“下村斬り”の返す刀で二階幹事長交代:菅首相の倍返しがエグすぎる
岸田氏の捨て身の“二階外し”を1日で封殺岸田前政調会長が「二階外し」が話題となり、日経新聞の世論調査で岸田氏の支持率が爆騰した翌30日、早くも菅首相の大逆襲が始まった。昨日書いた通り、岸田氏が「柄にもない」捨て身の戦術をして、それがまた奏功し過ぎたものだから、かえって菅首相を本気にさせてしまったようだ。

恐ろしくも鮮やかな「下村斬り」

まず菅首相は総裁選出馬をめざしていた下村政調会長を官邸に呼び出し、総裁選に出馬するなら政調会長を辞任するように迫ったとされる。会談直後に下村氏は出馬を断念。これで対立候補を1人、スタートラインにも立たせず“駆逐”に成功した。一報を聞いた時、筆者は、ここ最近、演説原稿の読み飛ばしなど心身の疲弊が明らかだった菅首相が、勝負勘を取り戻したように感じられた。
この「下村斬り」をめぐっては元自民党衆議院議員の早川忠孝氏がブログで「余計だった。見方によるだろうが、あれでは菅さんが悪者になってしまいかねない」などと懸念していたが、筆者の見方は異なる。国民が抱く心象は別にして、党内に対しては敵味方を問わず、誰が最高権力者なのか、その剛腕ぶりを改めて思い知らせたこと(≒公認に関わる)、そしてコロナ対応への世論の非難などで疲弊気味だった首相本人が、勝負師としての顔を急に取り戻したことを示すだけの宣伝効果は小さくないと思う。
下村氏周辺によると推薦人の20人は確保の目処が立っているとのことだった。それが事実であれば、この間、本人や周辺が本気で出馬準備を画策してきた経緯を考えると、このタイミングでの出馬断念には釈然としないものがあるが、真相がなんであれ結果としては「総理の器ではない」という印象を世間に抱かせてしまったのは確かだ。日本国の総理になる人物が永田町というコップの中の争いで敗れるような人物であれば、習近平、プーチンと対峙しても雑魚扱いされてしまい、たまったものではない。残酷だが、それもまた一国のリーダーを事実上決める「権力闘争ゲーム」自民党総裁選の残酷かつ冷徹な現実なのだ。
腹を括って倍返し

他方、春先までの岸田氏はまさにそのゲームに生き残るには、優柔不断で勝負際に弱く、難しいとみる向きが大勢だったが、よもやの“突然変異”で「二階外し」を打ち出し、菅首相の政権基盤を脅かす流れを作りかけたのはここまで先述した通り。しかし、菅首相は“下村斬り”の返す刀でそのまま当夜、一気呵成に岸田氏に対して袈裟がけに「倍返し」の逆襲をしてみせた。
それは、自民党関係者のみならず、日本中の政治ウォッチャーが当初は半信半疑だったほどのサプライズ、二階幹事長交代の動きだ。現職の守りの選挙の鉄則は挑戦者が仕掛ける「争点」を潰すことに尽きる。二階体制からの一新、世代交代をはかれば、岸田氏の乾坤一擲の奇襲作戦もあっという間に不発になってしまう。巷では河野太郎氏の官房長官登用説が流れているが、どうなるか。
しかも同じタイミングで、政権幹部をソースに、複数の報道機関が、総選挙の「10月5日公示、17日投開票」のスケジュール構想が相次いで報じ始めた。解散総選挙に至る道程を何度も経験してきた、永田町のあるベテラン秘書は「菅総理は腹を括ったのではないか。この後、どのような打ち手を見せるか非常に興味深い」と興奮気味に語り、選挙戦の最終準備へ武者震いするかのようだった。

菅首相はこの日曜(29日)、赤坂の議員宿舎を出ることなく、5か月ぶりに「休日」をとったと報じられた。もちろん議員会館内での行動は逐一記者たちが把握はできないから、会館内や電話などで側近らと内々の打ち合わせをし、総裁選、総選挙への作戦を練っていた時間もあったろう。それでも平日よりは心身を休める時間は取れたはず。束の間の休息にも関わらず、英気を養って戻ってきた時の菅首相の「倍返し」。党員投票、そして国民からの支持回復にはまだ程遠いが、少なくとも岸田氏を相手にする限りでは、なんとエグいことだろうか。
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