コロナ検査の価格見直し案が波紋「検査に対応する医療機関がなくなる」の声も

岸田首相「検査も抜本的に拡充」じゃなかったの?
ライター/SAKISIRU編集部

12月8日の中央社会保険医療協議会(中医協)で提出された「新型コロナウイルス感染症の検査に係る保険収載価格の見直し(案)」の内容が波紋を広げている。

show999/iStock

この日、中医協に提出されたのは、新型コロナウイルスの検査に対する検査価格の見直し案。PCR検査を外部機関に委託した場合、現行の1,800点から700点に、外部委託しなかった場合、現行の1,350点から700点に診療報酬を引き下げるというものだ。抗原検査も同様で、一律600点だった抗原検査の診療報酬は、定性検査の場合で300点、定量検査で560点にそれぞれ引き下げられている。

診療報酬は1点10円で計算されるため、PCR検査を外部機関に委託した場合の診療報酬は、現行の1万8,000円から7,000円に引き下げられるわけだ。

この案に、『天久鷹央』シリーズで知られる小説家で医師の知念実希人氏は、次のようにツイートした。

「ちょっと待って!PCR検査、委託すると1万数千円の検査費用がかかるのに、7000円しか支払われないって、発熱外来1人に検査するごとに、1万円近い赤字になるってことじゃない?え?なに考えてるの?」

また、知念氏は「マジな話、多くの医療機関が殆ど収入にはならないのに、地域医療の為に発熱外来をしていたけど、さすがに感染リスクを負って発熱患者を診るたびに1万円の赤字になるって意味わかりませんよ。なんで大金をこっちが支払って、危険な仕事をしないといけないの?」と、今回の見直し案を痛烈に批判している。

ほかにも、医師とみられる複数のアカウントが、この案に苦言を呈している。都内で開業医をしているという匿名アカウントは、「発熱外来やるとこなくなるよ?」とツイート。医療従事者とみられる匿名アカウントも「現状でも赤字ですので、この点数では医療機関では検査するなってことですね」と指摘している。

まだ案の段階だから、最終的には通らないだろうと思う人もいるだろう。しかし、どうやら本決まりのようだ。

ある検査技師の匿名アカウントは、「実施が来年(1/1)からで今日(12/8)公開なのでほぼ覆ることはないのでは?とのこと」とツイートしている。
実際に、発表された書類には(案)と書かれているが、これはこの日の中医協に諮るためのものだから。この日の中医協で諮られた結果、今年12月31日からの新型コロナ検査の診療報酬が引き下げられることが承認されている。

岸田首相は、11月12日に行われた「新型コロナウイルス感染症対策本部」で次のように述べている。

「検査も抜本的に拡充します。健康などの理由でワクチン接種できない方が、予約無しに、無料で検査を受けられるようにするとともに、感染拡大時には、ワクチン接種者を含め、無症状者でも無料で検査を受けられるようにいたします」

大半の医療機関が反発するであろう診療報酬の引き下げを決めておきながら、どういったスキームで「無症状者でも無料で検査を受けられる」ことを実現するのだろうか。ぜひ詳しく説明してもらいたい。

 

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