みんながモヤモヤ、慶応高の甲子園応援騒動、その“違和感”の正体
今までの高校野球と何が違う?【編集部より】107年ぶりに夏の甲子園で頂点に立った慶応高校。ところがSNSではスタンドの慶応側の大応援を巡って賛否が割れる大議論になっています。なぜここまで話題になってしまうのか。慶応大学OBの種麹メーカー社長、村井裕一郎さんが考察した「違和感」の正体とは?
慶応高校の選手、関係者の皆さん、優勝おめでとうございます。そして、仙台育英の選手、関係者の皆さん、素晴らしい闘いぶりでした。両校の選手の健闘、そして、両校だけでなく地方大会含めた全ての参加校の皆さんを心から讃えたいと思います。
さて、慶応高校の応援に様々な意見が上がっています。私も、昨日から、なんだかモヤモヤした違和感がありました。それは、『オラがまちの代表』の高校野球に、『我が学校法人グループの代表』のテンションであり、大学スポーツの応援作法や卒業生、関係者のテンション、動員力が、地方代表の高校野球の球場に持ち込まれたことに対する違和感でもあります。
今までの高校野球では、『地元佐賀では』とか、『地元新潟では』みたいな報道になっていました。しかし、慶応に関しては『神奈川代表が優勝した』というより、『慶応社中代表が優勝した』ことが、かなり前面出ていると感じます。つまり、『都道府県代表戦』が、急に『大学コミュニティ対抗戦』に変わった違和感です。
実際、たとえば、沖縄の高校が優勝した時は、『沖縄県出身のタレントからもお祝いのメッセージが』みたいな記事になるところ、『慶応卒の芸能人からもお祝いのメッセージ』という記事を見かけます。
楽天の田中将大投手が活躍した北海道代表の『駒大苫小牧』が優勝した時には、北海道代表であって、駒大代表の色はほぼありませんでした。 北海道出身の芸能人が北海道勢初優勝の喜びコメントを出したりしましたが、駒沢大学含めた『駒大』代表という報道にはなりませんでした。
今回、おかやま山陽の「日大クエスト」が話題になりましたが、日大山形、大垣日大、日大三、土浦日大は、それぞれ『日大グループの代表』というよりも、山形代表であり、岐阜、東京、茨城の代表という要素の方が強いでしょう。 ここが、まさに慶応の特色であり、『三田会』『慶応社中』と呼ばれる学閥の強さでもあります。
実は、私自身、慶応大学出身で、地元や年次の三田会に所属し、業界の三田会繋がりのご縁に、様々な形で助けられています。 「3日住めばハマっ子」ならぬ、「一回在籍したら塾員(慶応OBOG)」として、初対面であっても親近感を持って接することができるのは、コミュニティの強みであり、基本的には良いことだと思います。
ただ、ここに、今までの高校野球と違う、モヤモヤした違和感の正体があります。 それは、『高校』野球に、『大学』が全面に出る違和感であり、地方都道府県代表選の文脈が、急にカレッジリーグの文脈に塗り替えられた違和感でもあります。
もちろん、それは、ちゃんと系列大を巻き込み系列大との関係がしっかりしている証拠であり、むしろ、高大連携として、それが本来の姿という見方もあるでしょう。 慶応の応援は、現役の高校生だけでなく、慶応の名の下にOBOGや、大学教員まで巻き込んだ、質量ともに圧倒的なものでした。それは、母校にアイデンティティを持つ関係者一人一人の純粋な応援の気持ちの発露の集合で、素晴らしいことだと思います。
しかし、一方で、私自身は、私の住む愛知県、特に、愛知県東部にある高校が出場すると、母校でなくても地元の高校として応援してきました。 「野球留学」という言葉があり、地方の高校で「地元出身者比率」が論点になるのも、「地域代表」の文脈を見出すファンが多いからこそでしょう。 その『地域の文脈』の場に、質量ともに圧倒的な『大学名の文脈』が現れ、球場を飲み込んだこと。それが違和感の正体ではないでしょうか。
そして、その『地方』を重く背負わず、『学校』が前面に出ることもまた、『エンジョイベースボール』なのかもしれません。
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