神田正輝さん宅に取材でインターホンに非難、スポーツ紙に取材規制は?
猫組長さん、ほんこんさんらも批判女優の神田沙也加さん急死直後に、俳優の父、神田正輝さんの自宅に、スポーツニッポン(スポニチ)の記者がインターホンを鳴らしたことを巡って週末のネットは大荒れとなった。事件事故の遺族取材におけるメディアスクラム(集団的過熱取材)を巡っては度々議論になるが、大きく改善されているとは言い難い状況だ。
「早朝5:30」に直撃?
問題の記事は、沙也加さんの訃報直後の19日午前5時35分にスポニチの電子版に掲載された「良好な関係を続けていたが…神田正輝の自宅はひっそり」。
この日、父親で俳優の神田正輝(70)の都内の自宅マンションは部屋に明かりがついていたように見えたが、ひっそりとした様子だった
と正輝さん宅の様子を描写した直後、
インターホンは「現在対応することができません」と自動音声が流れるようになっていた。
との記述があったことで、ツイッターでは
早朝5:30の時点で自宅に押しかけインターホンを押した記事。 人間として底辺過ぎる
スクープ欲しいのは分かるけど 君達、こんな仕事してて楽しいか?
インターホンまで鳴らすというマスコミどもの神経を疑う。
などの非難が巻き起こった。「早朝5:30」は記事のアップ時間で、実際の取材をしたのは、紙面用の記事として締め切りに合わせている場合は遅くても0時〜1時ごろと見られるが、それでも非常識な時間帯であることには変わらない。
一般のネット民だけでなく、元経済ヤクザで作家の猫組長さんも「ひっそりしてるに決まってるだろうよ。それよりよく家に押しかけてインターホン鳴らせるな、ほんと狂ってるよオメエら」と激怒。
ひっそりしてるに決まってるだろうよ。それよりよく家に押しかけてインターホン鳴らせるな、ほんと狂ってるよオメエら。https://t.co/mGONsz7xTw
— 猫組長 (@nekokumicho) December 19, 2021
お笑いタレントのほんこんさんも、この問題を取り上げたまとめサイトの記事を引用し、「どんな神経しているのか 酷い」と苦言を呈していた。
どんな神経しているのか
酷い https://t.co/tNi4JPxBJ1— ほんこん (@hong2010kong) December 19, 2021
実質的に「公人」扱いの芸能人取材
スポニチは一般紙とNHKとともに日本新聞協会に加盟しているが、協会は、これまでにもメディアスクラム(集団的過熱取材)への批判が高まるたびに対応を余儀なくされ、過去に2度、遺族取材のあり方について見解を出している。
最初は2001年12月に出した「集団的過熱取材に関する日本新聞協会編集委員会の見解」。1998年の和歌山毒物カレー事件でメディアスクラムが問題となり、「すべての取材者は、最低限、以下の諸点を順守しなければならない」として以下の3点をまとめている。
- いやがる当事者や関係者を集団で強引に包囲した状態での取材は行うべきではない。相手が小学生や幼児の場合は、取材方法に特段の配慮を要する。
- 通夜葬儀、遺体搬送などを取材する場合、遺族や関係者の心情を踏みにじらないよう十分配慮するとともに、服装や態度などにも留意する。
- 住宅街や学校、病院など、静穏が求められる場所における取材では、取材車の駐車方法も含め、近隣の交通や静穏を阻害しないよう留意する。
この見解が出るようになったのは、当時、国でメディアに対する法規制の動きもあり、新聞業界が自主規制することで機先を制した背景もあった。この見解と同時期に、現場で問題が起きて、当事者などから申し立てがあった場合は、一般紙やNHKなどが調整対応する申し合わせ(集団的過熱取材対策小委員会等)もできた。
しかし、先の見解では、不祥事を起こした政治家や公務員らを念頭に
集団的取材であっても対象が公人もしくは公共性の高い人物で、取材テーマに公共性がある場合は、一般私人の場合と区別して考えることとする。
とも但し書きをしており、今回のようなケースでは、著名な芸能人が「一般私人」と解釈されずに取材者に突撃されるのが実情だ。
遺族取材が改めて社会的課題に
その後もメディア各社の遺族取材を巡る問題は度々起きていたが、2019年5月、滋賀県大津市で、保育園児の列に車が突っ込んで2人が死亡した事故が起きた時には、保育園側に取材が殺到。保育園側の意向で記者会見という形に集約したが、泣き崩れる園長をメディアが責め立てているようにも受け取られたことでメディアスクラムの問題が再燃した。
また、同年7月の京都アニメーション放火殺人事件で亡くなった36人が実名で報じられたことにも非難が巻き起こったことも受け、新聞協会は翌20年、前回の見解から19年ぶりとなる「メディアスクラム防止のための申し合わせ」を公表。それまでの20年近く、報道機関と当事者のトラブルが起きた時は代表取材を申し込むなどの改善があったと強調。
申し合わせでは「2001年の見解をさらに一歩進めて、被害者等の負担軽減を図るため、加盟各社は、節度と良識ある取材が行われるよう努力してまいります」と誓っているが、芸能マスコミについては、週刊誌など同協会未加盟社も多く、雑誌協会を通じた連携も十分とは言えない。また近年は、取材者を擁するネットメディアや、現場突撃を売り物にするYouTuberも増えており、メディア側が連携しての「節度と良識ある取材」は難しくなるばかりだ。
集団的な取材ではない場合でも遺族を訃報直後に直撃していいのか、著名な芸能人といえども公人ではない中で一般の遺族取材と同じような人権的配慮をすべきなのか、社会的課題を残した形だ。メディア各社の自主的な取り組みに実効性がない場合、今後法規制も含めた議論が再燃する恐れもある。
■
厚生労働省のサイトでは、悩みを抱えている方へ、次のような窓口を紹介しています。
- こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 ※相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。
- #いのちSOS(特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク) 0120-061-338 月曜日、木曜日00:00~26:00(26時間)火曜日~水曜日、金曜日~日曜日08:00~24:00 サイトはこちら
- いのちの電話(一般社団法人 日本いのちの電話連盟)0570-783-556(ナビダイヤル:午前10時から午後10時まで)0120-783-556 (フリーダイヤル・無料:毎日16時から21時まで。毎月10日午前8時から翌日午前8時まで:サイトはこちら)
また、東京都では、都内在住・在勤・在学の方向けにLINEでも相談出来る「相談ほっとLINE@東京」でも受付しております(リンクはこちら:年中無休15:00〜22:30)。
大阪府はLINEで「大阪府こころのほっとライン」を開設しています(QRコードのリンク先はこちら:毎週 水曜日 土曜日 日曜日 17:30〜22:30(新たな相談受付は22:00まで)
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