スナク政権でイギリスは「Web3.0大国」になるか

「暗号資産の世界的なハブが私の野心」
  • イギリスの次期首相にスナク元財務相が決定
  • 初のアジア系首相として注目されるが、「WEB3.0」に熱心な一面も
  • 財務相だった4月、「私の野心」とまでぶち上げた政策の中身は?

退任を表明したイギリスのトラス首相の後継者は24日、リシ・スナク元財務相に決まった。後継を決める保守党の党首選に立候補したのはスナク氏のみで、動向が注目されていたジョンソン前首相、モーダント下院院内総務はいずれも出馬を見送った。スナク氏は先月即位したチャールズ国王に近く任命され、正式に首相に就任する。

財務相時代の2020年3月、予算書を収めた慣例の赤いカバンを掲げるスナク氏(By HM Treasury and The Rt Hon Rishi Sunak MP)

スナク氏は42歳。BBCによると、19世紀以降では、1812年に就任したジェンキンソン首相と並んで史上最年少。スナク氏は東アフリカからイギリスに移住したインド系の家庭で生まれた。アジア系、ヒンズー教徒がそれぞれ同国の首相になるのも初めてだ。

政策的には、トラス氏に敗れた前回の党首選で、エネルギー価格高騰への対策で5%の付加価値税廃止や、24年4月から現行税率20%の所得税率を1%引き下げることを打ち出していた。スナク氏を支持していたラーブ元副首相は20日、ツイッターで「金融の安定を回復し、インフレを抑制し、持続的な減税を実現する」とお墨付きをした。

一方で、日本国内の大手メディアではほとんど報じられないが、スナク氏は財務相時代、「イギリスを暗号資産技術の世界的なハブにすることが私の野心だ」とぶち上げたほど「WEB3.0」政策に熱心だった一面がある。

今年3月、アメリカのバイデン大統領が「デジタル資産の責任ある発展の確保」に関する大統領令に署名し、デジタル資産の管理を強化し、国家戦略として発展する意志を鮮明にするなど、世界各国の金融当局によるデジタル資産政策が大きな変化を遂げている。

そしてイギリスでは、スナク氏が財務相だった4月、財務省が新たな政策方針を公表。ステーブルコインを合法的な決済手段として推進することや、DeFIローン見直しなどを通じた税制面での競争力向上、企業による革新的な試みを支援する「金融市場インフラ(FMI)サンドボックス」を通じた法整備などを打ち出した。スナク氏自身も王立造幣局に対し、非代替トークンの作成を要請した。

イギリス財務省が打ち出した主な政策措置

出典:日本のデジタル庁資料より(※クリックすると拡大します)

当時、スナク氏は「今回、概略を示した措置は、企業がこの国に投資し、革新し、規模を拡大できるようにするのに寄与する」と自賛し、「私たちは明日のビジネスと、それが生み出す仕事をここイギリスで見たいと思っている。規制を効果的に行うことで、企業が長期的に考え、投資するために必要な自信を与えることができる。これは、英国の金融サービス業界が常にテクノロジーとイノベーションの最前線に立つようにするための計画の一部だ」と胸を張った。

日本の自民党でWeb3.0政策を推進した1人として知られる塩崎彰久衆院議員は24日深夜、ツイッターに「イギリスのweb3政策が一気に加速する予感」との見立てを投稿していた。

一方で、政治家が「Web3.0」に肩入れすることに冷ややかな向きもある。ネットの経済メディア「アクシオン」の吉田拓史編集長は今年5月、「日本よ、目を覚ませ、Web3はクソだ!」と題した記事を掲載。Web3.0について「不幸なことにWeb3は箸にも棒にもかからない蜃気楼のようなバズワード」と酷評し、持ち上げる政治家や報道に釘を刺し、当時ネットで注目された。

 
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