「政治家絡みか?」電動キックボード規制緩和、ネットは議論過熱で陰謀論も

16歳以上20km以下なら免許証不要に
ライター/SAKISIRU編集部

警視庁はこれまで「原付バイク」扱いだった電動キックボードのうち、最高時速20km以下のものであれば16歳以上の場合、運転免許証が不要となる方針を示した。最高時速を6km以下に制御した車両については、歩道での通行も認めるという。また、ヘルメット着用は義務ではなく、努力目標となる見通し。ナンバープレートの表示や自動車損害賠償責任(自賠責)保険への加入は必須となる。

Prostock-Studio/iStock

このニュースを受け、ツイッター上では意見が真っ二つに分かれた。「嬉しい」「やっと来た!」「かなり便利になる」といった意見があった一方、「事故が増えそう」「危ない、規制緩和は止めて」「歩行者にとってかなり危険」といった心配の声も目立った。

トラックドライバーで『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)の著書があるフリーライターの橋本愛喜氏は、ヤフーニュースのコメント欄で次にように指摘。

いまだ利用者にルールが浸透していないこの不安定な乗り物に対して、国が規制を強化するのではなく、むしろ緩和するに至った理由が知りたいです。

さらに、「トラックドライバーの目線からも、「安全性」を任意にするべきではないと強く思います。また、「条件次第で歩道も許可」とのことですが、この乗り物はタイヤの径が小さいため、速度が遅いと点字ブロックなどの障害物に負けて転倒する可能性も高まります」として、規制緩和案の危険性を指摘している。

日本事故防止推進機構理事長の上西一美氏もヤフーニュースのコメント欄で、次のように警鐘を鳴らしている。

(編集部注:自転車事故と)類似した事故が発生する可能性は非常に高いと思います。まず、免許不要により、車両からは想定外の動きをする事が非常に危険です。さらに、ヘルメット不要との事ですが、これも自転車事故の統計を見ればすぐわかりますが、死亡率が明らかに上がります。また、一部歩道走行可という事ですが、時速20km前後での車両と歩行者との衝突事故の際、歩行者の死亡率は0.9%です。それに近い死亡率はあると思われますので、注意して頂きたい。

ネット上では「危険だからこれまで規制強化してきたのになんで急に?政治家絡みか?」「こんなに急速な規制緩和は政治家の意向が働いているはずだ」といった陰謀論めいた意見も確認できた。

こうした意見に対しては、電動キックボードをはじめとした次世代モビリティを各方面から取材してきた自動車ジャーナリストの桃田健史氏は、ヤフーニュースのコメント欄で「社会背景、業界事情、国際社会との協調性など様々な立場での意見から、今回の規制緩和へと至る」と否定。そのうえで、「社会における一人ひとりが、電動キックボードに対してどう捉えるのか?さらなる議論をして、法として、また地域社会でのルールとして、直すべきところは直すべき」としている。

2022年の通常国会で議論される予定のこの規制緩和案。国会での議論を経てどのようなものになるか、注目したい。

 

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