「ハロウィンは渋谷に集まらないで!」という区長が進める「バーチャル渋谷」とは !?

アバターで雇用創出も!税金だけに頼らない仕組み
  • 「ハロウィンに来ないで!家にいて」と訴える渋谷区長の代替案とは?
  • 「バーチャル渋谷」は友達とアバターで渋谷の街を遊べる仮想空間
  •  バーチャル空間では、アルバイトもできる。雇用を生むか !?

毎年この時期になると、ハロウィンの仮想を楽しむ若者で溢れていた東京・渋谷だが、コロナはまだ完全には収束していない。とはいえ飲食店の時短営業が25日に解除する方針で、開放感から人が集まる可能性もあるだろう。

渋谷区は今年は昨年に引き続き新型コロナの第6波を警戒。長谷部健区長は記者会見で10月末のハロウィーンに「渋谷に集まらないで!ハロウィンはなるべく自宅で楽しんでほしい」と呼びかけた。その代替策として「バーチャル渋谷」という仮想空間で楽しむことを呼び掛けている。この「バーチャル渋谷」とは一体どのようなものか?

毎年密になっていた渋谷のハロウィン(CHENG FENG CHIANG /iStock)

昨年は40万人が“集結”

「バーチャル渋谷」とは、渋谷区観光協会とKDDI、渋谷未来デザインを中心とした参画企業で組成するプロジェクト。昨年5月15日に開始した配信プラットフォームで、5Gと最先端のテクノロジーを駆使し渋谷駅前を再現したバーチャル空間だ。clusterというアプリを入れれば無料で誰でも参加できる。昨年5月のオープン時にはバーチャル世界の渋谷スクランブル交差点で「特攻機動隊 SAC2045」再現するイベントを行って、約5万人が集まったという。

昨年のハロウィン時期も#Stay Virtual(ステイバーチャル) をキーワードに同フェスを開催。約40万人がオンライン上のイベントに集まった。きゃりーぱみゅぱみゅのバーチャルミニライブはアクセス殺到で日程が延期になるほどの盛り上がりを見せたという。

一般社団法人渋谷未来デザインのプレスリリースより

参加者は、アバター生成システム「AVATARIUM(アバタリウム)」で、現実の自分に似たアバターを作ることができる。スマートフォンと商業施設に設置されたスキャナーで、アバターをつくり、コスプレして参加することも出来るようだ。他のユーザーとチャットしたり交流も可能になる。友人を招待して、一緒にオンライン上で109やハチ公など、渋谷の町をまわることも出来るようだ。

10月22日現在、試しに記者もダウンロードして渋谷駅前を散策してみた。数種類の中からアバターを選べ、世界に入ってみると、驚いた。まさに渋谷駅で見覚えのある光景がバーチャル上に広がっている。渋谷のリアル空間と同じように、駅前の電光掲示板の大きな音の広告も流れている。ハロウィン本番前なので、まだ人だかりは少なかったが、これから着飾った人(アバター)は増えていくのだろう。ときどき手を振って挨拶してくる人もいた。

バーチャル渋谷より

アバタートークショーなど多彩な企画

今年のハロウィンでは、「バーチャル渋谷au5G ハロウィーンフェス2021~FUN FOR GOOD」を16日から開催しておりハロウィン当日の31日まで無料で参加することができる。バーチャル内の渋谷では、様々なアトラクションが用意されている。

「迷宮ハロウィーン」や「トリック オア シューティング」という迷路やシューティングゲーム、バンクシーのイベントなど、ハロウィンの衣装を着た「アイドルマスター」のイベントや、にじさんじで人気Vtuberのファンミーティングなど、「名探偵コナン」の100巻突破記念としてコナンくんと安室透氏のアバタートークショーなどが実施される予定だ。

ハロウィーン限定でアニメキャラのコラボアバターが作れる(プレスリリースより)

バーチャル音楽イベントも開かれ、「Creepy Nuts」「MY FIRST STORY」「新しい学校のリーダーズ」などZ世代に人気のアーティスト達が楽曲を披露。31日には、ハロウィン当日には元サッカー選手の本田圭佑氏のトークショーもある。ほかにもイベントは盛りだくさんのようだ。

いまは、Z世代を中心とした若者向けコンテンツが多いが、それよりもっと上の世代も、渋谷に行かずとも安全にお祭り気分を楽しめるだろう。ハロウィンを機に、かつてない街の空間を尋ねてみるのもオススメだ。

雇用創出や税外収入の試み

ちなみに、グッズも販売しており、その収入は全て区の収入になる。区民の税金だけに頼らない仕組みでもあるのだ。

またハロウィン期間中には、遊ぶだけでなく、アバターのスタッフとしてアルバイトとして働くこともできるという。飲食店の時短営業など、リアルな街の空間で雇用が減っている分、こうした試みによって新たな雇用を生み出そうというということらしい。

もちろんそれがすぐに、リアル空間の時短営業の埋め合わせレベルにはすぐにはならないだろうが、試みそのものとしては興味深い。現状では、バーチャル渋谷はあくまでエンターテイメントとだが、こうしたイベントが毎年進んでいけば、本格的な雇用を将来的には生んでいくこともあるのかもしれない。渋谷は一つの“実証実験都市”になろうとしている。

 

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