柴山昌彦氏「私が単独親権の回し者?とんでもない」

「日本の家族制度を考える」詳報②

11日に開かれたシンポジウム「日本の家族制度を考える」で、民間法制審による共同親権制度案を批判して注目された柴山昌彦衆院議員(元文科相)の発言は次のとおり。

(※本記事はAIによる文字起こしをベースに編集部で整文しました)

突如壇上に上がり民間法制審案を批判する柴山氏(編集部撮影)

皆さんこんにちは、ただいまご紹介を賜りました柴山昌彦でございます。超党派の共同養育推進議員連盟の会長も務めさせていただいております。

今日の日本の「家族制度を考える」勉強会の開催。本当におめでとうございます。今、日本がこれまで単独親権一択だったその法制を改め、共同親権制度を投入する。しかもこれ他のマスメディアではなかなか正確に伝わっていませんが、私はこの案は原則共同信権の案だというふうに理解をしております。

このような法務省のたたき台が出され、そして今日、それについての様々な議論が出されるということは大変時宜にかなったものだということで、お喜びを申し上げます。

単独親権転換は「コペルニクス的」

一つ、皆様にご紹介したい事案があります。これは昨日(10/10)埼玉県の県議会の中で、子どもの虐待防止条例改正案が撤回を余儀なくされたという案件です。

報道でご案内の方もいらっしゃるかと思いますが、これは、子どもが例えば公園などで遊んでいいという事例についても、この危険が伴えばというのがなかなか報道で取り上げられていないのですが、虐待というふうに認定をされるという条例だったかと思います。

国とそれから自治体との間は憲法92条に定める住民自治の観点から、団体一致の観点からこの条例案というのは実は国会議員には事前に知らされておりませんでした。確かにこの条例はずさんな部分があったのかなと思いますが、

もしこれがアメリカの極めて子どもたちに危険な場所での公園だったら、子どもたちだけで遊ぶということは、やっぱり子どもを危険にさらす行為だという評価も可能だったという事も言えるのではないかと思います。

何が言いたいのかといえば、私たちの家族を取り巻く環境というのは、国によって、また時代によって色々と大きなバラエティがあるということでありまして、しかも、この家族に関する取り決めとか仕組み、あるいは規制というものは、ともすると今のこのSNS全盛の時代に大炎上するとこういう危険があるということなんです。

結局、埼玉県議会の自民党の皆さんはこの条例については撤回をするということをしました。改良・改善ではなくて撤回です。撤回によっておそらくこの議論というものは当面の間ストップするというふうに思っています。

このさっき申し上げた家族法の改正というのは、これまでずっと続いてきた単独親権を転換するという、まさにコペルニクス的な事案であります。もしこの連れ去りというものを防止するのであれば、先ほど北村(晴男)弁護士もおっしゃっていたように、離婚時にはこれまで全く義務付けられていなかった共同監護計画の策定などが求められるという方向で進むべきだと我々も考えます。

埼玉と同じ大炎上が起きる

実は自民党の法務部会では、古川(禎久)法務大臣の時代にそうした取り決めの責務を何とか定めるようにというこういう申し入れをしています。

ただ、もしこの共同監護計画を定めなければ離婚ができないというような期待にすると、私が気にしているのはまた、同じような大炎上が起きるんじゃないかな、というふうに思います。年間何十万という単位で協議離婚が行われています。その協議離婚は本当に様々な事情によるものがある、というふうに思います。

諸外国のように裁判を伴わなければ離婚ができない、というようなそういう土壌があるお国柄であれば、その裁判を通じて共同養育についての詳細な定めというものを定めさせてから離婚をする。

こういうことが可能だと思いますけれども、今の日本においては、仮にこの全件裁判離婚をするということであれば、全然家裁のインフラが足りない。

また、公正証書を使って、例えば養育費の支払いとか面会交流などの取決めを執行力を伴う形で定めさせるといっても、公証人のインフラとか弁護士のインフラとか、あるいは私も実は以前弁護士をしていたので、そういう実務に携わっていましたけれども、おそらく相当困難が予想される。

こういう中から、実は自民党の中で民間法制審な中で、これは難しいと考えている人が相当程度いらっしゃる。そういう中にあって、私たちはさっき申し上げたように、責務という形でこの共同監護計画をなるべく広く普及させるための努力を絶え間なく続けていこうと、そういう要請を古川大臣にしているんです。

そして骨太の方針で、実はこの問題について法務省は全く何も答えていないかというと、諸外国におけるこの共同監護計画そしてその担保実施状況についての調査費というものを計上しています。

法務省もやはりそういった取り組みについて、日本がどのようにしていけばフォローできるかということをしっかりと検討しているんです。今回の法務省のたたき台の中には確かにこれについて触れていないかもしれないだけれども、やっぱりそういうことが重要だということを法務省も理解しているし、そのための工程表というものは頭に入れているということであります。

共同親権実現のための最短コース

それともう一つ申し上げたいのは、確かに今回のたたき台、私も共同養育支援議員連盟でいろいろと法務省の担当者とやりとりをしました。いろいろと疑問点や、あるいはこうした方がいいというものがたくさんあります。

おそらくこれから養育費の確保のための法定要求費制度などについても、本当にこのままでいいのという議論が出てきます。

前回の議連では取り上げられませんでした。こういった様々な議論をしていくにしても、やはり今のたたき台をブラッシュアップした形で、それを今回の臨時国会難しい姿勢を必ず次の通常国会では実現をさせる。それが共同親権実現のための私は最短コースではないかと思っています。

多くの別居親たちが、一刻も早い子どもの連れ去り、あるいは共同親権制度に対する改革を望んでいます。しかしながら、あまりにも高いハードルを掲げてしまって、それが我々の与党プロセスの中で障害なり、あるいは頓挫してしまう。

さっき私が申し上げたように、SNSの普及とか、あるいは世論の延長というものがあっという間に来ますからね。だからそういうのを私は非常に恐れているんです。

針の穴を通すような形で来た

「柴山は単独親権の回し者だ」という人がいます。とんでもないです。むしろ、単独親権派の方々は、共同親権派の中で内輪もめをしてデッドロックに乗り上げ、そして結果としてこの改革が1ミリも進まなくなることを、ずっと固唾をのんで見守っているんです。

そういう実態をぜひ皆様にはご理解をいただきたいというふうに思います。法制審のメンバー、確かにいろいろな方がいらっしゃいます。そういういろいろな方がいらっしゃる中で、いわゆる乙案を排除して、そしてなんとか成案を非常に難しい注釈の形もいっぱいつけて針の穴を通すような形でここまで来たんですよ。

まずはこの法制審の議論を一刻も早く通過させ、そして議員連盟やあるいは党の法務部会できちんとした肉付けをして、そして皆様に対する不安を払拭することが一番ではないか。私はそのように確信をしております。

そのことを申し上げるために、私は今日この場に伺わせていただきました。この後も日程があるのでこれで失礼をさせていただきますけれども、今日の勉強会が有機になることを今回期待申し上げまして。私、柴山昌彦からの挨拶とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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法務省案の問題点を指摘した北村晴男弁護士の講演はこちら

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