Web3に大企業の勝ち筋はあるか?デジタル空間経済連盟が初カンファレンス

リアルと仮想融合で「メタバース大討論会」も
  • 大手企業主体の「デジタル空間経済連盟」が初カンファレンス
  • 岸田首相ら政治側も参加。金融、印刷、小売…各社の取り組み披露
  • 終盤はタレントも参加してメタバース大討論会

SBIホールディングスや野村証券、電通などが参加する一般社団法人「日本デジタル空間経済連盟」(代表理事:北尾吉孝SBIホールディングス会長兼社長)が8日、東京・六本木で昨年4月の設立後初となるイベント「Digital Space Conference(デジタル スペース カンファレンス)」を開催した。

挨拶に立つ北尾代表理事(編集部撮影)

北尾代表理事は冒頭挨拶で「デジタル空間経済の健全な発展に資するよう、ルールメーキングや事業環境の整備が必要になる。この分野は国ごとの競争が起こってくるから、官民一体となった取り組みが必要になる。政府、省庁の皆様はもちろん、国内外の企業、経済団体、業界団体等の連携がしていくよう、(連盟が)ハブになる」と意気込みを語った。

続けて岸田首相の祝辞と木原官房副長官の基調講演を事前収録した動画が公開。岸田首相は「デジタル空間における経済活動の活性化は、社会課題解決や新しい資本主義にとって大変重要」と政権の看板政策を引き合いに「この分野は官民一体となって推進していく分野で、連盟には推進役として大きな期待をしている」と述べた。

ビデオで祝辞を寄せた岸田首相(編集部撮影)

また、木原氏は「Web3.0は近年バズワードになっているが、コンテンツ、技術力、そして人材を武器に日本が勝ちに行ける少ない分野の1つ」と期待を寄せた。

Web3政策の展望を語る平氏(編集部撮影)

自民党のweb3プロジェクトチーム(PT)座長を務める平将明衆院議員が登壇し、「大企業はグレーゾーンが多いと、(Web3に)入って来られない。ただ、規制を強化するのではなくイノベーションがしやすいように実装していかなければならない」と強調。

さらに今後のWeb3政策について「今年はステーブルコインが日本で発行され、世界に先駆けて進んでいく。DAO(分散型自立組織)は議員立法で進めていく」などと展望を示した。

続けて、KPMGジャパンからWeb3.0による経済活動のマクロな動向について解説がなされた後、連盟に加盟する大手企業などによる最新の取り組みも紹介された。

アフラック生命保険は、現行のデジタルサービスを拡充させる形で、メタバース上に「ほけんショップ」を開設する取り組みを紹介。学資保険のコンテンツでは、子どもの未来の職業を疑似体験しながら、将来の学費などマネープランをシミュレーションできるという。

凸版印刷中尾光宏常務が冒頭、自身のアバターだけを映写させてから登壇し、「(その気になれば)40分アバターだけで講演ができてしまう時代になった」と技術面の進化を強調。メタバース上に江戸時代の光景を再現した城郭をアバターで観光案内する様子から、AIクローンの医師が麻酔投与時の患者に説明するデモ動画、アバターの不正利用を防ぐ管理システムなど、同社が開発したメタバースの多彩な取り組みをアピールした。

メタバースの城観光案内を映写する凸版印刷の中尾氏

デジタル空間の金融の未来を論じるセッションでは、野村総研、野村ホールディングス、SBIホールディングスからデジタル金融に詳しいスペシャリストが登壇。議論では、メタバースが顧客との新しい接点になる方向性は同意しつつ、金融商品をメタバース上で販売することについては、SBIの(みかづき)仁雄・デジタルスペース室部長が「金商法でレギュレートされた我々が手を出せるのか」と述べるなど、業界全体で実装までの課題が多い現状を窺わせた。

金融トークセッション(編集部撮影)

このほか、エンタメ領域のWeb3.0の可能性について、リミックスポイント小田玄紀社長とgumi川本寛之社長が討議。ブルボンイオンの担当者がメーカーと小売のメタバース活用について紹介した。

終盤はメタバース大討論会を開催。タレントのなかやまきんに君や、お笑いコンビ・たんぽぽが会場でリアル登壇し、VRアーチストのせきぐちあいみ氏、経済学者の成田悠輔氏、YouTuberのバーチャル美少女ねむ氏の3人の専門家がリモートで参加。「メタバースで恋愛はどういう形になるのか」「NFTでアーティストにどう還元されるのか」など、初心者にもわかりやすいテーマも交えながら、議論が盛り上がった。

リアルとバーチャルで討議した「メタバース大討論会」(提供写真)

 

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