“岸田が人事を急いだ理由は統一教会ではない” 永田町で出回ったLINE怪文書

「お盆明けにも、現職国会議員が逮捕される模様」(!?)
SAKISIRU編集長
  • 岸田改造内閣発足の日、永田町でLINEを通じ怪文書が出回る
  • 人事の前倒し理由を「統一教会だとされていますが、真相は違う」
  • 「とにかく、特捜部は国会議員をやりたい」と強調。取り沙汰される名前

第2次岸田改造内閣が発足した10日、筆者のLINEに永田町で出回る「怪文書」が送られてきた。

月刊Hanadaの拙連載「ファクトチェック最前線」の今月発売号の締め切りが迫ってきたので、格好のネタになる気もしたが、2週間後の誌面発売まで鮮度が持つのか微妙なのでSAKISIRUで書くことにする。

旧官邸で久々に行われた岸田改造内閣の記念撮影(官邸サイト)

改造内閣発足の裏で怪文書

この日は新しい閣僚の任命式が皇居で行われ、新内閣発足の記念撮影は官邸の階段が工事中のため、懐かしき旧官邸(現公邸)の階段で執り行われるという珍しいシーンも。夕方には岸田首相が記者会見をし、改造内閣について「政策断行内閣」と随分と荒ぶったネーミングを自称した。

そんなセレモニー色に彩られた裏で、永田町に出入りする議員や秘書、メディアなどの関係者の“チェーンメール”ならぬ“チェーンLINE”ともいうべき怪文書が飛び交った。

「岸田が人事を急いだ最大の理由は…」の書き出しで始まる思わせぶりな中身は、東京五輪・パラリンピック組織委員会を舞台にした「汚職事件」との関連を取り沙汰するものだ。元週刊文春記者の赤石晋一郎氏が10日昼過ぎ、「東京地検特捜部が五輪汚染高橋氏周辺の自民党国会議員を逮捕する可能性があるとの見方が浮上している」とツイートしているが、おそらくその怪文書の中身を見ているからだ。

他にもこの問題を発信している人もいるようなので、「半ば公の事実」になっている。なので以下パラグラフごとに引用しながらコメントしてみよう。

岸田が人事を急いだ最大の理由は、「五輪汚染」の高橋周辺の自民党のバッジ(国会議員)を東京地検特捜部が逮捕したいからだそうです。 その議員の名前も出ています。 改造・自民党人事を前倒しした第一の理由は「統一教会」問題だとされていますが、真相は違うようです。

現職議員に逮捕者が出てからの組閣や人事では、政権維持にも関わりますから。

なるほど、確かにこれはありそうな話で、かつ面白い。そしてこの情報の出所として特定の放送局と大手新聞社が名指しされる(オリジナルでは○○は実名が入っている)。

出所は、○○、○○の双方からだそうです。

そして怪文書は国会議員がどういう容疑でしょっ引かれるのかに触れている。

お盆明けにも、現職国会議員が献金とか裏金とかではなく、所得税法違反のような容疑で逮捕されるもようです。

これもなかなか信憑性がある。所得税法違反は特捜部の捜査事件の「入口」で、特捜部が身柄とブツの差し押さえに急ぎたい時、よく使う“別件逮捕”の手口だ。金の流れの性質に踏み込む前に金の流れが不正だったという外形で立件しやすいからだ。最近では日大の背任事件で元理事長が逮捕された時の容疑が同法違反だった。

「とにかく、特捜部は国会議員をやりたい」

そして最も気になるのが誰が逮捕されるのか。

森は国会議員ではないし、遠藤も職務権限は曖昧ですから対象外。

この「森」は言わずもがなを辞任した森喜朗元首相。オリンピックの半年前に「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」という発言で大炎上し、組織委員長退任に追い込まれた。「遠藤」は遠藤利明衆院議員。「職務権限は曖昧」と触れているが、安倍政権時代の2015年から1年余、初代五輪相を務めたことと職権との関係性を指しているとみられる。前述の元文春、赤石氏がツイートした「E」は遠藤氏のことだろう。

遠藤氏(自民党サイトより)

遠藤氏は谷垣グループに所属。岸田首相と同じ宏池会系でありながら、自民党の文教族のグルーピングで見ると、議員引退後も最大実力者とも言える森氏とは昵懇の間柄だ。物腰柔らかいイメージの反面、五輪相時代の2016年2月にスキャンダルが噴出した。

英語の授業で日本人教師を補佐する外国語指導助手(ALT)について旗振り役として予算化に成功した裏で、ALTの事業者側から5年間で1000万円近い献金を受けていたことを毎日新聞がスクープ。遠藤氏は疑惑を否定し、その後事件にはならなかったが、このスキャンダルが影響したのか、五輪相をこの半年後に任期1年で退き、丸川珠代氏にポストを譲っている。

10年ほど前のことだが、かつて遠藤氏とともに超党派で五輪招致活動に尽力した民主党(当時)の元国会議員が「遠藤氏の人柄は誠実」と話していたこともあり、この騒ぎの時はやや意外な印象を持った。岸田首相は今回の人事で最低限の「身体検査」をしていようが、万一、高橋治之元理事とAOKIの事件に関連して何か疑惑があったのなら、遠藤氏を総務会長という党役員でも最重要ポストにはつけまい。

そして怪文書はこう結ばれている。

とにかく、地検特捜部は、電通という会社の膿を出させるために国会議員をやりたいということ。

怪文書の「思惑」は?

今回の人事で指名されなかったのは誰なのか。これも赤石氏がセルフリプライで投稿しているように「H」の名前が永田町では駆け巡っているようだが、その人物は閣僚経験者ではあるものの、文教族ではなかったはずで、オリンピック関連で目立った印象は全くない。なんだかムダに怪しい気がするだけだが…。

永田町ではこの手の出所のいかがわしい怪文書が出回ることが日常茶飯事だ。出所とて前述の放送局や新聞社なのかも騙っているだけかもしれない。怪文書の“楽しみ方”としては、これを作成して流布した人間の思惑の読み解きだ。高橋元理事の事件を永田町関係者に“吹聴”し、五輪汚職疑惑をクローズアップするのが狙いに見える。自民党の主導権争いという政局的な事情からすると、森氏に連なる清和会にさらなるネガティブキャンペーンをしているようにも見えるが、果たしてどうなのか。

特捜部が高橋氏の自宅や電通本社にガサ入れしてから約3週間、高橋氏の身柄を拘束する事態に発展しておらず、永田町では「政界に気を遣って慎重に捜査している」という噂が流れている。そうした矢先、本当にお盆明けに事態が動くのか、酷暑にあって生温かい目で引き続きウォッチしてみようか。

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