衆院選で鮮明に!国会でのスキャンダル追及は票にならない
「政策論争は関心持たれない」定説覆る- 衆院選の結果で注目すべき「スキャンダル追及への逆風」について考える
- スキャンダル追及は「知名度は高めるが、票につながるとはいえない」と筆者
- 有権者は一部野党やマスコミが思うより賢明、国会戦略、報道姿勢の見直しを
今回の衆院選は、政党別でみれば、自民は踏ん張り、立憲民主は惨敗、維新は大躍進となった。
政党別の勝敗とは別に、与野党を超えた大物議員たちの敗戦も注目を集めた。甘利明議員(小選挙区敗退、比例復活)、石原伸晃・前議員(落選、比例復活ならず)、小沢一郎議員(小選挙区敗退、比例復活)らだ。それぞれ個別事情はあるが、大きく捉えれば「世代交代」の波だ。この動きはさらに加速するだろう。
そして、もうひとつ注目すべきポイントが「スキャンダル追及への逆風」だ。今回の選挙では、森友・加計・桜を見る会などの追及で“大活躍”してきた野党議員たちの多くが落選した。辻元清美・前議員(落選、比例復活ならず)、黒岩宇洋・前議員(落選、比例復活ならず)、川内博史・前議員(落選、比例復活ならず)、今井雅人・前議員(落選、比例復活ならず)らだ。
スキャンダル追及型に逆風
彼らは、テレビ中継入りの予算委員会など、注目度の高い花形の質疑でたびたび起用される、いわば野党のエース格だった。参議院では蓮舫議員や森ゆうこ議員らに相当する存在だ。官僚を糾弾する野党合同ヒアリングの主力メンバーでもあった。政府関係者を厳しく追及する姿はテレビでもよく報じられた。
こうした「スキャンダル追及型」の議員たちと対照的に、スキャンダルには目もくれず、政策論争で政府に挑む「政策論争型」の議員たちもいる。前原誠司氏、岡田克也氏、玉木雄一郎氏らが代表格だ。
今回の選挙結果をみると、「政策論争型」の議員たちは盤石だった。前原氏や玉木氏は2017年衆院選と比べ票数を大きく伸ばした。これに対し、「スキャンダル追及型」の議員たちの多くは票を減らして落選となった。
有権者の方がずっと賢明だった
もちろん、この結果をみて「政策論争をすると票が伸びる。スキャンダル追及をすると票が減る」と推論するのはさすがに短絡的だ。もともと前原氏らは選挙に強く、だからこそ政策論争一本で勝負できていた面もあった。だが、少なくとも明らかなのは、「スキャンダル追及が票につながる」とはいえないことだ。
これまでの定説は「国会で高邁な政策論争をやっても、有権者は関心を持たず、票にはつながらない」だった。だから、立憲民主党などの議員の多くは、有権者が関心を持ちそうなスキャンダル追及に力を注いできた。
たしかに、スキャンダル追及をすれば多くのマスコミが取り上げてくれる。報道を通じて知名度は高まる。しかし、その知名度が票にはつながったかといえば、答えは否だ。小川淳也議員のような例外もあるが(もっとも小川議員の場合は、スキャンダル追及で知名度を上げたというより、小川議員を取り上げた映画の影響なども大きかったのだろうが)、票を減らしたケースが少なくなかった。
この結果をどうみるべきか。要するに、有権者は一部野党やマスコミが思うよりずっと賢明だった、ということだ。スキャンダル追及で活躍する姿をマスコミは報じたが、それをみた有権者の多くは「よく頑張っている議員」とは受け止めなかった。むしろ、決め手を欠く追及を延々と繰り返す様をみて、「まともな仕事をやっていない議員」と否定的に評価したのではないか。
国会戦略、報道姿勢の見直しを
立憲民主党や一部マスコミは、この結果を真摯に受け止めなければならない。今後の国会戦略や報道姿勢は見直しが必要だ。
ちなみに私自身、国家戦略特区関連で政府の仕事に関わり、事実無根のスキャンダル追及のターゲットにされた。2019年当時、追及の中心メンバーは、衆議院では今井・前議員、川内・前議員、篠原孝議員、柚木道義議員、参議院では森ゆうこ議員だった。特に悪質な誹謗中傷を行った篠原・森両議員には訴訟提起して係争中だ。
このうち今井・川内両氏は議席を失った。篠原議員は議席こそ確保したが、比例復活だった。篠原議員はもともと選挙に強く、2009年以来4回連続で小選挙区当選していたが、今回は大苦戦となった。
※篠原孝議員の得票数・得票率
・2017年衆院選 131,833票(54.1%)→小選挙区当選
・2021年衆院選 121,962票(48.7%)→比例復活
私との訴訟は篠原議員の地元の地方紙でもたびたび報じられていたから、おそらく選挙結果に一定程度影響したのでないかと思う。
篠原議員は本来「スキャンダル追及型」ではないはずだ。同僚議員の方々からは「頑固だが、政策に強い知性派」との評も耳にする。私への誹謗中傷は許す余地がないが、今後の議員活動では、本来の姿に戻って大いに活躍いただきたいと願っている。
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