【参院選2022】東京選挙区、片山さつき氏と蓮舫氏のビミョ〜な「頂上決戦」なるか

都民ファ荒木氏は「小池の当て馬」なのか
SAKISIRU編集長
  • 自民党の片山さつき参院議員が二階派退会をめぐって「泥試合」
  • 文春報道で東京選挙区鞍替え説。実現なら蓮舫氏との頂上決戦
  • 殴り込む都民ファは荒木氏だが、小池出馬の当て馬でないのか

自民党の片山さつき参院議員(全国比例)がこれまで所属していた二階派(志帥会)に退会勧告を突きつけられる異常事態となっている。週刊文春が10日の発売号で、片山氏が夏の参院選で東京選挙区への鞍替えをめざしていたとも報じており、今回のトラブルとの関連があったのか注目される。

一方、都民ファーストの会の同選挙区候補者として、荒木千陽代表が21日に浮上するなど、「首都決戦」に向けた水面下の攻防戦が激しくなりつつある。筆者は正月に同選挙区の展望記事を書いたが、このタイミングで少しアップデートしてみたい。

片山さつき氏(2018年大臣就任時、政府インターネットテレビ)

片山氏、二階派に「人権侵害」

まず片山氏の件から触れよう。片山氏の派閥離脱の話は先述の文春報道が先駆けだった。それから半月近く世の中で大した話題にもならなかった中で急転したのが21日夕方。テレビ東京が「独自」ネタとして二階派が「派閥を退会するよう促す退会勧告通知書を出した」「退会の意思を派閥幹部には伝えておらず」などと報じてから、他社も一斉に追随した。

これに対し、片山氏は同日深夜、ツイッターで反論し、昨年12月の時点で二階氏に対し「はっきりと退会の意志を会長に直接お伝えしており、その後約 2ヶ月、その方々から、私に何のご連絡もありませんでした」と投稿した。

ところが、これで事は収まらない。一夜明けた22日午前、二階派は会長の二階氏、中曽根弘文林幹雄両幹事長代行、武田亮太事務総長の連名で、派閥の担当記者に広報文を配布、片山氏が昨年末に退会を申し入れたとする経緯について「事実無根であることを確認した」と全否定してみせたのだ。

すると片山氏はこれに猛反発。ツイッターを連投し、「私が封を開けるより先にマスコミに公表されています。他にもメールでも似たような内容を回していると、通報がありました。人権侵害です」「私は連絡取れない状況など一度も作っていません。しょっ中党本部で何かの会合に出席しているか主催しており、私は総務会長代理ですから週に二回二階派から出ている複数の総務とご一緒」などと再反論した。

片山氏の東京鞍替え説

二階派の中堅議員は筆者の取材に「本当に何が起きているかわからない」と口が重たそうだったが、文春が指摘したように、片山氏の東京選挙区への鞍替えが取り沙汰されており、二階氏らの激烈な反応は、その進展具合が何かしら影響している可能性もある。

東京選挙区の自民現職2人のうち、中川雅治元環境相は今季で引退。中川氏が安倍派(清和会)所属のため、その後継者も、安倍氏側近で自民都連会長の萩生田経産相が「安倍派枠」で継続したい意向を持っていると報じられている。

朝日氏(参院サイト)

自民党関係者に複数取材すると、昨年引退した著名アスリートや元民放キー局アナウンサーの女性らがリストアップされたが、ビッグネームほど難色を示したようだ。ただ、もう1人の現職、朝日健太郎氏が元バレーボール日本代表の「タレント候補」ということもあり、都連内部には「無党派層向けの朝日氏と同じタイプの候補者より、官僚出身の中川氏と同じような手堅いタイプの方が(業界団体など)組織との相性がいい」との意見もあり、なるほどと以前思った。

もし片山氏であれば、朝日氏とは違うキャラクターになる。財務官僚出身で安倍政権の終盤には大臣も経験。組織団体のネットワークも強い。それでいて初当選した郵政選挙当時以来、メディアでの露出も多く、自民の女性議員の中でも指折りの知名度があり、「テレビ選挙」の東京選挙区向きだ。

泥試合の片山氏 vs. 国籍騒動の蓮舫氏

仮に片山氏の鞍替えとなれば、プライドの高い彼女のこと。蓮舫氏とのトップ争いがどうなるか見ものだ。政界入りは蓮舫氏が1年早いが、知名度はやや蓮舫氏に、政治行政経験は片山氏に、それぞれ分がある。大臣経験も互いにある。候補者としての総合力では「互角」。特にワイドショーやスポーツ紙、週刊誌が「女の対決」「首都頂上決戦」とばかりに、選挙戦が盛り上がる要素はある。

蓮舫氏(立憲民主党サイト)

とはいえ、片山氏がSNS上で“大立ち回り”するあたり、ネットで話題にはなっても、「派閥の離脱でこうした形で揉めるのは前代未聞の泥試合」(自民議員秘書)。騒動が長引けばレピューテーションに影響する。

派閥も違う岸田総裁(岸田派)も茂木幹事長(茂木派)も収める腕力はないし、できれば関わりたくないだろう(苦笑)。安倍元首相二階前幹事長との間で妥結するしかないのではないか。(揉め事の根幹が選挙区シフトならば)、個人的には、岸田首相と同じ宏池会系でありながら、森元首相にも近い遠藤利明選対委員長が和平のキーパーソンになる気がする。

他方、蓮舫氏も弱含みだ。前回当選後に民進党(当時)代表に就任も、国籍問題が勃発。その求心力には明らかに陰りが出た。その去就への注目度は相変わらずで、衆院転出や参院比例区転出の噂がくすぶり、2週間前の週刊新潮は、母親が勤めていたファミリー企業の社長になったと報道。「食料品の輸出入」とあるので、この会社は、国籍問題の時に脚光を浴びた、台湾人の亡父が創業したバナナの輸入会社(当時)と同一法人かもしれない。

蓮舫氏、片山氏、ともに永田町で酸いも甘いも知り尽くしたベテラン同士。新鮮味は全くないビミョ〜な2人の対決はあるのだろうか。

本当に荒木氏は「当て馬」でないのか

なお、末筆ながら新たに候補者として浮上した都民ファ代表の荒木氏にも触れておくと、小池氏があとでサプライズ出馬するシナリオを仕込んだ上での「当て馬」でないのであれば、とてもではないが、当選ラインの50万票以上を取るのはキツいのではないか。

新党名のフリップを手に写真撮影に応じる荒木氏ら(筆者撮影)

テレビ選挙そのものである首都の参院選は、①世代を問わない知名度、②タレント性(=芸能人という意味ではない)、③強固な組織基盤--といったなんらかの絶対的な強みが不可欠。しかし荒木氏は少なくとも①②のタイプではない。

おそらく左派野党の弱体化、無党派寄りの与党支持層の流動化、そして「小池人気+連合票」で勝てると当て込んでいるのだろう。ただ、組織的には連合が全面支援しても、まだ力のあった2010年代の首都決戦で、蓮舫氏以外の民主党系候補者はことごとく苦戦してきた。

昨年の都議選で確かに都民ファは都内全域で100万票を獲得したが、保守系寄りの無党派層はスイッチングコストが低い。前述の片山氏が出てきた場合には選択肢にもなるし、維新が知名度やタレント性のある候補を出してくればどうなるかわからない。町田市長選で維新は、連合が支援する現職に完敗したが、同日の市議選(定数36)では維新の現職2人が2、3位に躍進都民ファは新人1人に絞ったのに、下から2番目の35番手に滑り込むのがやっとだったことを見ても、党勢が落ちていることが窺える。

そして首都決戦は、2007年の川田龍平氏、13年の山本太郎氏のように無所属でもジャイアントキリングがありうる。移り気な都民の心を掴もうと各党の苦心はまだまだ続く。

 

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