機能不全の国連を前に、日本は何ができるのか?

橋爪大三郎「ポスト国連時代」の安全保障論 #2
ライター・編集者

【編集部より】ウクライナ侵攻、台湾危機を前に国連の機能不全を覆い隠せなくなった新時代。日本はどうすればいいのか。新著『核戦争、どうする日本?――「ポスト国連の時代」が始まった』(筑摩書房)で渾身の提言をした社会学者の橋爪大三郎さんに思いの丈を引き続き伺います。(3回シリーズの第2回)

橋爪大三郎(撮影/佐藤類)1948年生まれ。社会学者。大学院大学至善館教授、東京工業大学名誉教授。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。著書多数。近著に『性愛論 』(河出文庫)、『皇国日本とアメリカ大権』(筑摩選書)、日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す』(集英社新書)など。

プーチンは地獄のフタを開けた

――ロシアによるウクライナ侵攻についてはどのようにお考えですか。

【橋爪】プーチンは地獄のフタを開けてしまった。国連安保理の常任理事国であるロシアが勝手に「特別軍事作戦」を宣言して隣国を侵略した。ロシアを常任理事国の座から引きずりおろすことができないし、平和維持のための国連軍も組織できない。国連が完全に機能不全に陥っています。仮に中国が似たような軍事行動を起こしても、やはり国連は何もできないでしょう。この事態にどう立ち向かうのか。日本は全く準備ができていません。

――「戦争はいけない」というこれまでの平和論の話でなしに、もっと根底から国際秩序が覆されたのだという危機感が、どうも日本では感じられないんです。むしろリベラル派の中には、「ロシアが悪いのではない、アメリカが悪い」という声もあります。

【橋爪】それはものごとを「政治」で考えているからでしょう。

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