【参院選2022】大阪選挙区、辻元清美「ゾンビ」化なら維新の牙城が一転修羅場に
衆院選惨敗の自民復調は?野党間の主導権争いも- 参院選注目選挙区の展望、初回は大阪選挙区
- 衆院選で圧倒した維新と、存亡の危機に立つ自民の「最終決戦」が見所
- ささやかれる辻元氏の参戦シナリオ。もし実現すると…
元日にふさわしい、渡瀬さんの気迫に満ちた論考でも提起されたように、今年は参院選が、向こう数年の日本の進路を決める岐路になる。まだ候補者は出揃っていないものの、筆者なりに注目している選挙区を適宜展望していく。まずは昨年の衆院選で躍進した維新の牙城とも言える大阪だ。

維新 VS 自民「最終決戦」
大阪選挙区の定数は4。改選を迎える現職が前回出馬した2016年選挙では、自民、維新2、公明と「改憲勢力」が独占した。このうち公明の石川博崇氏は安定の67万票を集めており、維新の影で、無類の強さを誇る同党の強さを今回も見せつけ3位以上は固い。やはり見所は維新と、大阪では存亡の危機に立っている自民の対決だ。

前回トップ当選したのが自民の新人だった松川るい氏。外務省で分析官時代の経験を生かした外交情勢の鋭い発信には定評があり、新人ながら「朝生」に何度も出演するなど若手の論客として地位を築いている。菅政権では防衛政務官も経験。文句なしで再選の可能性は高いが、衆院選で自民は初めて立候補した15の小選挙区全てを維新に奪われる歴史的大惨敗を喫したばかりだ。
対する維新は、党の参院会長を務める重鎮・浅田均氏、高木佳保里氏がともに2期目を狙う。前回は2人合わせて130万票を超える票を集めた。浅田氏は、国会では新人とはいえ府議を5期務めたベテラン。米スタンフォード大への留学を経験、政調会長も務めるなど「維新の頭脳」の呼び声もあって支持層にはお馴染みの存在。前回は72万票と松川氏に4万票弱まで迫った。

高木氏は堺市議を2期務めた後の抜擢。前回出馬した当時の党勢は、前年、1回目の大阪都構想に敗れるなど仕切り直しのプロセスで、維新が「2議席目」を取れるかチャレンジングとの見方もあったが、大阪市が地盤の浅田氏との棲み分けに成功し、共産や旧民主などのリベラル勢力の撃退に成功した。
一つのポイントとしては松川氏が2期連続のトップ当選を果たすのか、それとも衆院選の勢いそのままに維新のどちらかがトップを取るのか、はたまた、維新がワンツーフィニッシュをして、大阪自民を再起不能に叩き落とすのか。自民は女性議員のホープとして、全国的な知名度を得つつある松川氏とあって、さすがの維新とて2人とも松川氏を上回ると言うのは考えにくいという見方があるかもしれない。
しかし、「党勢」の参考としての単純比較だが、大阪府内の比例票で、6年前の参院選と去年の衆院選を比較すると(※按分省く)、
維新は40万票上積みしたのに対し、自民は横ばいだ。もし選挙区も同様な傾向で推移すると仮定しよう。松川氏がトップだった前回と同じ76万票を集めたとしても、維新の2人に10〜15万票ずつ入ってしまうと、浅田氏が「72万+10〜15万=82〜87万」でぶっちぎりのトップに。そして高木氏も「66万+10〜15万=76〜81万」と、松川氏の2位の座を脅かす可能性もないとはいえまい。
もちろん、実際の選挙は、机上の計算通りに行かないが、大阪自民は、2019年の大阪府議選・市議選、そして昨秋の衆院選で死屍累々、浪人して政治活動もままならない人たちも増えて、組織の足腰が脆弱になっている恐れはある。その間の19年参院選で自民は太田房江氏が当選するも55万票にとどまったことも不安材料だろう。
「辻元さんは、まだ死んでいません」
しかし、維新にとっては「対自民」に目を奪われていると、思わぬ刺客が「台風の目」となる可能性がある。先の衆院選、大阪10区で完全落選した立民の辻元清美氏だ。年の瀬の12月28日、ネット上の維新支持者たちがあるニュースにざわめいた。立民が衆院選で敗れた元職、新人計13人の支部長再任を発表したのだが、辻元氏の名前がなかったのだ。
報道を受け、「参院選を睨んでいるのでは」との憶測が立ち始めているのだが、実は辻元氏の参院鞍替えシナリオをおそらくもっとも早く指摘していたのが、誰あろう維新の足立康史衆院議員だ。衆院選から12日後、ツイッターで橋下徹氏が自身の番組で辻元氏を話題にした記事をツイートしたのに対して、「辻元さんは、まだ死んでいません。来年の参院大阪選挙区に出てきたら、与党は大騒ぎになります」と指摘している。
辻元さんは、まだ死んでいません。来年の参院大阪選挙区に出てきたら、与党は大騒ぎになります。 https://t.co/KIXipXFxOw
— 足立康史 衆議院議員 (@adachiyasushi) November 12, 2021
足立氏の発言は、辻元氏が復権した場合、岸田政権や維新で進める改憲論議にマイナスになることを懸念しているのだろう。ただその以前に選挙も大騒ぎだ。存在感のある辻元氏が出てくると、それこそ朝日新聞などの左派マスコミが面白がって取り上げるに違いない。
先月発売の「月刊Hanada」の連載でも書いたが、辻元氏の落選後のメディア露出の急増は半端ではなかった。メディア関係者の辻元シンパが一定度いることを改めて感じさせた。もちろん候補予定者になるとテレビ露出は抑制されるだろうが、絶大な知名度、生粋の関西人(生まれは奈良)である彼女が政治生命を賭けて「今こそ憲法と平和、くらしを護らんとあかん」というストーリーの出馬となれば、19年の立民候補者の35万票などは雄に超え、旧民主から維新に流れていた無党派層を引き剥がす可能性もある。
辻元氏本人は12月上旬、MBSニュースの番組に出演し、今後を尋ねられても「もう少し自分のことを政治の場でいた役割とか、それから今後、ニュー辻元に変われるか試されているんだと思うんですよ。だから今は1回その毒を出すデトックスをして、白紙からどうしたいかというのを考えていきたい」と態度を明らかにしなかった。
辻元氏にも足元の不安
ただ、さしもの辻元氏といえども参院鞍替えは不安材料は小さくない。2017年衆院選で、立民は辻元氏が大阪で唯一小選挙区を勝ち抜き、比例復活の5人は全て大阪を地盤としていたが、昨年の選挙で大阪の議員は比例復活1人にとどまった。そして大阪市・大阪府の維新統治が10年以上続く中で、旧民主系は立民と国民に分裂して久しく、前回の参院選もバラバラに戦って共倒れした。国民の玉木代表は今のところ「複数区については基本的に全部立てる」との方針で(11/11記者会見)、外国出身タレントを擁立した前回に続き、大阪選挙区に独自候補を擁立する構えだ。

さらに辻元氏の票を一定度削る可能性があるのが、れいわ新選組だ。衆院選にも出た元タレントの八幡愛氏の擁立を発表している。れいわ単独で議席を取るのは難しいだろうが、山本代表と、「維新キラー」で売り出し中の大石晃子衆院議員が連日選挙運動することで、若年層を中心に左派票が分散するのは避けられない。
辻元氏であれば左派野党票をまとめることで勝機はあるだけに、泉、山本両党首の候補者調整次第だろうが、れいわにとっても都市部での党勢拡大が見込まれ、大石氏のメンツを考えても簡単には引き下がるまい。
参院選本番まであと半年あまり。維新 VS 自民、野党間の主導権争いで流動的な要素は大きいが、いずれにせよ、辻元氏が“デトックス”期間を早めに終えて出てくるのかどうかで構図は変わりそうだ。
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