企業連合「デジタル通貨」構想にネットの微妙な反応、藤巻氏「成功しないのでは?」

ネット民「“みずほ”には参加してほしくない」

メガバンク3社を含む74の企業・団体が加盟する「デジタル通貨フォーラム」が24日、2022年度中にデジタル通貨「DCJPY」の実用化をめざすことを発表した。世界的に、中央銀行が発行するデジタル通貨(CDBC)発行を視野に開発や構想が広がりつつある中で、日本は国を代表する大企業が「民間先行」で乗り出した形だが、ネット上の反応はツイッターで「デジタル通貨」がトレンド入りしたものの、微妙な空気が漂う。

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日本経済新聞が24日の朝刊一面でスクープし、ネット上で話題になり始めた。「レガシー系企業軍団がいよいよ本気出しにきている」との感想もあったが、著名人・専門家でいち早く反応した1人が日銀デジタル構想に関する著書もある藤巻健史氏。藤巻氏は第一印象として「中銀デジタル(CBDC)が導入されれば、この構想はいらないのでは?または仮想通貨の普及で済む話ではないのか?」と述べた上で連続投稿。

藤巻氏は「私は日銀は直接型(国民が日銀に直接口座を持つ)日銀デジタルを検討すると思っていたが、どうも間接型(民間銀行を絡ませる2層式)を進めるようだ」と見立てた上で、「日銀デジタルはタンス預金を無くしマイナス金利政策を効果あるものにするという意味で日銀に大きなメリットがある(=日銀が今の単なる政府の紙幣印刷所の立場から金融政策を司る機関に戻れる)。一方、民間金融機関のメリットは良くわからない。となると、間接型日銀デジタルは日銀一人が頑張ってお仕舞。成功しないのでは?と思ってしまう」と懐疑的だった。

70社を超える大企業連合軍。「船頭多くして…」のフレーズがつい浮かんでしまいそうだが、中国のデジタル通貨戦略に詳しい中川コージ氏も「こんだけ多くの企業が民間で、ICO的なキャピタルゲイン狙いでなく経費削減目的でデジタル通貨を個別開発投資するってのは、社会総コストとして無駄なのではと思えますぬ」と危惧を示す。ただ、中川氏は「日本円CBDC導入までのハードルが高いのは理解した上で、  一長一短あるけど、僕はJPY-CBDC支持派」と、日本国内でデジタル通貨の実装へ前進したことを評価した。

とはいえ、「船頭」の多さが日本企業の意思決定の遅さにつながる懸念はつきまとう。日経の記事では、JPYを導入した場合のメリットとして、「燃料会社が飛行機の燃料を納入したことを航空会社がIoT機器で確認できれば、人手を介さずに自動でJPMコインを使って支払いが完了する」(記事より)との具体的なシーンを想定しているが、日経電子版のツイートに反応したSaaSシステム関連のスタートアップ、アラインの清水剛社長は「日本の場合、この部分をデジタル化しても、次は請求書の電子化とか言い出して、ここまで辿り着くのがいつになるか…」と、調整の困難さを指摘した。

日経のツイートにリプライした一般のネット民からは

「参加者の範囲が難しい。 エラーの対応、責任… まあ、仕方ないで、先に進めますように!」

「ビットコイン等のデジタル通貨は存在を否定しているのに、なぜかその制度を自分たちの都合のいいように変えて広めようとあたふたしてる様が見え隠れしている。」

「現状と何が違うのかよく分からないな。 企業間での取引ならすでにデジタルでやってるし、個人だってクレカとかデジタルだし何が違うんだ…」

などと、仮想通貨に否定的なことや、メリット感が伝わらないなどの指摘が続出。果ては企業連合の参加企業の顔ぶれを見て

「出来れば“みずほ”には参加してほしくない」

と、トラブル続きのみずほ銀行の名前に懸念する人もいた。

 

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