「Dappiで目眩し」解散直前に不祥事続出、立憲民主党の焦り

森ゆうこ氏が本会議で叫ぶも...

インターネット上で先週から話題になっていた「Dappi問題」が13日、国会や既存メディアで取り上げられる事態になった。

「Dappi」はツイッターで、野党議員や左派メディアをあげつらう「右派アカウント」として知られ、国会中継の動画などを巧みに引用してきた。2015年に開設された後、10万を超えるフォロワーがいたが、2019年に一度凍結。復活後も16万人を超えるフォロワーを擁していた。

騒ぎのきっかけは、立憲民主党の小西洋之参議院議員による6日のツイート。「Dappi」による名誉毀損を受けたとして提訴するにあたり、東京地裁に発信者情報の開示請求を行なった。判決で請求が認められ、特定した発信者を相手取り、提訴したことを明らかにしたのだった。

「Dappi」(ツイッターより)

ネットの騒ぎから参院本会議質問へ

この時点での小西氏のツイートには言及されていなかったものの、発信者が都内のウェブ関連会社であることがネットで知られ、社名を特定する投稿も出始めた。この企業がホームページなどで主な取引先に「自由民主党」と記載していたことで、自民党を嫌悪する野党支持者などが大騒ぎし始め、ツイッターには一時、「野党攻撃ツイッター」「自民党と取引」といった言葉がトレンド入りした。

当初はネット上の騒ぎにとどまっていたが、小西氏と杉尾秀哉参議院議員がともに同社を提訴したことで、ネットメディアだけでなく、東京新聞が特報面で大々的に紙面化。さらには森ゆうこ参議院議員が13日の参議院本会議の代表質問で、

小西・杉尾両参院議員の調査により、野党を攻撃してきたツイッターアカウントの運営者が法人であることが判明した。お金を使ってネット工作を行い、選挙の結果を不当に歪めるような卑劣な行為を自民党の議員におこなわせないとお約束いただけないか

などと岸田首相に質問。岸田首相は「わが党の議員に限らず、それぞれがルールに従って発信をするべきだというのは当然」と微妙に受け流したが、国会質問にまでなったことで朝日新聞も夜になってこの問題を取り上げた。

ゴタゴタ続き、肝心の政策論争は?

現状のところ、この会社が取引先に自民党を挙げ、また政治資金収支報告書の内容から、大臣経験者の政治団体との取引があったことが明らかになっているが、ここまでのところ「傍証」にとどまっており、自民党による野党攻撃のネット工作が発注されていたのかどうかの「核心」については法廷での審理に委ねることになる。

一方で、立憲民主党をめぐっては、自民党総裁選後の10月に入ってから不祥事や失言などネガティブな話題ばかりが続いた。生方幸夫衆院議員が、拉致被害者について「生きている人はいない」と発言したことで出馬を辞退。その直前には、愛媛4区に立候補予定だった新人が、過去の卑猥なツイートが発覚したことでこちらも出馬を見送りに。また、東京8区で、れいわ新選組の山本太郎代表が突然出馬を表明し、同区から立候補予定だった新人女性の支援者が猛反発してデモ抗議。山本氏が同区からの出馬を見送るなど選挙区の調整不足を露呈した。

立憲民主党としては、きょう14日の衆議院解散を前に、参議院の代表質問で「Dappi問題」をアピールすることで、親和的なリベラルメディアが取り上げ、ここ最近のゴタゴタの印象を少しでもうすらげる期待もありそうだが、肝心の国民生活に関する政策面では、分配重視、中間層復活という狙いが、岸田政権の方向性と差別化できておらず、日経新聞から「自民・立民とも「分配」 成長踏み込み甘く」とたしなめられる始末。ネット上の騒ぎを「目眩し」にできるほど、有権者の反応は甘くはなさそうだ。

 

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