東国原英夫氏、宮崎知事選に出馬表明!“そのまんま”の情勢で勝てるのか

「シン・どげんかせんといかん」…自民は塩対応
SAKISIRU編集長
  • 東国原英夫氏が今年12月の宮崎県知事選に出馬表明
  • 元参謀の渡瀬氏「ほぼ勝てない」。自民も現職推薦で全会一致
  • 厳しい選挙戦だが、活路はあるのか。かつて所属した維新の動向は?
宮崎県知事選への立候補を表明した東国原英夫氏(写真:スポニチ/アフロ)

元宮崎県知事でタレントの東国原英夫氏が17日、今年12月に行われる宮崎県知事選(12月8日告示、25日投開票)に無所属で立候補することを表明した。

東国原氏の政界復帰は近年、かつて169万票を集めて次点だった東京都知事選への出馬が「お約束のネタ」で取り沙汰されていたが、真剣勝負の舞台に選んだのは意外にも古巣だった。

元参謀の渡瀬氏「ほぼ勝てない」

無所属での出馬を予定しているが、「全政党に推薦願を出す検討をしている」と東国原氏。しかし県議会最大勢力である自民党宮崎県連は20日、宮崎市内で選挙対策委員会を開き、現職の河野俊嗣氏の推薦を全会一致で決定。東国原氏については話題にもならなかったという“塩対応”ぶりだ。公明党も自民党と歩調を合わせる可能性は高い。

元知事の抜群の知名度は言うまでもないが、今夏の参院選の宮崎県内の比例票を見れば、自公の得票率は55%(約22万票)と圧倒的だ。組織力がモノをいう地方の選挙戦で、しかも河野氏は3期12年務めており、知名度もそれなりに浸透している。

東国原氏が初当選した2007年知事選で、選挙参謀を務めた渡瀬裕哉氏ですらツイッターで「現職知事相手だし、ほぼ勝てないだろう」との見方を示すように、まさに「そのまんま」の情勢で挑むのは、誰が見ても厳しい情勢に変わりはない。

前回33%に低迷…投票率がカギ

ただ、東国原氏も勝算がゼロで戦うわけではあるまい。活路を見出すとすれば、選挙戦の関心をいかに高めるかだろう。前回18年の投票率は33.9%。河野氏と共産系候補の一騎討ちの構図では全く盛り上がらず、河野氏は得票率が9割に達する「信任投票」に近い状態だった。

東国原氏が当選した07年知事選は、64.85%。前任知事が汚職事件で起訴され、県政に刷新を求める声が強まったところに、有名タレントが飛び込んだことで全国的な注目度が集まり県民の関心が高まった。また「敵失」にも救われた。自民党は元林野庁長官と元経産官僚の支援に分裂。単純計算でこの2人の票を足すと31万票で、東国原氏の26万票を上回っていた計算になる。さまざまな幸運にも恵まれた奇跡的な勝利だった。

東国原氏が宮崎を去った後の知事選の投票率を見ると、2010年(40.82%)、14年(56.77%)、18年(33.9%)。このうち07年の投票率に比較的近い14年は、前出の元林野庁長官が雪辱を期して、東国原氏の後任である河野氏に挑んだこともあって注目されたのかもしれないが、蓋を開けてみれば元林野庁長官は十数万票を減らした一方、河野氏が34万票を集める圧勝に終わった。

そうした経緯を踏まえ、東国原陣営としては投票率が最低でも50%台には載せたいところだ。その上でいかに保守票を割ることができるか。自民は、分裂が明白だった07年と全く異なり、現職推薦で一枚岩になっているようにも見えるが、党本部推薦が出るのは3期目までの規定があり、今回は県連推薦の「格落ち」となる。

東国原氏の知事就任時には「観光名所」にもなった宮崎県庁(撮影:これこれ/PhotoAC)

もちろん選挙の動員力の実態に目に見えた落ち込みがあるわけではない。県民はもちろん自民党内でも現県政の長期化で「停滞感」がリアルにあるのか、あるいはそう思わせられるかが“蟻の一穴”になる。

東国原氏は7月下旬に出馬検討が報じられた際、日刊スポーツの取材に対し、河野氏が知事選の1年前の段階で早々と4期目をめざす意向を示したことについて「多選を避けて新しい風を地方自治に入れていくのが世の流れ。早い時期に出馬表明して他候補の動きをけん制して1強の状態を作ろうとしているのか」と批判した。本人もおそらくそうした情勢を見据えているのだろう。

維新の推薦を得ても…

保守票を割るという点では、維新の動向もカギになる。東国原氏が衆院議員時代に所属した維新がどういう対応をするのか。党幹部の1人は今週、筆者の取材に「まだ全く何も決まっていない」と話していた。それもそのはず現在、結党以来初の代表選の真っ最中で、維新にとっては“アウエー”な地域の知事選どころではないというのが実情だろう。

ただ、仮にこの先、維新の推薦を取れたとしても、維新だけでは「自民・公明 vs維新」という党派対立の文脈が先行してしまうデメリットもある。それでいて宮崎県内での維新の党勢は弱小で、参院選比例では、自民の16万票、公明6万票に対し、維新は3万票でしかない。京都の参院選で維新と共闘した国民民主の推薦を得ると維新カラーを少し薄められ、中道層にも広がりを感じさせようが、それでも2万票あまりの上乗せに過ぎない。

やはり、原点に戻って「県民党」を旗印にした完全無所属で戦うことを柱にした上で、一度都知事選に出て行ったことで不信感を持つ県民にいかに寄り添い、現県政とどう違うことができるのかを訴える。その上で、維新の議員、さらには自民党本部推薦の縛りがないのを奇貨として、他県選出で知名度のある自民党議員や、東国原氏の理念に賛同した著名人らの「少数精鋭」の応援を得るという戦い方のほうが、まだ可能性を感じさせるが、どうだろうか。

念のためだが、筆者は東国原氏と面識があるわけではないし、知事選で特定の候補を現時点で支持するものでもない。ただ、筆者も籍を置く芸能事務所の看板タレントだったことや、渡瀬氏ら共通の知人が多いこともあり、「シン・どげんかせんといかん」を掲げて挑む15年ぶりの知事選がどうなるのか、引き続き興味深く見ている。

関連記事

編集部おすすめ

ランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事