共働き家庭の小学校受験、学童選びは親のライフプランにも重要
受験時期から準備が必要- 共働き家庭が直面する、小学校入学後の仕事の両立について考える
- 下校時刻は保育園の迎えよりもはるかに早い。フルタイムの仕事を辞める女性も
- 学童は小学校受験が終わる前から申込も。私立は学童併設校もある
前回は、共働き家庭での小学校受験が可能かどうかについて議論しました。しかし実は、共働きの家庭にとって受験以上に重要なのが、入学後の学童保育のことです。小学校の下校時間は保育園よりも早く、働く親にとって放課後の子どもの預け先確保は死活問題です。預けるかどうかが、親のキャリアやライフプランに影響する恐れもあります。
お受験の時期から知っておきたい学童保育のことについて、我が家も小学校受験を経験したファイナンシャルプランナーの筆者が解説します。

この時期、私立小学校の結果はほぼ出そろいます。お受験に挑んだお子さんの進学先が無事に決まったご家庭も多いことでしょう。一方で国立小学校はまだ選考中、または結果待ちの時期です。私立の合格を確保したものの、国立も受けてから入学先を決めるご家庭では、まだ入学先が決まっていないでしょう。あるいは、補欠合格の連絡待ちというケースも考えられます。
入学先が確定していなくても、来年度に向けて、共働きの家庭でいまの段階で手続きが必要なのが、学童保育の入所手続きです。自治体が管轄する学童保育の申し込みは12月から翌年1月にかけて受け付ける地域が多いのです。民間の学童クラブには、すでに申込みを締め切っているところもあります。
小学校入学後の方が、仕事の両立が大変

地元の小学校に行くのか、電車通学で私立・国立の小学校に通うのかによって、4月以降の子どもの生活スタイルや生活圏は大きく変わります。しかしいずれにしても小学生の下校時刻は保育園や預かり保育を行う幼稚園のお迎えよりもはるかに早いため、親が夕方まで仕事をするには預け先が必要です。
現在はコロナ禍で在宅勤務が普及し始めたおかげで、子どもを仕事の合間に迎えに行くことや、家で宿題をする子どもの傍らで仕事をすることが、物理的には可能になりつつあります。しかし、「小1の壁」とも呼ばれる1年生の間はまだ学校生活がおぼつかない状態です。無事に電車に乗れたか、乗り過ごしていないか、子どもに持たせたGPSの位置情報を気にしながらの仕事は、思いのほか集中できません。自宅に帰ってくれば、大人のサポートなしには連絡帳に書いたことを正しく理解して、忘れずに宿題をするのは難しいので、子どもにかかりきりにならざるを得ません。
また新型コロナの感染状況によっては授業が急遽オンラインに切り替わったり、授業時間が短縮されて登下校の時間が変わったりすることもあり、出勤や打合せの時間をその都度変更せねばならないこともしょっちゅうです。特に出社が多い仕事や在宅勤務でも会議が多い人などは、子どもを誰かに預けずに仕事を続けるのはかなり困難でしょう。
個人的には、小学校受験そのものが共働きでも可能かどうか?よりも、子どもの小学校生活と親の仕事を両立できるか? という問題の方がずっと難しいと感じています。筆者のママ友にも、小学校受験のときまではフルタイムで働いていたのに、「もう無理!」といって入学後に退職した人もいます。
小学校受験をしても公設の学童保育に申し込める
夕方まで仕事をしている場合に子どもを預ける方法は、自宅にベビー(キッズ)シッターさんを呼ぶか、実家に頼むか、学童クラブや放課後クラブを利用するかが考えられます。このうち就学前に保育園・幼稚園の預かり保育を利用していた家庭がよく選ぶのが、学童クラブや放課後クラブです。広い意味で「学童保育」と呼ばれ、大きく分けて公設のものと民間運営のものがあります。
公設のものは地域によって詳細が異なりますが、公立の小学校に通っている子どもだけでなく、地域在住なら私立・国立に通う子どもも通えるところがあります。その申込が、上述のように年末から年始にかけて行われます。申込時点で受験の結果が出ておらず進学先が決まっていなくても、基本的には申し込めます(詳細は各地域の窓口にご確認ください)。利用料は自治体が設定しており、月に数千円から1万円前後です。平日の放課後(一部土曜日)、最長18時や18:30まで利用できるのが一般的です。

民間運営の学童は在籍している学校や在住地を問わず、申し込めば利用できます。近隣であれば学校や習い事への送迎もしてもらえます。施設内で英語やプログラミングなどの習い事ができたり、単発で参加できる学習イベントを実施するところもあります。利用時間も最長21時や22時など、遅くまでの延長にも対応しています。利用料は利用頻度に応じて各施設が設定しています。週5日だと4~5万円以上になるところもあります。入会金や年会費も別途必要です。
私立小学校には学童併設も
私立小学校の一部では、学校内に学童保育施設を設けています。学校の建物内か敷地内にあり、放課後すぐに通えます。保育時間中に宿題のサポートをしてもらえる、ピアノや習字、英語といった習い事を受講できるところもあります。筆者が複数校を見学したところでは、学校の雰囲気やカラーに合わせたインテリアながら、床が絨毯敷きで子ども用ソファがあるなど、学校内の空気感をそのままに、子どもがリラックスして過ごせるように工夫されていました。
利用料は民間の学童クラブと同程度で、週5日利用すれば4~5万円が中心です。習い事は別途料金、年間登録料がかかるところも多いようです。
校内の学童は入学が決まってから申し込みますから、共働きの家庭が小学校受験をするときには、あらかじめ公設の学童や近隣の民間学童に申込をして、預け先を確保しておくと安心です。私立小学校への進学が決まったら、後でキャンセルも可能です。
ただ、学童を利用しても、宿題や持ち物の管理、勉強のサポートなど、小学生になると保育園時代よりも親が主体的に関わるべき場面は増えてきます。一方で個人差はあるものの、子どもが小学生になる頃は、管理職につく、部下が増える、転職するなど、親がキャリア形成の重要な局面を迎えていることも多いものです。中学、高校へと上がるにつれさらにかかっていく教育費を考えると、収入面でも仕事は重要です。そう考えると子どもの教育と自分の仕事にそれぞれどこまで注力するのかはとても難しく、筆者もいまだに頭を抱えるばかりです。
答えのない問いに向き合いながら、一日一日の子育てを大切にしていきたいものです。
(編集部より:加藤梨里さんの「小学校受験とお金」の連載は今回で終了です。)
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