夫か』(と思われている)」と述べ、携帯電話事業で苦境が続く楽天の経営も影響しているとの見方を示唆した。

 

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