LGBT法案「公金チューチュー」11条にネット注目も、大手メディアの関心まだ

研修や啓発など努力義務規定やり玉に

自民の一部議員らが進めるLGBT法案が、G7広島サミット開幕を3日後に控えた16日にも国会に提出されるかどうか、永田町で緊迫度を増している。

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同党が12日に性的マイノリティに関する特命委と内閣第1部会の合同会議を開いた際には、保守系議員など拙速な法案提出に反対する声が多数だった。にも関わらず、執行部に対応を一任するという異例の展開をたどり、世論の中でも法案に慎重・反対する人たちの間で波紋が広がった。

推進派は「LGBTの差別を禁じる法律がないのはG7で日本だけ」と主張し、法案提出をG7開幕に間に合わせようと強行突破を図っている。アメリカのエマニュエル大使が、14の他国の大使らと共に法案提出を煽り立てる「内政干渉」を行なってまで国内の推進派に加勢する事態にも発展。

ここにきて論調が保守寄りの大手メディアでも、もともと反対の“急先鋒”の産経新聞に加え、目立って論評してこなかった読売新聞まで社説で推進派を批判。“岸田政権の応援団”の異名を取る読売にあっては珍しく、「法案提出の表明は拙速と言わざるを得ない」とけん制するまでになった。

保守派が批判している主な理由は「申告により性を決める『性自認』は、極めて危うい結果をもたらす恐れがある」(産経社説)といった懸念だ。具体的には「自認する性は女性というトランスジェンダーの人が、女性用のトイレを使いたいと主張した場合、どうするのか」(読売社説)などの問題で、実際に海外では性的暴行の事件に発展したケースもある。

推進派は性自認の問題については「性自認を理由とする差別は許されない」という当初案の文言を、「性同一性を理由とする不当な差別はあってはならない」と修正するなどして法案提出の機会をうかがっているが、それでも反対派が矛を収める空気はない。

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ただ大手メディアで紹介される法案反対派の批判は「性自認」に終始しがちだ。しかしネット世論では別の視点からも批判が噴出している。Colabo問題を機に行政の弱者支援のあり方に厳しい目を向けるようになったネット民が法案で注目するのは、第11条の中身だ。

第11条では、国や自治体に対し、国民が性自認の多様性に理解を深められるよう教育や学習の振興、広報活動などの施策に努めるように要求。さらに同条2項では事業主に、3項では学校の設置者に対し、従業員や生徒などの関係者が同様の理解を深めるよう研修や啓発など必要な措置を行うことをそれぞれ求めている。

これらの「学習」や「研修」「啓発」事業の担い手は自治体も考えられるものの、ネット民が想起するのはNPOなどの団体だ。Colabo問題で若年女性支援を行う団体への公金支出のあり方が問題視されたようなことの繰り返しを危惧している。

保守系の論客などが特に厳しく指摘しており、国際政治学者の島田洋一氏がツイッターで「LGBT活動家を利する新たな公金利権スキーム」と指摘すれば、元財務官僚の高橋洋一氏が夕刊フジの連載で「研修等への補助金投入目当てではないか」と見立てた。

産経本紙も読売も自社の記者がこれらの観点で批判記事を出すまでには至っていないが、法案が提出されれば野党の多くは賛同して成立する可能性が出てくることから、ネットでは新たな“公金チューチュー”への危惧が強まっている。ただ「性自認」に注目が集まる大手メディアの議論とのギャップはまだ大きい。

 

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