東京機械製作所「事件」で思い出す、マードック氏に会った時の話
メディア買収「攘夷」時代の教訓?今回もマードック氏の話になってしまいそうです。東京機械製作所「事件」で進展があったからです。要は、香港系の資本が新聞用輪転機メーカーの株を買い占めとうとしたのを、経営陣が阻止したという話です。いやな感じがするのは、使われた買収防衛策の法的な是非を問われた東京地裁が、問題の株主総会前に判断を示さなかったことです。

いきなり攘夷運動を始める日本メディア
仮処分申請をして防衛策を止めようとしていたファンド側は怒るはずです。裁判所から自分たちのやり方を否定する判決が出ればまだしも納得できるとしても、あえて判断を遅らせて不戦負にされてしまったわけですから。この後出てくる判決によっては、「日本人は海外資本を不当に排除する差別主義者だ」などと言われかねません。というか、今更どんな理由をつけてどんな判決を出そうが、レイシスト呼ばわりは避けられないのではないでしょうか。対外的に「塩対応」をするのが個人や企業じゃなくて裁判所、しかも原告は普段はポリコレでやかましい新聞社というのですから訳が分かりません。
「新聞は公共性があるのだから、水道・電気などと同じで、マネーゲームの対象にしてはならない」などと、提灯アンコウの寝言のようなことを言う人には、それなら日経がイギリスの名門経済紙フィナンシャルタイムズを傘下に収めたのはいいのでしょうか、と聞きたいものです。前にも書きましたが悪法・日刊新聞紙法をフル活用して、「株主は社員のみ、株価は定価(再販制度ですか?)」などという最強の株式防衛をしているのは日経なんですから、勝手なものです。
不思議なことに、対決の構図が「新聞社VS外資」となると、普段は犬猿の仲のはずの朝日から産経までがスクラムを組み、相手の人種・国籍・性別・思想信条関係なく、いきなり攘夷運動をはじめ、ご丁寧にも政財界や司法までが後方支援するのですから、海外で日本特殊論が出ても仕方ありません。で、話は25年前に飛びます。
テレビ朝日株を買い集めて話題になったマードック氏、その後継者というか模倣犯というかのホリエモンらと比べてさえイメージが悪いのは、名前のせいかもしれません。レスラーのリングネームじみた語感(マードック≒マッドドッグ=狂犬)はともかく、かの一族以外にあまり同姓の有名人がいません。ググると、いきなり彼の顔が出てきます。必要以上に印象に残るひとです。

マードック氏を珍しく笑わせた私の一言
さて、前回も書きましたが、上野尚一社主(当時)のお供で、一度だけ、ご本尊にお目にかかったことがあります。どんな怖い人が出てくるのかと心配しながら待ち合わせの場所に行くと、凶暴というより気難しい感じのお年寄りが立っていました。ベニスの商人のシャイロック氏に似ているような気がします(会ったことないですが)。
印象に残ったのは、同行してこられたご子息です。一言で言えばおとなしいオタク少年(学生だったと思います)といった感じです。会食の席がとなりだったので、結構長い時間話をしました。話題の中心は、彼が当時研究していた新しい情報システムのこと、ただし、今では内容は全く覚えていません。私も、当時、特許申請中だった自慢のウェブ技術の話(多分彼も全く覚えてないでしょうね)などして盛り上がりました。映画や小説なら、「この出会いが世界の新聞を変えた!!!」となるのでしょうが、その後、彼の名前を見たことはありませんから、ジュニアどうし、2人で仲良くポシャッたということでしょう。
このときパパ・マードック氏が珍しく大笑いするのを見ました。上野社主が私を指さして「His grandfather was the co-owner of my company but much larger than I.(こいつのおじいちゃんは私と同じ朝日のオーナーですけど、私よりかなり巨大でした)」などと、おっしゃるので(やめてくれぇ~)、反射的に「Yes, he was 3m tall !!!.(そう、だって身長3mだったんですから)」と返してしまいました(馬鹿の全盛期ですねぇ)。ちなみに、ここでlargeというのは、もちろん株式持ち分比率のことです。御大は爆笑(この程度のギャグでも反射的に笑えるように西洋人は、日々訓練しています)した後、一瞬悲しそうな顔をしてから、もとのシャイロックモードに戻りました。
今にして思えば、テレ朝株の持ち分比率の件で、散々嫌な思いをされていたころのことですから、たとえクスグリにしても、こういう話題を出すべきではなかったのですが、何せ馬鹿ですから口が動いてしまいました。当時、上野・村山両家で朝日新聞社株式の約65%を持っていたのですから、かなり嫌みなことを言ったわけです。成金が札束で一発芸をするような下品さが丸出しでした。朝日脳的な行動と言われても仕方ありません。
外資によるインフラ企業の買収のような話になったとき、黄禍論やら攘夷運動じみた方向に議論が向かわないようにするためには、社主とその一族(ないしその企業を代表するキャラ)には、人徳・教養、そしてそれらを咄嗟に提示できる知的運動神経が必要なのでしょうが、およそ私には無理な話でした。がんばれ、マードック・ジュニア。
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