丸亀製麺イギリス進出:うどん価格が示す日本の「国力低下」

かけうどん価格、国際比較であの国にも負ける...
  • 海外展開中の丸亀製麺がイギリス進出。かけうどん600円でも超破格と長蛇の列
  • 13カ国のかけうどんの値段を国際比較してみたところ日本は7位で韓国にも敗退
  • インドネシアとも僅差に。日本の低価格路線は国力の衰退につながっている危惧も

日本でも人気の丸亀製麺のイギリス1号店が26日(現地時間)にオープンし、ロンドン・シティー中心部のリバプールストリートに100名以上の行列ができて話題となっている。2025年までに世界6000店舗を目指している同社。人口減の日本国内だけでは需要が頭打ちなのもあって世界進出を狙っている。

丸亀製麺UKサイトより

値段は日本の倍でも英では“超破格”

メニューは、店内にある製麺機での麺作りが一から見られるうどんに加え、顧客の目の前で揚げる天ぷらやおにぎりなどのメニューに、青ネギ、しょうが、天かすなどの薬味が無料でトッピングできる日本でもおなじみのスタイルだ。現地ロンドンのグルメサイトでも、開店前から「すでにラーメンに夢中になっている英国のレストラン客にアピールする可能性がある」と話題になっていた。さらに「コロナ禍で都心の店舗は空きがちなため、今は進出のチャンスだろう」とエールを送っている。

ロンドンではロックダウンが解除されはじめた。東京オリンピックで日本に関心が集まっている可能性はあるとはいえ、何故これほど多くの行列ができるのだろうか。もちろん、うどんの美味しさや、物珍しさは当然のこととして、現地での値段の安さがなにより現地の人たちの興味を引いているという。

ロンドンの物価は高いことで知られている。先にロンドンに進出している日本のラーメンチェーン店は、現地の相場にあわせて一杯2000円程度に設定されているが、丸亀うどんの戦略は、日本と同様に世界でも低価格を貫く方針だ。現地のサイトには早速「新鮮なうどんが、サンドイッチ並みの安さなのには驚きました」などと、店への感想が口コミとして載せられていた。

同店でのかけうどんの価格は約600円(3.95ポンド)。日本では同メニューの価格は320円なので、日本の倍近い値段がついていることになる。それでも、2000円前後はするロンドンのランチ相場からすると破格の値段だということだ。

丸亀製麺といえば、ハワイ・ワイキキの店舗が常に大行列をなしているのもよく知られている。2011年に出店した一号店は、売上ランキングで1位だという。こちらでも、かけうどんの値段が413円(3.75ドル)と同じく日本よりも高い。ハワイでもランチの平均価格は1700円程度とされているのでうどんの値段は相当に格安だといえる。日本のうどんの美味しさが世界に受け入れられているのは嬉しい反面、海外のランチ相場と日本のそれはどんどん乖離が生じている。

丸亀製麺は海外進出から10年がたち、今や海外13カ国に240店舗以上あるのだという。シンガポール、アメリカ、フィリピン、ベトナム、オーストラリア、台湾、インドネシア、ロシア、韓国、中国、香港、タイにイギリスが加わった。東南アジア圏においても現地の人にとってもリーズナブルな価格帯で勝負しているという。

「かけうどん」の価格を国際比較すると…

では、世界のかけうどん(並)の価格がいくらなのか見てみよう。

国際価格比較-

丸亀製麺 世界のかけうどん(並)>

ロンドン     602円(3.95ポンド)

アメリカ(本土) 496円(4.50ドル)
KPS-istock
オーストラリア   471円(5.8ドル)

シンガポール   487円(6シンガポールドル)

アメリカ(ハワイ)413円(3.75ドル)

韓国        374円(3900ウォン)

香港        354円(25香港ドル)

日本       320円

インドネシア    296円(39000ルピア)

ベトナム      263円(55000ドン)

台湾        269円(69元)

中国        255円(15元)

ロシア       224円(150ルーブル)

カンボジア     209円(1.9ドル)

フィリピン    207円(95ペソ)

(※開店時から現在の公表価格を含む。7月27日のレートで換算)

当然ながら、値段の高さはその国の購買力を示す。価格を国際比較してみると、”金メダル”は602円のイギリスとなる。日本はメダル圏外の7位だ。ちなみに、丸亀製麺のかけうどんの日本での値段は今年3月に値上がりして、290円から320円に上がったばかりだ。

驚くのは韓国(374円)や香港(354円)の価格のほうが日本の価格よりも高いことだ。先のOECDの調査で、日本よりも韓国の方が平均賃金が高いことが話題となったが、庶民向けとされるうどんの価格においても、それを裏付ける結果になっている。購買力が上昇し物価も上昇傾向にあるインドネシアとも、価格差が僅差の状態となってきている。気がつけば先進国と日本の物価差に取り戻せないほどの乖離ができ、さらにはアジア諸国にまで追い抜かれていることには驚愕を隠せない。

「安い日本」がとりわけ国内で歓迎されており、一つの戦略として奏功しているのは間違いないだろうが、その一面で、成長する海外に比べ、相対的に日本の国力が低下していることを示しているのだとしたら寂しいものだ。

 

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