駿台が日本史テキスト「竹島・南京」削除を撤回、ネットで賛否渦巻く

「私塾」が自説を述べるのはどこまで許されるのか
2021年10月14日 14:00
ライター/SAKISIRU編集部

大手予備校「駿台(駿台予備学校)」が日本史テキストで竹島・南京に関する記述を削除した件について、学校側が削除の撤回を表明。今後は講師や執筆者の許可なくテキストを削除・改編しないことや、撤回後の措置は学校側と執筆者で協議することなどが、決まった。

駿台の日本史テキストでは、竹島について「日露戦争中に日本は独島(トクト)を領土に編入して既成事実化して竹島と命名した」、南京事件について「中国民衆・投降兵・捕虜の虐殺は十数万人以上」などと記述されていた。

駿台お茶の水校1号館/Googleストリートビューより

8月29日、竹島について記述された部分がツイッターに投稿され、批判的なツイートが殺到。自民党の山田宏参院議員の事務所が問い合わせの電話を複数回行い、駿台は31日に該当箇所の削除を決定した。

日本政府は竹島について、「歴史的事実からも国際法上も明らかに日本固有の領土」との立場。南京事件については「被害者数は諸説あり、政府としてどれが正しいか認定は困難」との見解を示している。南京事件の犠牲者数について日本国内では諸説あり、「なかった」という否定派から、2万人余り、十数万〜20万人まである。なお、中国国内では「30万人」との見解が定着している。

削除撤回のニュースが流れると、ネット上では案の定というべきか、賛否両論渦巻いた。

山田議員はツイッターで「学問の自由は、事実でないことや不確かな事実を断定的に教えてよい自由ではない。駿台は歴史のある予備校の雄として、予備校の社会的な責任をしっかり自覚して結論を出すべきだ。」と述べ、今回の対応に納得していない様子だ。

 

自民党の岡田裕二神戸市議も、怒りの絵文字付きで「学問の自由は若者に誤った歴史を教える事ではない」と駿台を非難。

17年に衆院選に出馬し落選した橋本琴絵氏は、駿台を“極左政治結社”とまで糾弾した。橋本氏は昨年、「産後うつは甘え」とツイートし、医師から反論されていたことでも知られる。

「鵜呑みにはしない」

一方、作家の盛田隆二氏は、撤回を肯定的に評価。

憲法学を専門とする京都大学の曽我部真裕教授も、「この事案で講師の自由尊重という筋を通すのはなかなかの見識」とツイート。

予備校講師の相澤理氏は、生徒も教わったことを「鵜呑みにはしない」と提言した。

また、一般のネット民では、駿台のテキストを問題視しつつも、

「『駿台は教師のイデオロギーにより事実と異なることを教えることを是としている』 というだけの話なので、そのことについて駿台そのものは叩いていいけど議員が口を出す話ではないと思う」

と、政治家が介入することに批判的な意見もあった。

予備校は民間の私塾であり、高校などの公的な学校教育機関とは異なる。賛否の割れる敏感なテーマについても、講師が自由に意見を述べることはある程度許されるだろう。それは魅力でもあれば、短所に感じる人もいる。とはいえ、教えている内容が政府見解と異なれば、さまざまな議論を呼ぶのは当然とも言える。予備校講師が授業で自説を述べるのは、どこまで許されるのか。最終的には、当事者である生徒自身と保護者が評価すべきことかもしれない。

ライター/SAKISIRU編集部

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