「岸田ショック」再び !?「自社株買いの制限」発言に株価下落の波紋

そもそも、なぜ投資家が困るのか?も解説
ライター/SAKISIRU編集部

岸田文雄首相は、14日行われた衆議院予算委員会で「企業の自社株買いの制限」について「大変重要なポイントでもある」と発言し、株式市場を直撃。首相就任時に金融所得課税をめぐる発言で、株価を押し下げた「岸田ショック」の再来を懸念する声が投資家などから上がっている。

答弁する岸田首相(衆院ネット中継より)

首相は、立憲民主党・落合貴之議員から「自社株買い制限」を求める質疑に、次のように回答した。

「自社株買いについてはそれぞれの企業判断に基づいて状況に応じて判断していく問題ではありますが、私自身、多様なステークホルダーを重視して持続可能な新しい資本主義を実現していくということから考えました時に、ご指摘の点は大変重要なポイントでもあると認識を致します」

岸田首相のこの発言に、市場は瞬時に反応。この日の日経平均の終値は、前日比207.85円安の2万8432.64円に。岸田首相の「自社株買いの制限」発言直後には、一時2万8309.67(前日比330.82円安)まで下落している。ツイッターでは「マザーズ」が一時トレンド入り。新興市場の低迷を嘆く数多くの声が寄せられた。

また、経済や金融情報専門のニュースサイト「ブルームバーグニュース」も岸田発言を問題視。発言を伝える記事には岸田首相の全発言を掲載し、ツイッターも連続投下して、事態を見守った。

そもそも「自社株買い」制限なぜNG?

metamorworks /iStock

なぜ、企業の自社株買いを制限してはいけないのか。そもそも「自社株買い」とは株式を発行している企業が、自社の株式を購入することだ。ROE(自己資本利益率)の向上や、PER(株価収益率)の低下が期待できることから、理論上は株価が上がりやすいとされている。株価が上がりやすいということは、企業側にとっても投資家側にもとってもメリットでしかない。また、株価が上昇すると一般的に、株主への還元利益も大きくなる。つまり、自社株買いはいわば「三方よし」なわけだ。

東京証券取引所の調査では、日本株の外国人投資家保有比率は30.2%に上る。今や、日本株保有者の約3分の1が外国人だ。外国人投資家にとってとりわけ重要なのは、市場全体として株価が上がりやすいかどうかだろう。自社株買いの規制により、日本市場が株価の上昇がしづらい環境になれば、嫌気が差した外国人投資家がより有利な他国の市場に流れていくことは火を見るより明らかだ。外国人投資家が引き上げていけば、株価も落ち込み、経済も低迷する。

作家で経済評論家の渡邉哲也氏は岸田発言について、次のようにツイートしていた。

「確かに、株価対策の為の自社株買いに関しては賛否があるが、行き過ぎたものでなければ株主利益には繋がり、企業経営にもマイナスではない。やるなら、仕組み案を先に用意して、党内と政府内で議論してから発言すべきもの、総理が勝手に進められる話じゃない」

 

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