「名目GDP600兆円」安倍政権の公約4年遅れで達成へ、国民・玉木氏「家計減税を」

減税派には追い風か

内閣府が7月、2024年度の我が国の名目GDP(国内総生産)が601.3兆円の見通しを発表したことで、安倍政権が2015年に政府目標として掲げた数字が4年遅れで達成するか注目されている。

倍増する防衛費の財源確保など政府が増税を模索する中、減税派は600兆円達成を「追い風」と捉え、政府の増税の動きに対し攻勢を強めようとしている。

首相時代の安倍氏(2019年12月)官邸サイト

GDPは国内で生産されたモノやサービスの付加価値を表すもので、このうち名目GDPは物価変動を反映せずに評価した数値。2021年は550.7兆円、22年は561.9兆円の実績を残し、23年は586.4兆円、24年は601.3兆円の試算がなされている。

生前の安倍首相は2015年9月、アベノミクス第2弾を発表。①希望を生み出す強い経済、②夢を紡ぐ子育て支援、③安心につながる社会保障――の「新3本の矢」とともに、この時掲げたのが2020年の名目GDP600兆円達成だった。

名目GDP600兆円は民間でもすでに試算されているが、成長による税収の自然増への期待が芽吹く。第一生命経済研究所の首席エコノミスト、熊野英生氏は6月に発表したリポートで税収が72〜77兆円にまで増えると見込んだ上で、「自然増収を財政赤字の縮小に充てれば、財政再建はかなり前進するだろう」と指摘した。

一方で、熊谷氏は「物価上昇による効果が大きく、国民生活はあまり改善しないだろう」と冷静な見方を示しており、家計の購買力があまり向上しないとの見方だ。防衛費倍増や少子化対策で新たな負担が迫られる中で、国民の多くは政府に増税や社会保険料値上げの動きが出てくることを警戒している。

岸田政権はネット上で取り沙汰された「サラリーマン増税」について否定するなど火消しに躍起だが、減税政策を求める勢力にとっては600兆円見通しのニュースは朗報だ。

国民民主党の玉木代表は31日夜、X(旧ツイッター)への投稿で安倍政権時代の政府目標に触れた上で、「4年遅れだが、物価上昇の実現によって経済は新たな局面に入りつつある。増税はいらない。むしろ家計減税を検討すべき」と強調した。

 
タグ: ,

関連記事

編集部おすすめ

ランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

人気コメント記事ランキング

  • 週間
  • 月間

過去の記事