秋篠宮家のけじめに敬意も、小室夫妻「傲岸不遜」会見の支離滅裂

「挑戦的」「浮世離れ」発言を徹底分析
評論家、徳島文理大学教授
  • 八幡和郎氏が昨日の記者会見での小室夫婦の発言内容を分析
  • 質疑応答は中止し、批判する声を誹謗中傷と決めつけるなど「傲岸不遜」
  • 問題の核心は触れず、「圭さんが独断で動いたことはない」の矛盾

秋篠宮眞子内親王殿下が、小室圭氏と結婚された。「これまで皇室の一員として、様々な公的ご活動に真摯に取り組んでこられたことに対して、心からのおねぎらいのお気持ちをお持ちでいらっしゃいます。また、今後幸せな人生を歩んでいかれることを願っておいでです」と宮内庁の西村泰彦長官が、眞子さまの結婚に関する天皇皇后両陛下のお気持ちについて語っているが(10月1日の記者会見)、私たちもその気持ちを共有したい。

今回の結婚については、どうしても賛成しがたいが、皇族として公務などにしっかり励んでこられたことは間違いない。

また、この結婚が国民の理解を得られていないものであることを踏まえ、儀式などを行わず、小室圭氏と陛下などとの面会の機会を設けず、一時金も支給されないということになったことは、秋篠宮両殿下や眞子さまが、婚姻の自由の尊重と、皇族としての責任との調和のために、ひとつのけじめをつけられたものとして高く評価したい。

これをもって、皇室との縁は未来永劫、完全に切られたという人もいるが、これからのお2人の生活ぶりなどで、全面的にほかの皇室を離れられたプリンセスやその結婚相手と同じように扱われることはなくとも、部分的には扱いに変化が起きることはあってもよいと思う。

しかし、そのためにも、記者会見で元内親王として恥ずかしくない対応が期待されていたところだったが(ここまでは内親王に対するものだが、これ以降は民間人になられた小室眞子氏に対するものなので、呼び方も敬語も変える)、残念ながら、東京都千代田区にある「ホテルグランドアーク半蔵門」で開かれた記者会見については、あまり感心したものでなかった(会場を豪華ホテルなどを避けられたのだけは賢明だったが)。

「挑戦的」だった記者会見

当初は、記者からの質問に小室夫妻が直接、答える予定であった。しかも、皇室関係の記者会見で主役となる宮内記者会から3 問だけでなく、日本雑誌協会より1 問、外国報道協会より1問、の質問を受けるという前向きなものだった。ところが、宮内庁は、前日の25日になって、突如、質疑応答の取りやめを発表し、2人が一方的に考え方を述べ、ついで、記者たちから事前に寄せられた質問に回答した文書を配布して15分で退席するという乱暴なものになった。

会見形式の変更の理由については、回答文書のなかで小室眞子氏は、「これらの質問の中に、誤った情報が事実であるかのような印象を与えかねない質問が含まれていました。このことに衝撃を受けるとともに、このような質問に会場で口頭でお答えすることを想像すると、恐怖心が再燃し心の傷が更に広がりそうで、口頭で質問にお答えすることは不可能であると思いました。誤った情報が事実であるかのような印象を与えかねない質問をいただいたことは、誠に残念に思います」と挑戦的ともいうべき言い方になっている。

そもそも、夫妻は、この結婚について国民の理解が得られていない点について、少しでも疑念を晴らすために記者会見を開いたはずなのに、その疑念そのものを「誹謗中傷」と決めつけ、質問することそのものを許せないと決めつけ、従って、不愉快だから質問には文書で配布することにしたというのであるから、相当に乱暴だ。

こんな言い方が通用するなら、これから、政治家でも疑惑をもたれている事件の関係者でも、これにならった対応が許されることになって喜ぶ人も多そうだが、質問をみて気に食わないから拒否だというのは、最初から記者会見に応じないより、さらに、ありえない対応だ。

しかも、誹謗中傷と決めつけたことも、まったく、ふざけた話であって、寄せられたのは普通の誰でも聞きたい質問で、これを誹謗中傷というのこそ誹謗中傷であって、傲岸不遜と言わざる得ない。

元皇族が国民に対して安直にこういう言葉を使うべきでない。誹謗中傷とは、自分が気に入らない批判のことでなく、誰が見ても事実に基づかない嘘だと思うようなことに使う言葉であることを知るべきだ。

不満が残った記者会見

問題になったらしいのは、日本雑誌協会からの質問で、ひとつは、小室さんの母親について、発端となった金銭トラブルや刑事告発されている小室さんの母親による遺族年金の不正受給の疑惑について状況説明を求めたものであって、もうひとつは、小室圭氏の留学について、法学部を卒業していないのに入学を認められるなど特別な扱いを受けたとか、学費全額免除の奨学金を受給したことについて「婚約者」として特別な待遇を受けたのではないかといった「皇室利用」があったと受けとめられかねない事柄があったという質問らしい。

いずれも、これを聞かないと記者会見の意味がないほど重要な「問題の核心」であるし、多くの人が本当に解明すべきなのは、小室圭氏の父親と祖父母の連続自殺の事情とその後の遺産相続について、反社系の人物を交渉に使ったとされている話だと思っているのであって、そちらは含まれていないのが不満が残るくらいなのである。

フォーダム大学の奨学金などは、特別な配慮が証明されなくとも、ほかに例がない扱いを受けたこと自体が好ましくない。たとえば、いま、悠仁さまの進学先が話題になっているが、仮に、東京大学に1人だけの枠の特別入学を認められる制度で悠仁さまが入学して皇室であるがゆえの特別配慮でないといっても、誰も信じないだろうから、そういうやり方はしない方がいい。

小室氏の入学許可は形式的に可能だと言うだけでなく同じような経歴の多くの人が認められているということを説明すべきだし、ひとりだけの奨学金などそもそも受けるべきでなかった。それに、少なくとも、大学に出した願書でも公開すればいい。

「浮世離れ」した発言チェック

以下、冒頭に小室夫妻がした発言とほかの質問に対する回答について、注目される点を紹介し、論評しておこう。

冒頭発言で、眞子氏は、「婚約に関する報道が出て以降、圭さんが独断で動いたことはありませんでした」とし、母親の元婚約者の方への対応は眞子氏は「私が願いした方向で進めていただきました」とし、「留学については、圭さんが将来計画していた留学を前倒しして海外に拠点をつくってほしいと私がお願いしました」とした。

そうだとすると、金銭トラブルについて、どうして返さなくていいと思ったのか、資金がない圭氏にどういう見通しで留学を勧めたのか、眞子氏は説明しなくてはならないことになる。皇族としては無責任な言動だったといわれても仕方ないだろう。圭氏の母親である佳代氏のメンタルな状態が悪いから元婚約者に会えないというのも、これまでの行動からして納得できないし、もしそうなら、佳代氏の回復を待ってから最終解決にしようと相手にいわれても仕方あるまい。

異例なかたちの結婚についての感想について、眞子氏は、質問に対して「結婚できたことに安堵している」と述べ、陛下などからのお言葉とそれに対する感想については「私の心の中に大事に留めておきたい」と述べるのにとどめたが、これでは回答拒否に近い。

「一番大きな不安を挙げるのであれば、私や私の家族、圭さんや圭さんのご家族に対する誹謗中傷がこれからも続くこと」というのだが、誹謗中傷と思うなら、それに適切に納得してもらえるように努力されるしかないだろう。小室母子について語られているスキャンダルで、週刊誌や匿名などでないそれなりのネットメディアなどで語られていることは、政界スキャンダルなどに比べても、それなりの根拠があるものばかりで、むしろ遠慮がちなものだ。

外国報道協会の質問については、スキャンダルと指摘されたのを、「物議」と言い換えた上で、「誤った情報がなぜか間違いのない事実であるかのように取り上げられ、謂れのない物語となって広がったからだと考えます」と眞子氏は返したが、これは、すべての指摘を「事実無根」と根拠もないのに切り返したもので、浮世離れしている。

(つづく。28日朝掲載の後編では将来に残した「禍根」に迫ります。リンクはこちら

 
評論家、徳島文理大学教授

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