菅さん、何とかして!ふるさと秋田の名物いぶりがっこ、規制強化で滅亡の危機

規制改革で鳴らした元首相に「待望論」

秋田名物で知られる漬物の「いぶりがっこ」が、改正食品衛生法の影響で衛生規制が強化され、零細の高齢農家が対応できずに廃業の危機に瀕していることが6日、ネット上で話題になった。奇しくも、いぶりがっこの発祥地、湯沢市は菅義偉氏の出身地。ツイッターでは「菅さん、何とかして!」と“待望論”も出始めている。

2019年に農水省に登録された産品情報によると、「いぶりがっこ」はたくあん漬けの一種。大根の乾燥工程を燻製で行う独自の製法で知られる。名前の「いぶりがっこ」は秋田弁で「燻した漬物」を意味する。秋田は降雪期間が長く、畑で食料を作りづらいため、冬の常備食として重宝され、首都圏でも流通している。

高齢化する零細農家が丹精込めて手作りをしていることも特徴だが、手作業が多いために大量生産が難しい。こうした生産事情を思わぬ形で直撃したのが、浅漬けの食中毒が近年相次いだことだった。国は食品衛生法を事実上“業法”化。「漬物製造業」を許認可制にする形で同法を改正し、その煽りで、食品衛生責任者の設置や、国際的な衛生管理手法「HACCP(ハサップ)」に沿った対応を要求されることに。

この日、「いぶりがっこ」の危機を伝えてネットに話題を提供した時事通信の記事では、「経過措置が3年間あるが、小屋の天井や壁などを改修しなければ販売用として製造できなくなる」などの事例をリポート。秋田でいぶりがっこでの食中毒事例はないのに、高齢の農家が新たに100万から数百万円をかけて対応せずに廃業する危機に直面する可能性が強まっている問題を提起していた。

ヤフーニュースのコメント欄(ヤフコメ)では、地方発の記事には珍しく半日で3000件を超える書き込みが続出。

食中毒で問題多発の浅漬けとはそもそも別の食品、強いて言うなら干し柿や燻製と同じジャンル。この報道が事実ならば、ただ単に「漬物」というだけで一律に衛生基準を押し付けてくる官僚仕事に違和感を感じるというか、硬直的日本型思考を感じる

なんで、潰す方向でしか検討ができないんだろう?潰さない方向で検討してみようよ

などと疑問を投げかける人が相次いだ。

さらにツイッターでは、10万フォロワーを擁する秋田のローカルヒーロー、超神ネイガーが言及。「『いぶりがっこ』は大根を4日ほど燻した後、人工甘味料や保存料を一切使わずに玄米と麹(こうじ)の発酵の力で2か月間漬け込む発酵保存食だ」と紹介した上で、「全国で食中毒が相次いだという『浅漬けなど』と一緒にしてもらっては困るども・・・なんとかならねえべもんだべかなぁ。へばな」と地元の想いを代弁。8時間ほどで4600超もリツイートされる反響を呼んだ。

架空のヒーローにとどまらず、ネット民の間では、秋田のリアル“英雄”の待望論も。

菅さん!!何とかして

菅さんの力で助けて欲しい!

などの声が持ち上がった。

菅政権はわずか1年で幕を閉じたが、近年の歴代政権の中では、規制改革を看板の一つに重視していた。改正食品衛生法の施工は今年6月で、菅政権下。浅漬けなどの食中毒予防のためで強化した規制したとはいえ、思わぬ形で故郷の伝統の味をピンチに追い込む皮肉なことになった。

NHKニュースによれば、菅氏は官房長官時代の2018年には同窓会で「2年ぶりで親父の墓参りをしてきた。いぶりがっこや納豆汁を食べたので、こんな元気な顔になった」とアピール。今後、秋田から打開のためのロビイングに乗り出すことも考えられるが、規制改革で鳴らした手腕を地元のために発揮するのだろうか。

 

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