「俺の見立て」「個人的な感覚」…文春セットの元捜査員記者会見に批判噴出

朝日記者から乙武氏、Z李氏まで

木原誠二官房副長官の妻が、前夫の死亡を巡り警視庁から事情聴取を受けていたことを週刊文春が報道してきた問題で、当時、木原夫人を取り調べた警視庁の元捜査員、佐藤誠氏が28日、東京・紀尾井町の文藝春秋社で記者会見した。

東京・霞が関の警視庁本部(yottoko /PhotoAC)

佐藤氏は実名で会見に踏み切った理由として、警察庁の露木康浩長官が「事件性はない」と述べたことに「遺族が納得するわけない」と反発したことを挙げた。さらに木原氏の妻を取り調べた時の様子や、再捜査で事情聴取した重要参考人の男性(文春記事の「Y氏」)などを詳細に振り返り、「断言しますけど、事件性はありですからね。あれを見て事件性がないという警察官は多分いないと思う」などと強調した。

文春側の資料によると、佐藤氏は1983年に警視庁に入庁し、2004年に捜査一課に配属。会見では100件を超える殺人事件の捜査を経験したことを述べ、前夫の再捜査でも取り調べ担当として「証拠や供述は集中していた」と自信を示していたが、その一方で「俺の見立て」「個人的な感覚」など客観性に欠ける発言も散見された。

このためツイッターでは報道関係者やインフルエンサーから疑問視する声も相次いだ。

作家の乙武洋匡氏は「むしろ今回の記者会見で、『あれ、そんな曖昧な、根拠薄弱な状況であそこまで決めつけた記事を書くのは危ないんじゃないだろうか……』と感じる人が増えた気がする」と疑問視。

朝日新聞政治部の鬼原民幸記者は文春の名指しは避けながらも「最も罪深いのは、会見をセットした側です」と批判。「一般人に根拠薄弱な事柄を語らせ、それを配信し、ビューを稼いで喜ぶ。 中継されていると知りながら人権意識が欠如した質問を投げかけた出席者たちも、本当に猛省した方がいい」と怒りをあらわにした。

政治系YouTuberのKAZUYA氏も「木原氏を追及するにしてもふわっとしすぎていて、証拠がないため、現状ただの印象操作」と呆れていた。

アングラ情報に強く、80万のフォロワーを擁する作家のZ李氏も「この元警部補、生放送したら駄目な人なんだって。 『あくまでも個人的に』『心の中で思ってる』『決め手は勘』『確信は持てない』やばすぎだろこれ。よくこんな記者会見できたな」と会見を批判した。

当初から文春報道に批判的だった弁護士の堀新氏は、佐藤氏が事件発生当時は担当外だったことを指摘し、「『事件直後の現場を見た時の刑事の勘』というのも本件には存在しないわけ」と強調。

どうも文春の件は、一部の左派・野党支持層と、岸田政権に不満な保守・右派層が、政局の思惑もあって飛びついて呉越同舟で安直に乗っかったような感じがするね」との見方を示し、「 適正な捜査や確たる情報に基づく話なら乗っかってもいいけど、そこらへんを見てからでないととんでもないことになる」と警鐘を鳴らした。

週刊文春の初報から1か月近く、この間、地上波テレビで取り上げることはなかったが、元捜査員の実名会見とあって、今回はTBSなど地上波テレビでも初めて報道された。一方、NHKは会見については触れず、松野官房長官が、木原氏から捜査に圧力を加えたことについて事実無根との報告があったことを記者会見で述べたことを報じる形で初めて取り上げた。

 

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