日本酒NFTが1本888万円で完売、NFTで「偽装酒」はなくせるか

「唯一性」証明が世界的に重要になる背景
ライター/SAKISIRU編集部
  • 日本酒「懸橋(ケンブリッジ)」のNFTが“史上最高額”の888万円で完売
  • ウイスキー樽やヘネシーの限定ボトルでもNFT化の動き、その背景は?
  • 世界的に問題になっているお酒の偽造、NFTが対策の切り札になるか?

「Dojima Sake Brewery」が製造する日本酒「懸橋(ケンブリッジ)」のNFTが、1本888万円で売り出され、販売開始からわずか2日で完売した。日本酒のNFTとしては、史上最高額を記録した。

Dojima Sake Breweryで醸された「懸橋」(プレスリリースより)

「G20大阪サミット」でも振舞われた純米酒

「Dojima Sake Brewery」は、日本の文化を世界に発信することを目的に、イギリス・ケンブリッジ郊外に2018年にオープンした醸造所。母体は、大阪にある堂島麦酒醸造所で、日本企業がヨーロッパに設立した初の酒蔵。ここで造られた純米酒がヨーロッパ発の「SAKE」として、「G20大阪サミット2019」で各国要人に振舞われたことでも有名だ。

今回、888万円で売れたのは「懸橋(ケンブリッジ)」という銘柄の純米酒。一般流通に乗せてこなかったことから、愛好家やコレクターの注目度が高く入手困難な「ビンテージSAKE」として知られていた。

今後も一般流通に乗せることなく、所有できるのは、現地での数量限定販売での購入者のほか、メンバーズクラブ「The Dojima Member’s Club」のメンバー、世界各国から選りすぐられた1000軒のレストランに限られる。

ヘネシーのNFTは約2600万円で販売

このところ、日本酒だけではなく、お酒をNFT化する動きが活発化している。

9分で完売したウイスキーのNFT(プレスリリースより)

昨年、UniCask(東京都千代田区、クリス・ダイ代表、田中克彦代表)は、世界初となるNFTによるウイスキー樽の所有権管理を開始。昨年12月には、ひと樽に含まれる蒸留酒を分割のうえ、NFT化し販売を始めた。

第1弾として、シングルモルトスコッチウイスキー「スプリングバンク1991年 ビンテージ」のNFTが売り出され、販売開始からわずか9分で完売したことで大きな話題となった。

また、コニャックの最高峰として知られるヘネシーは限定ボトルのNFTを今年1月、高級酒に特化したNFTプラットフォームの「ブロックバー」で販売開始した。暗号資産「イーサリアム」で取引された価格は2600万円相当だ。

今年4月には、ヒューストン・ロケッツ(NBA)で活躍したスーパースター、姚明(ヤオ・ミン)氏が所有するワイナリーが製造した「The Chop Cabernet Sauvignon」という銘柄のワインをNFT化し、オークションに出品した。

偽造酒の対策は取っているものの…

なぜいま、お酒をNFT化する動きが強まっているのか。一番の要因は、お酒の偽造を防止できる点だろう。NFTの特徴として、改ざんが不可能で「唯一性」を担保できるという点がある。そのため、そのワインやウイスキーが本物であるか偽物であるかは、NFTを確認するだけで済む。

現在、ワインやウイスキーの高級品は、国境を越えてやり取りされ、時には投資の対象となっている。産地や製造年月日が捏造されたワインやウイスキー、中にはラベルを張り替えただけのものまで市場で出回っており、大きな問題となっている。

欧州委員会不正防止局の今年6月の報告によると、EUとモルドバで押収された偽造ワインは42万1000本に上り、EUとホンジュラスで約450万ユーロ(約6億2000万円)の偽造ラム酒が摘発された。また、576リットルの偽造プロセッコ(イタリア産スパークリングワイン)が押収されたという。

もちろん、偽造防止のために、生産者はワインやウイスキーにICチップやプルーフタグなど様々な対策をとっている。ただ、それでもなお、偽造酒が後を絶たない状況にある。世界中が偽造酒対策に頭を悩ませる中、デジタルの力で「唯一性」「希少性」を担保できるNFTが、世界から偽造酒を一掃させる切り札となるか。

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