処理水放出で「食べチョク」が福島の漁業者支援へ、影響したケースでは早期入金も

消費者アンケートも実施

東京電力福島第一原発の処理水海洋放出で、漁業の風評被害が懸念される中、産地直送の通販サイト「食べチョク」の運営会社ビビッドガーデン(東京・港区)は25日、福島県の漁業者向け支援策を発表した。中国が日本からの水産物の輸入を全面停止し、揺さぶりをかけてくる中、民間ベースで漁業者を下支えする取り組みが今後広がりそうだ。

福島の代表的な漁港の一つ「小名浜港」(croissant /PhotoAC)

「食べチョク」は、元DeNA社員で、実家が農家の秋元里奈社長が独立後の2017年に開設。今年6月には経産省の「日本スタートアップ大賞」で 農林水産大臣賞(農業スタートアップ賞)を受賞するなど、農産物や海産物の生産者と消費者を直接つなぐECサイトとして近年注目を集めている。

今回打ち出した支援策は、毎月数百件の生産者から登録申請がある「食べチョク」での出品を希望する福島県の漁業者を優先的に審査対応し、通常は5〜8営業日程度かかるところを最短1日に短縮するほか、処理水問題の影響で売り上げが2割以上減少した漁業者には早期で入金できるようにするなど支援体制を手厚くする。

同社によると、福島の漁業者の「食べチョク」での出品は現在1件にとどまる。原発事故後長らく操業自粛を強いられ、水揚げ量も事故前の2割ほどに減少してきた背景もありそうだ。しかし新たな販路ができることで処理水を巡る風評の試練を乗り越えるだけでなく、本格的な操業再開へ向けた追い風となる可能性がある。

また同社は合わせて消費者向けにもアンケート調査を行い、今回の問題を受けての消費者の関心がどこにあるか探ろうとしている。

秋元社長はこの日、X(旧ツイッター)で「まだどのような影響が出るか分かりませんが、中国の輸入停止なども踏まえて現時点でできることを考えました。生産者ファーストを掲げる企業として状況に応じた対策を積極的に講じていきます」とコメントした。

政府と東電は24日昼過ぎから処理水の海洋放出を開始。IAEA(国際原子力機関)は同日夕(日本時間)、放出に際して検出した処理水のトリチウム濃度について「上限値の1,500 ベクレル/リットルをはるかに下回った」との速報結果を公表した。日本の環境省は27日午前、周辺海域10か所で採取したサンプルのトリチウム濃度の分析結果を発表する予定だ。

 

関連記事

編集部おすすめ

ランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

人気コメント記事ランキング

  • 週間
  • 月間

過去の記事