「デジタル権威主義」中国が推進する新たなモデルの台頭。民主主義国はどう対抗?

佐々木れな『国際問題:リアルとセオリーの結節点』#13
ジョンズ・ホプキンス大学博士課程在学
  • テクノロジーの発展がもたらす新たな「権威主義」を分析
  • 「中国モデル」の監視・検閲を導入している国々の特徴とは
  • 民主主義国家がデジタル権威主義にどう対抗するか

この連載の目的は、今世界で起きている国際問題を、国際政治学の理論やフレームワークで説明することである。理論やフレームワークは、今起きている国際問題の複雑な情報を構造化し、論理的に思考する一助となる。

第13回は、中国とロシアが率いる権威主義的陣営の今後について、デジタル権威主義の理論を用いて分析する。

Alex Sholom /iStock

デジタル・テクノロジーの発展と権威主義の衰退

権威主義の国家は、インターネットやソーシャルメディアのような新しいテクノロジーの登場と共に、衰退の一途をたどっていた。これらのテクノロジーは、市民が声を上げ協調することを容易にしたからである。実際、2000年から2017年の間に、44の権威主義政権が失脚し、そのうち10政権は市民による抗議で失脚し、19政権は選挙により権力の座を奪われた。

特に2010年代初頭の「アラブの春」では、ソーシャルメディアを活用した市民の大規模な抗議活動により、エジプト、リビア、チュニジア、イエメンの4か国で独裁者が打倒され、情報への自由なアクセスとテクノロジーによって、権威主義が世界的な退潮にあることは必然と考えられた。

権威主義の復権

しかし、必ずしもデジタル・テクノロジーは権威主義の衰退を決定的なものにしなかった。むしろ、権威主義国家の耐久性は高まっている。

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【おしらせ】本記事は20日夜まで特別公開します。

 
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