稲田朋美氏が高市氏支持、安倍前首相が言及ツイートの「意味深」

「国家観を共有」強調ツイート

自民党の稲田朋美元防衛相が19日朝、ツイッターで「譲れない国家観を共有する」として高市早苗氏の支持を表明した。稲田氏のツイートはスポーツ紙のネットニュースでも速報されて注目を集めたが、政界やメディアの耳目を集めそうなのが安倍前首相の反応だ。

稲田氏はこの日朝、地元・福井でフジテレビ系列の地元局「福井テレビ」の番組「タイムリーふくい」に出演。番組内で高市氏支持を表明したことを報告する形で出演中の画像をアップしながら、「総裁選について 私が目指す強くて優しい、温かい日本の国柄を守るため、譲れない国家観を共有する高市早苗候補を支持します。 タイムリーふくいに出演し、高市早苗候補の支持を表明しました」と投稿した。知名度の高い稲田氏のツイートは日刊スポーツのネットニュースで早速速報された。

かつて稲田氏は安倍氏の側近として知られ、安倍氏が首相に再登板した2012年には当選3回ながら規制改革担当相として初入閣。2016年の内閣改造では女性としては歴代2人目の防衛相に就任するなど、堅調にキャリアを積み重ねていたが、防衛相在任中の2017年都議選での失言を契機に求心力が低下。その後、選択的夫婦別姓に関して、結婚後も旧姓(婚前氏)を法的な場面で使える独自の制度案を示すなど、頑なに制度を拒絶する保守層と異なる発信を見せた。今年4月にはSAKISIRU編集部の取材に対し、

日本の伝統的な考え方、つまり家族のアイデンティティーとしての「氏」は残しつつ、現在の新しい家族や、現状、結婚後に氏が変わることが96%以上になっている女性の、現在のあり方に対応できるように、個人のアイデンティティーとしての結婚前の姓を法的な場面で使い続けることができる制度を考えています

などと「真意」を説明。しかし、朝日新聞などが稲田氏の案を好意的に取り上げた反面、保守論壇界隈から「変節者」として一方的に扱われる事態に。安倍前首相のファンが愛読する月刊Hanadaでは、保守論客らが稲田氏を総攻撃する特集が組まれ、稲田氏と小川榮太郎氏が誌上で激論をたたかわすこともあった。

稲田氏自身は本サイトの特集で「今の議論は「右か左か、敵か味方か」に拘泥しすぎて、お互いに足の引っ張り合いをしているところがある」と嘆いたものの、保守側は容赦がない。保守論壇の事情に通じる、ある論客は「稲田氏はこのままだと保守層に裏切り者扱いになり、行き場がなくなる」と指摘。各メディアで安倍氏が周囲に「稲田さんは変わってしまった」と発言したとされる内容が度々報じられていた。

そうした中で迎えた総裁選。保守層が熱狂的に高市氏を応援する中で稲田氏の動向が注目されたが、高市氏の応援を表明。すかさず安倍氏は同日昼過ぎ、ツイッターで稲田氏の支持表明ツイートを引用する形で「稲田朋美さんも国家観を共有する高市早苗候補支持を表明しました」と投稿した。

安倍氏は総裁選に入ってから高市氏を支持する自民党議員のツイートをそのままリツイートしているが、稲田氏については、安倍氏本人のコメントをつけた点で「力の入れよう」の違いが感じられる。コメントも手短ながら“国家観”を強調するあたり、保守層に対し、かつての側近に稲田氏の「復帰」を促す意図があるようにも見える。今後、安倍氏の真意や高市氏台頭に伴う保守政治家の力関係の変化を巡ってさまざまな憶測を呼びそうだ。

稲田氏の動向を見てきた八幡和郎氏はフェイスブックで

稲田朋美さんが高市さん支持を表明。稲田さんが保守でないという人もいるが、稲田さんの軸がぶれたことはないのは、この支持表明で明確になったと思う。稲田さんの役割は、保守にあって弁護士らしく社会の新しい問題に取り組んで行くことでいいと思うし、整理がついたと思う。

との見解を示していた。

 

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