怪しい情報にダマされない!参考になる“DaiGo”式思考法
尾藤克之「週末ライブラリー」第2回- メンタリストDaiGo氏の近著を通してクリティカル・シンキングを学ぶ
- 儲け話など怪しい情報を見抜くコツは?「情報の単純化」をしてみる
- コンサル業界ではおなじみの思考術。物事の新しい見方も生み出す力も
独自の筆致と視点から、知る人ぞ知る名著や、著者をドキュメンタリータッチで紹介する人気コラムニストの尾藤克之さん。SAKISIRUでも毎週末、魅力的な本をご紹介いただきます。第2回のオススメは、DaiGo 著『悩む力-天才にすら勝てる考え方』(きずな出版)。
メンタリストDaiGoが重要視している考え方があります。今回紹介する「クリティカル・シンキング」という思考法です。DaiGoは、「これまでに何冊もの本を出してきた私が、昔からもっとも重要視しているのも、他ならぬこのクリティカル・シンキング」だと述べています。
江戸時代1年分のデータを1日で消費する現代
情報量が増える現代と、江戸時代を比較すると興味深いことがわかります。私たちが1日に受け取る情報の量は江戸時代の人たちの1年分だという点です。そのような時代においては、おかしな情報に振り回されないための危機管理能力と、情報を取捨選択する分析能力が欠かせません。
天才投資家ウォーレン・バフェットも言うように、「どんなに大きな数が並んでいても、最後にゼロをかけたらすべてゼロ」です。いかに成功を収めていても、怪しい情報を踏んでしまったら信頼は失墜します。
最近目立つのが不動産投資の話です。投資話で「確実に儲かる」は考えられません。本当に値打ちのある物件は市場に出回る前に売れているものです。さらに、そんなにオイシイ物件であれば、表に出る前に業者が買ってしまうでしょう。確実に儲かる物件があった場合、その情報が知らない第三者にもたらされるほど世の中は甘くはありません。
「リスクゼロで1日5分の作業。たったこれだけで月50万円の副収入は確実」
「YouTubeで好きに働くだけで月収80万円」
--などなど。このような怪しげな情報がいくらでも見つかります。少し気を抜けばいつ足をすくわれるかわからないのが現代です。
そんな悪質な情報のワナを避けるためにも本当に役立つ情報だけを選び抜くトレーニングが必要になります。DaiGoは「意識して日ごろからクリティカル・シンキングを実践するのがベスト」だと言います。怪しい情報を見抜くにはどうすればいいのでしょうか。
情報を精査し「単純化」してみる
「この人、わざと話を難しくしているな..…」。そう感じた経験はありませんか?簡単なことなのに専門用語をつかって難しく見せている人がいるはずです。DaiGoは次のように解説します(太字は筆者)。
(DaiGo)結局のところなにが言いたいのかよくわからない人がいます。相手がこちらを煙に巻こうとしているか、単純に中身がない人物なのか、どちらかであるケースがほとんどです。もしそんな人物に出会ったときは『議論の単純化』を試しましょう。やり方はシンプルで、次の3つの質問のどれかを投げかけるだけです。①ひと言で言うと、どういうことですか?、②重要なポイント3つに絞って教えてください、③ポイントをたとえると、どういうことですか?
(同)「アインシュタインがエネルギーと質量の方程式で示したように、本当に大事なことほどシンプルにあわすことができます。数時間の議論を一行で表すとどうなるか?、要点を3つだけ抽出するとどうなるか?なにか類似の論点はないのか?。相手が本当に話を理解しているなら、これらの質問にすぐ答えられるはずです」
事実、DaiGoは大企業との打ち合わせがあったときなどは、同じことを聞くと言います。
(DaiGo)「①その企画をひと言で表すとどういうことですか?、②いまご説明をいただいたなかで、重要なポイントを3つだけ教えてください、③要点をなにかにたとえることはできますか?。といった質問をよく使います。もしここで向こうが言いよどんだら、相手にも内容がよくわかっていないか、大事な情報を隠しているかのサイン。どちらにしても危険性が高いので、深入りを避けるようにしています」
クリティカル・シンキングを明瞭に解説
実は、クリティカル・シンキングはコンサルティング業界では比較的ポピュラーな思考術です。Wikipediaでは批判的思考として紹介されていますが、もとは90年代に「概念的思考」「断片的思考」という名称で広まった考え方です。
バラバラになったものから筋の通った一つの総合概念に整理したり、パターンを見抜いたり、物事に対する新しい見方を作り出すことに長けています。たとえば、そこに何らかの問題がある場合、明らかにするために、過去の経験に基づいた方法や単純なルールを当てはめることがあります。
刑事ドラマで、事件現場を見て即座に、「これは過去にあった事件に類似している」「犯人像は30歳男性、化学品工場に勤務している」などとプロファイリングするシーンがあります。これは、断片的な情報をつなぎ合わせているのでまさに「クリティカル・シンキング」です。
以前ブームになった、「仮説思考」とは異なります。クリティカル・シンキングでは新しい概念を創造することもアウトプットに含まれるからです。たとえば、ニュートンの「りんごが落ちるのをみて地球が回っている」などがそれに当てはまります。
本書では、クリティカル・シンキングが一般的にわかりやすく解説されています。DaiGoはクリティカル・シンキングの効果として、多くのメリットを挙げています。それを、実現できるかは皆さん次第ということになりますが、かなり有益な思考術であることは間違いないと申し上げておきます。
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