【緊急寄稿】木下都議辞任会見、博報堂時代の後輩・原田曜平氏「最悪の後処理」
“悲劇のヒロイン”演じた記者会見(編集部より)元都民ファーストの会の木下富美子都議(無所属、板橋区選出)の辞任表明会見。博報堂在職中に同じ職場で5年ほど過ごした時期もあったという原田曜平氏はどう見たのでしょうか。サキシルに手記を緊急寄稿しました。

会見を見てまず感じたのは「先輩、晩節『も』汚したなあ」と思ったことです。とにかく恐らく99.9999%の人が望む「辞任」まであまりにも長過ぎました。議員を辞めた後の道に展望がなく、シングルマザーで子どもを持つ身とあって保身に走らざる得ない一定の動機があったと思いますが、ここまでしがみついたことで彼女は政治家としての「次」を失っただけではなく、人としての「次」も失ってしまったように感じました。
人間は誰でも過ちを犯します。しかし、間違いを起こした後の振る舞いにこそ、その人の本質が出るもの。今回、木下氏が起こした問題自体も言語同断ですが、その後処理の方が前代未聞なくらい最悪だった、と言わざるを得ません。
目眩を覚えた記者会見
会見の冒頭、自分の功績を長々と述べましたが、私のみならず目眩がした視聴者の方も多かったのではないでしょうか。この場で、一体誰が彼女の功績を知りたいと思うのでしょうか。
確かに、児童虐待防止やDV被害者、水難事故の対応、女性の非正規雇用の問題など、彼女が政治家として注力した課題は大切なことです。しかし、無免許運転や人身事故に始まる今回の辞任劇とは全くもって別の話です。近しい有権者に「こんなに早く動いてくれた都議はいなかった」と言われたというエピソードを誇らしげに話す彼女に対し、むしろ大多数の都民は「こんな長く辞職しない議員はいなかった」と呆れているのではないでしょうか。

木下氏は、辞任を決意した理由として、85歳のお父様に対する誹謗中傷もあげていました。もちろん、公人ではない家族に対する誹謗中傷は絶対に許されない問題ですが、論点がズレているのではないでしょうか。「議員として十分な仕事をさせてもらえない理不尽な現実に悩んだ」と語ったあたりは、悲劇のヒロインを演じているように見えてしまいます。万一、そんな気持ちが頭の片隅にでもあるようであれば、本当の悲劇のヒロインはあなたを選んだ板橋区民ではないのですか。
昨日の会見には木下氏に代理人の弁護士も同席していましたが、このかたの言動もまた批判にさらされています。都議会で辞職勧告決議が出たり、出席した委員会が流会になったことについて、弁護士の方は「学校や職場のいじめと同じ」と述べられていました。司直の判断を待っている段階とはいえ、公人である木下氏が、無免許運転や人身事故を起こし、刑事事件として在宅起訴されたこと自体がそもそもあってはならないこと。それなのに「いじめ」と言い返すようでは、木下氏に反省の気持ちがないように受け取られ、かえって依頼人に対する社会的批判を呼びかねず、弁護士としての対応として大いに疑問でした。
「上司」小池知事にも責任あり
かつての職場の後輩として、私が一番心配しているのは、彼女のお子様です。今回の一件をどう感じられたのでしょうか。シングルマザーの政治家として、弱者対策に奔走してきたというのに、最も守るべき存在のお子様を、守ったと言えるのでしょうか。

今回、事態が混迷した要因の一つが、木下氏に当事者能力が欠如したことも挙げられます。その点では、現在の「上司」にあたる小池都知事の責任もあると言わざるを得ません。木下氏は小池知事の応援を得て当選しました。政治の道を志すきっかけも、博報堂在職中に、環境相時代の小池知事と接点があったからと言われ、この日の記者会見でも木下氏は最後まで小池都知事への思いを語っていました。
小池知事は最近まで1か月、静養に入っていたとはいえ、木下氏の問題が発覚したのは4か月前の都議選直後のことです。もっと早い段階で木下氏に責任を取るように説得することはできたはず。小池知事には今回の辞任に至るまでの経緯やご自身の責任について、しっかりと説明すべきでしょう(あれだけ地位にしがみつく彼女を辞任に追い込んだ説得材料が一体何であったのかも都知事には語って貰いたいところです)。
今回の一連の出来事で、木下氏が唯一果たした“功績”があるとすれば、刑事事件を起こしても、有権者がどれだけ怒っても、簡単に辞めさせることができない議員特権の異常さを表面化させたことではないでしょうか。都民の1人としては、木下議員個人の特異な事象で終わらせるのではなく、都議会全体の議題として話し合い、目に見える改善につなげていただきたいところです。
最後に大変余計なお世話かもしれませんが、木下先輩にただ一言付け加えるとすれば、1人の親として「お子様のために」人生を過ごして頂きたいです。政治家ではなく、ひとりの母としてしっかりと再起へ歩み出す「生き様」を見せていただくように願っています。
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