台湾有事シミュレーション「日米大損害も中国の台湾占領を阻止」から何を学ぶか

ウォーゲームで政府関係者らが学べる3つの意義
地政学・戦略学者/多摩大学客員教授
  • 「大損害を出すが中国軍を阻止」台湾有事シミュレーションが話題
  • 批判もあったシミュレーション。実際のところは?筆者の個人的体験から
  • シナリオ設定が「雑」でも、政府関係者らが参加する3つの意義とは

アメリカの首都ワシントンDCにある大手シンクタンクが開催した、台湾有事を想定したウォーゲームの話が話題になった。

足掛け2年をかけて24回行われたシミュレーションで、1月9日に報告書が発表されたが、ほぼすべてのシナリオで中国の人民解放軍による台湾島への上陸作戦は失敗するが、米軍と台湾、そして日本の自衛隊は大損害を被る結果になったという。

Tanaonte /iStock

「大損害を出すが中国軍を阻止」

とりわけ話題に登ったのはその大きな被害想定だ。シナリオにもよるが、平均すると米軍の空母が2隻、艦船が10隻前後が撃沈されるほか、自衛隊の航空機も100機以上、艦船も10隻以上が沈められるなど、かなり甚大な被害になると想定されて注目を集めた。

つまり全体的な結果として、中国の台湾侵攻は失敗する可能性が高いが、アメリカ及び日本を含むアメリカの同盟国たちにとっては「高い犠牲の出る勝利」となるというのだ。実にセンセーショナルである。

この想定をネガティブに受け取り、たとえば「アメリカが武器を売りつけたいがために行ったものだ」というような、一方的な批判も出ている。

果たして実際のところはどのようなものなのか。筆者は運の良いことに、そのほぼ同じ中身のシミュレーションを日本で実際に「体験」する機会に恵まれた。ここでその内容を簡単にご紹介しつつ、このようなゲームの有益性について論じてみたい。

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【編集部より】奥山真司さんが翻訳を手がけた新刊「デンジャー・ゾーン 迫る中国との衝突」(飛鳥新社)、近日発売です。

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地政学・戦略学者/多摩大学客員教授

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