横浜市長選で初当選の山中竹春氏に「疑惑」横浜地検に刑事告発状提出

「強要未遂」と「経歴詐称」疑惑、追及してきた郷原氏に聞く
ライター
  • 横浜市長選で当選の山中氏の疑惑で刑事告発状提出。追及してきた郷原信郎氏に聞く
  • 大学教授時代に取引先に不当要求?「リサーチフェロー」など経歴詐称の疑いも
  • 選挙中に売りにした「コロナの専門家」も、「無理があります」と郷原氏

8月22日に行われた横浜市長選で約50万票を獲得し初当選した山中竹春氏に対し、「強要未遂」や「経歴詐称」などの疑惑が浮上している。24日には、横浜地方検察庁に対し、市民から告発状が提出された。告発状を提出したのは、政治経済誌『日本タイムズ』発行人の川上道大氏。選挙期間中から山中市長に対し疑義を呈し、自身のブログなどで「落選運動」を展開していた郷原信郎弁護士が解説する。

山中市長に疑義を呈する郷原信郎弁護士/筆者撮影

まず強要未遂の疑いについて郷原氏が指摘する。

山中市長が横浜市立大学のデータサイエンス大学院研究科長として在籍していた19年12月、大学に医療用システムを提供予定だったX社の社長に対し、たびたび不当な要求を行い、害悪の告知まで行なった。これは強要未遂に当たります

山中氏はX社の取締役選任にまで介入し、X社社長に外国人の関係者に向けて英語で文書を作成するよう要求した。

山中氏がなぜX社の経営にそこまで口を出してきたのかは分からない。だが、郷原氏によれば、X社社長にとって“行う義務がないこと”を要求していることは明らかで、X社社長が検察の聴取に応じれば、さらに詳細な経緯が判明するはずだという。川上氏は郷原氏のブログを見て告発を決意し、X社社長と連絡を取り、検察から聴取を求められた場合には応じることも確認しているという。

山中氏がA氏に対し、強い口調で要求するやり取りの録音が残されている。

「僕は最後の行動に出るからね。君が、君がわからない知らないような。ほんとうにそれでもいいんだったらー。ほんとに潰れるよ」

「日本の大学病院に多く入れられなくなる」

などと発言した行為は、明らかな脅迫であり、強要未遂罪に当たる可能性が高いという。

郷原弁護士が補足する。

「X社社長は山中氏から『電話に出ろ! 殺すぞ!』と言われたこともあるそうです。ただ、この時はさすがにマズいと思ったのか『殺すって言っても、社会的にな!』と付け加えたそうです

横浜地検に提出された告発状コピー/筆者撮影

“コロナの専門家”とは?

山中氏には、経歴詐称疑惑もある。公式HPには

  • 早稲田大学政治経済学部 卒業
  • 早稲田大学大学院理工学研究科 修了
  • 九州大学医学部附属病院 文部教官助手
  • アメリカ国立衛生研究所(NIH)研究員

と書いてあるが、年代までは記載されていない。

自著などに書かれた情報を総合すると、95年に政治経済学部を卒業したあと、98年に理工学部を卒業し、00年に大学院修了となっている。大学教授の経験があるので博士課程まで終えているのかと思いきや、大学院に在籍していたのは修士課程の2年間だけだったようだ。だが、ここまでは詐称というほどのものではないだろう。

郷原氏が問題視するのは、選挙期間直前まで山中市長がさまざまな媒体でアメリカ国立衛生研究所(NIH)の「リサーチフェロー」の経歴を名乗っていた点だ。科学技術振興機構が運営する研究者データベース「リサーチマップ」でも、記載されている時期があった。

リサーチフェローという職位は、博士課程終了後に3年以上の経験を積むなどの必要があり、簡単になれるものではありません。山中氏が過去に経歴詐称を行なっていたのは、明らかです。横浜市立大学に採用された際も、詐称していた疑いがある

山中氏は自身は「コロナの専門家」であると大々的にアピールしており、朝日新聞デジタルも<感染爆発下の横浜市長選、「コロナ専門家」が制す>との見出しで、“お墨付き”を与えた。

山中氏は今年5月、『新型コロナウイルス感染から約1年後における抗ウイルス抗体および中和抗体の保有状況に関する調査』を発表。コロナ回復者のほとんどが、回復から半年後も体内に抗体を保有していることなどを明らかにした。だが、山中氏が担当したのは、あくまでもデータ分析のみで、コロナウイルスについて詳しいわけではないという。

山中氏は統計分析や数値解析の専門家ではありますが、『コロナの専門家』と呼ぶには無理があります。感染症についてはまったくの素人なのですが、彼はセルフブランディングやセルフプロデュースが巧妙で、自分を飾り立てることに非常に長けているのです。有権者が正しい情報に基づいて投票できたのかどうか、とても疑問です

370万市民の代表に選ばれた山中氏は今月末に市長に正式に就任する予定だ。「公人」になれば、刑事告発状を提出されるまでに至った「疑惑」について説明する必要が一層求められる。

 

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