参政党が武田邦彦氏を参院選擁立へ、ネット発“新党”の可能性は?
「政治を諦めていた人たちに訴求する」政治団体の参政党は22日、東京都内で記者会見し、中部大学元特任教授の武田邦彦氏らを来夏の参院選全国比例区の候補者として擁立する方針を明らかにした。武田氏はこの日、出席しなかったが、事務局長の神谷宗幣氏(元大阪府吹田市議)は「投票したい政党がないから自分たちで作ろうという理念で結党した」と抱負を述べた。
ネットオリジンの“新党”
武田氏のほかには、神谷氏、医療法人会長の吉野敏明氏、アルミ製造会社会長の赤尾由美氏が立候補する予定。比例区にはさらにもう1人追加公認し、全国45の都道府県選挙区にも候補者を公募選考し、擁立する方針だ。参政党は国会議員がいないため、現時点では公選法の政党要件を満たしていないが、参院選では、10人以上の候補者を擁立することで「みなし政党」(諸派)扱いとなる。
メンバーの中で、大衆的な知名度があるのは武田氏くらいだが、果たして勝算はあるのか。筆者の問いに神谷氏は「もともと、我々はインターネットで党員を集めまして、思いのほか、やはり立ち上げたときからですね、人が集まってくださった」と語る。参政党は昨年4月に結党。中核メンバーの一部変更など紆余曲折あったものの、YouTubeチャンネルで22万人の登録者を誇る松田学氏(元衆院議員)に代表されるようにネットでの発信を展開。1年7か月で党員を全国に1万人規模、支部を15か所を擁するという。参政党は党員向けの勉強会も地道に開催しており、筆者も一度だけ昨今の政治とメディアをテーマに講師を務めたことがある。
かつてはネットで票は取れないとされたが、近年の選挙は様変わりしている。特に2年前の前回参院選では、業界団体による推薦者か、芸能界出身などの著名人が幅を利かせた自民党の比例候補者で、山田太郎氏がネットを主体にした選挙活動で、2番目の53万票を獲得。野党でも、テレビがほとんど取り上げなかった、山本太郎氏のれいわ新選組や、立花孝志氏のNHKから国民を守る党(名称は当時、略称N国)がネットで着実にファンを増やし、当選者を出すだけでなく得票率2%以上の政党要件をも満たしてしまった。まさに「ほぼネットだけで政党を作れる」時代になったのは確かだ。
維新の存在感が強まる中でどう戦う?
しかし、当時と情勢が違う点もある。
新党や諸派が頼みとするのは無党派層マーケットだが、「自民党でも立憲民主党でもない」という人たちは先の衆院選で維新に流れた。維新は衆院選で4倍近く議席を増やし、毎日新聞が12月18日に発表した世論調査では、維新の支持率は立民の倍となる22%で野党トップとなり、自民党の27%を伺うほど破竹の勢いだ。
来年夏の参院選まで維新がこの好調をキープできるか不透明なものの、特に首都圏では、無党派層の受け皿として維新の存在感が以前よりは増してきた以上、割り込めるのか。言わずもがな、地方に目を転じれば、自民党が保守分裂するほど圧倒的な存在感を見せるところもあれば、あるいは北海道や沖縄のように左派野党が強固な地盤を築いているところもある。

こうした筆者の疑問に対し、神谷氏は「集まった方々の属性を分析したところ、ほとんどが今まで政治に関心がなかったという方々。結構学歴が高く、所得も高い。だから今までの政治にはどちらかというと距離を置いた人たちが、参政党に集まってくださっているという傾向がある」と述べた上で、「党の政策ですとか、理念ですとか運動体系を知っていただくかということがポイントで、それを知っていただくと、今までの政党とはだいぶ違う」と手応えを強調。
こうした点から神谷氏は、「本当に今まで選挙に行かなかった人たち、政治を諦めていた人たちに訴求していくしかない。そこは実は維新も全く取れていないのでは」と展望を語る。
100万人に刺さる政策は?
2年前の参院選に挑む前のれいわやN国よりは、一定数の党員を組織化するなど草の根は貼り続けてはきている。ただ、問題は参院選の比例区で1議席取るにも100万票は必要だ。1万人の党員数を数倍増やすだけでは事足りるはずはなく、ネットなどの空中戦を通じて何を訴えるか。
その点、れいわは非正規雇用の人たちなど、正社員の労組に支持された立民などの既存左派政党とは異なるターゲッティングを行い、N国はNHKのスクランブル化による受信料制度の打倒というユニークでわかりやすいシングルイシューを掲げた。
この日の会見の前半、政策担当の松田氏が何枚ものレジュメを読み上げ熱く語っていたが、しがらみだらけの政治で経済が成長しなかったというだけでは差別化は足りない。100万人規模の人たちに刺さる、独自の政策は何かが問われる。
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