中国が日本への団体旅行解禁、ライドシェア推進派のZHD川邊氏「移動難民が…」

観光客増、タクシー業界には吉報か悲報か

中国政府が10日、自国民の日本への団体旅行を解禁した。新型コロナウイルスの感染拡大による渡航禁止から約3年半ぶりの再開となる。

中国の団体旅行解禁で、コロナ前のインバウンド効果期待の一方で…(CandyRetriever /iStock)

コロナ前の2019年には中国からのインバウンド(訪日観光客)は959万人にまで拡大。日本政府はこの日、岸田首相が「中国からのインバウンドの回復がさらに進むことを期待する」と歓迎する意向を示し、経済効果にまた好材料が加わった。

しかしコロナ前と様変わりしたのが日本国内のタクシー稼働の状況だ。全国ハイヤー・タクシー連合会の調べでは、19年3月に約29万人いた法人タクシーの乗務員は、今年6月末時点で約23万人と2割も減少。高齢化と人手不足のダブルパンチで、地方だけでなく都市部でも乗務員確保がタクシー業界に重い課題としてのしかかる。

夏のバカンスシーズンに突入し、京都などに国内外の観光客からタクシー待ちへの不満が強まり、日本が長らく認めてこなかったライドシェア解禁論も再燃している。

タクシー不足は解消できるのか(※画像はイメージです。yokaew /iStock)

ここ最近、X(旧ツイッター)でライドシェア解禁を積極的に訴えているZホールディングス(ZHD)の川邊健太郎会長は、中国の日本への団体旅行解禁のニュースを受け、「予言的に書いておきますが、これにより訪問外国人も日本に住む人も更に移動難民が発生する事になります」と改めて指摘。さらに川邊氏は

各空港の前には白タクが横行し、その大半は各国のモバペイで事前決済されてくるので日本にはお金が落ちない構造になるでしょう。公共交通各業界は事態の打開に向けて努力をなさると思いますが、現状の規制下ではやれる限界が早晩に訪れて、悲劇的事態が訪れてしまう事でしょう」などと述べた上で、

業界の努力を超えた政治や行政の不作為的状況になってからやっと何かを変えるのか、悲劇が訪れる前に主体的に変えて事態打開を図り、観光経済や日本に住む人のウェルビーイングを上げにかかるのか、業界、政治、行政の積極的関与を期待します。本件について私には発言をする事しかできないので、引き続き書かせて頂きます。 みんなで変えましょう!」と改めて現状を打開するように訴えた。

川邊氏は岸田政権の「新しい資本主義」に関する有識者会議のメンバーで、今年3月には、デジタル田園都市国家構想で政府が検討している「地域交通ネットワークの再構築」の具体策としてライドシェア解禁を提案している。タクシー業界は人手不足が露見してもライドシェア解禁議論の再燃に根強い警戒心を示しているが、中国からのインバウンド復活は吉報なのか悲報か業界にとっては微妙なニュースだったかもしれない。

(関連記事)ライドシェア解禁再燃、「タクシー王子」川鍋 vs「Zホールディングス」川邊の神経戦

 

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