勇者か愚者か…“日銀潰し”に挑むヘッジファンドが話題、藤巻健史氏「ついに出てきた」

円安相場背景、上念司氏「日銀に挑んでくるとは愚かな奴」

金融緩和を継続する日本と、利上げに踏み出したアメリカとの間で金利差が拡大し、その影響で円安が止まらなくなる中、国債マーケットで日銀に公然と挑むヘッジファンドが登場。14日にブルームバーグが「日銀が屈するまで日本国債をショート」とセンセーショナルなタイトルの記事でその存在を報じたことでネットの注目を集めている。

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一連の世界的な物価高を受け、欧米が金融引き締めに舵を切り始めているが、日本は、日銀の黒田総裁が今月6日、東京都内で行った講演で「金融引き締めを行う状況には全くない」と述べるなど、緩和策続行の構えを崩していない。しかし欧米の市場関係者の間では、近い将来、日銀が路線転換せざるを得ないとの見方がくすぶっている。

そうした中、英ロンドンに拠点を置くヘッジファンド、ブルーベイ・アセット・マネジメントがブルームバーグの取材に対し、日銀が今後も、長期金利と短期金利の誘導目標を操作し、イールドカーブ(利回り曲線)を適切な水準を維持する「イールドカーブコントロール」を続けるのは「不可能」と公言。同社のマーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)はブルームバーグの取材に対し、「かなりの額の日本国債をショートしている」と述べ、日銀の利上げを見越しての売り相場へ布石を打ち始めたことを明らかにしたという。

具体的にどういうことなのか。この記事に経済評論家の藤巻健史氏はツイッターで「ついに1992年にソロス英中央銀行に勝った戦略を取り始めたヘッジファンド出てきたようだ」と指摘する。

投資家のジョージ・ソロス氏は20年前、ヨーロッパがユーロ導入に向けて調整局面に入る中で、イギリスの景気が後退し始めていた当時、英通貨ポンドが暴落すると予想、ポンドの空売りを仕掛けた。ソロスはこの勝負で15億ドルもの利益を上げたとされるが、イギリスは通貨危機に陥り、ソロスは“イングランド銀行を潰した男”として投資界に一躍伝説を残した。

ブルーベイ・アセット・マネジメントは日本にも拠点があり、日本語版の公式サイトがある。そこには前出のダウディング氏のコラムが掲載されており、最新号の今月10日付では「英国にはサッチャーが必要」と題した記事で各国の利上げの動きを振り返った上で、日本については

日銀のイールドカープコントロール(YCC)への執着によって、内外金利差が拡大する中、日本円は下落を続けています。このことがインフレにもつながる中、日銀は政策転換をしなければならない時期に差し掛かっているかもしれません。

と述べ、改めて日銀が利上げに踏み切らざるを得ないとの見方を示している。続けて、ダウディング氏は

もしそうなった場合、日本国債利回りは大幅に上昇すると予想されることから、リスク・リターンの非対称性を踏まえれば、日本金利のショートは魅力的なポジションであると考えています。

との見解を示している。ソロス氏の事例にこそ言及していないものの、今後の相場を虎視眈々とうかがっていることを明らかで、往年のソロス氏ばりに“日銀潰し”を遂げてしまうのだろうか。

ただ、この動きに冷ややかな見方もある。経済評論家の上念司氏はツイッターで「日銀に挑んでくるとは愚かな奴よ。 日銀オペに制限はない。制限とは防御の型! 中央銀行にあるのはただ制圧前進のみ!!」と一蹴した。

果たしてブルーベイ・アセット・マネジメントは無謀な取引に挑む愚者なのか、それとも伝説の勇者になるのか。

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