「国内問題を隠すために対外強硬に出る」…陽動作戦理論は中国に当てはまるのか

注目の異説も...それでも残る危機の構造
地政学・戦略学者/多摩大学客員教授
  • 中国が国内の不満をそらすために対外強硬手段に出ることはあるか?
  • 「陽動戦争理論」を中国に適用することに異論唱える注目の論文
  • それでも「現実は甘くない」?奥山氏が考察する3つのポイント

今年に入ってから、中国から発信されるニュースは厳しいものばかりだ。少子化の速度は日本より速く、人口数はインドに抜かれ、コロナ後の経済の回復は遅く、恒大集団の苦境などから不動産バブルの崩壊が引き起こされている。

しかも経済だけでなく、政治面でも難題が発生しつつある。春先から秦剛外交部長(外務大臣)が失踪してから辞任しただけなく、軍の幹部もロケット軍はおろか国防大臣までが失踪している。

Tomas Ragina /iStock

中国にとって、このような国内問題自体、懸念すべきものであることは確実だが、それ以上に周辺国である日本が気をつけなければならないことがある。それは中国が国内問題から国民の目をそらすために、あえて外に脅威があることを喧伝し、国内をまとめつつ外に強硬に出て、最悪の場合には戦争さえ起こすという懸念があることだ。

このように、外の敵と戦って国内をまとめるために行われる戦争については、国際関係論という学問分野において「陽動戦争理論」という名前で研究が積み重ねられてきた。

そこでやや学問チックになってしまうことを承知の上で、今回はこの理論をまず説明し、それを中国に当てはめた魅力的な論文を紹介しつつ、そこから今後の中国の動きについて考えてみたい。

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地政学・戦略学者/多摩大学客員教授

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